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カレーソーセージをめぐるレーナの物語

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ドイツ戦後史が小説になった

「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」 − 原題の Die Entdeckung der Currywurst は直訳すれば「カレーソーセージの発見」というところでしょうか。私はベルリンがカレーソーセージ発祥の地かと思っていましたが、この小説を読むとハンブルクのようです。「発見者」であるレーナという女性を通じて、第二次世界大戦後のドイツの歴史が見えてきます。

主人公である僕は、大伯母と同じアパートに住んでいたレーナ・ブリュッカーが営む屋台で食べたカレー
ソーセージこそ「元祖」カレーソーセージであると信じ、それを証明するために、今では老人ホームに暮らすレーナを訪ね、彼女がいかにしてカレーソーセージの屋台を開くようになったかを聞きだすという手法で語られていきます。

戦争が終わる直前のハンブルク、市民はナチス・ドイツの敗戦を予想しながらも、ゲシュタポを恐れて誰もそのことを口に出さず、黙々と日常生活を送り、夜半の空襲に耐えています。ある雨の夜、激しい空襲が始まるのですが、そこに突然迷い込んだ海軍兵士ヘルマン・ブレーマー。彼はたまたま休暇を取って、妻と生まれたばかりの赤ん坊を見舞い、再び前線に戻る途中でこの空襲に出会うのです。防空壕に入れてもらい、爆撃が終わったあと、海軍から支給された防水シートをレーナにかけて、二人はレーナのアパートへと戻ります。レーナは40代半ばでしょうか。海軍兵士は20代半ば。レーナの夫はゲーリー・クーパにそっくりのプレイボーイで、今は出征中。娘はすでに嫁ぎ、息子は勤労奉仕でハンブルクを離れているため、レーナは一人暮らし。空襲の夜以来、ヘルマンは脱走兵となりレーナのアパートで暮らし始めます。

二人が一緒に暮らし始めてすぐに戦争は終わります。ブレーマーを失いたくないレーナは、戦争が終わったという事実を隠します。脱走兵として逮捕されることを恐れるブレーマーは、レーナのアパートに隠れて街の様子を眺めているうちに、戦争は終わったのではないかということに気づき始めます。ブレーマーをごまかしてきたレーナですが、ブレーマーと初めて大ゲンカをし、ブレーマーはレーナの夫の背広に身を包んで忽然と姿を消してしまいます。

イギリス軍が進駐してきたハンブルク。突然、前線から戻ってきた夫。戦争未亡人となって小さな子供を連れて戻ってきた娘。ブレーマーが姿を消した寂しさを封印して、レーナの凄まじくもたくましい生活が描かれます。その中で偶然に「発見」されたカレーソーセージ。食べたことも見たこともないカレーソーセージですが、それを一度口にした人たちはその虜になってしまうのです。やがてその味は評判を呼び、ドイツ全土(と言ってもマイン川より南、つまりバイエルンやシュバーベンなど)に広がりますが、上級社会には受け入れられることはなかった、とレーナは言います。ある日、忽然と姿を消したブレーマーが彼女の屋台にやってきます。レーナは気づきますが、震える手を隠しながら、ブレーマーが注文したカレーソーセージを作ります。


レーナは、ナチス・ドイツの時代でも、「ハイル・ヒトラー」という挨拶をせず、権力におもねず、ドイツの勝利がウソだということを口にするという勇敢な女性です。女一人で厳しい社会を生き抜いてきた彼女だからこそ、ブレーマーという若い男性に引かれるます。彼を失いたくない、だからと言ってずっと彼と一緒に生きることはできないことも理解しながら、少しでも彼を引きとめるために、戦争が終わったことを言い出せないレーナ。

カレーソーセージ、今度食べるときは素敵なレーナに思いを馳せて食べます。

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カレーソーセージというのをまったく知りませんが、屋台の庶民の食べ物なんですね。
小説のほうは今度是非読んでみます。

2008/12/21(日) 午後 8:42 retro

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道端にいくつも屋台(トレーラーを改良したものが多いですが)があって、そこで売っています。この小説では、レーナが今の時代のカレーソーセージを食べるシーンがあり、そのシーンもなかなか辛辣です。ぜひお読みください。私もレーナの作ったのを食べてみたかった・・・

2008/12/21(日) 午後 10:46 tanzdetanz

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読み終わったところです。
こういう身近な食べ物の話が、戦後の歴史に重ねられていて、地味だけれど素晴らしい物語です。いい本を紹介していただいてありがとうございました。

2009/1/18(日) 午後 8:22 retro

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ご丁寧にありがとうございます。私もretroさんに触発されて、読書の楽しみを味わっています。ただ、retroさんのように読んだ本について文章にできませんが。

2009/1/19(月) 午後 0:33 tanzdetanz

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ベルリンについて別件でリサーチしていて、偶然拝見しました。

この小説の作者ウヴェ・ティムは、この主人公が、ハンブルクで屋台をやっていたのは、事実だが後はすべて創作であると語っています。ただし、作者自身は1947年にカレーソーセージをこの屋台で食べたような気がするとの事ですが。。。

カレーソーセージの発祥はやはりベルリンのようです。

2009/6/13(土) 午前 0:20 [ dob*o*223 ]

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