桜山右近通信 自動車業界のあれこれ

自動車業界全般に興味を持っています。業界のことで感じたこと思ったことをランダムに書き連ねています。

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富士重工の軽自動車生産からの撤退

トヨタが富士重工への出資比率を現在の8.7%から16.5%へ引き上げると共に富士重工はトヨタ向けに自社の水平対向エンジンを使ったRWDスポーツを2011年からトヨタ向けOEM生産すべく群馬県に新工場を建設することを合意しました。更にトヨタグル−プのダイハツから小型車と軽自動車のOEM供給を2009年から受けることとなり富士重工は段階的に軽自動車の生産から撤退することを表明しました。またトヨタからも2010年から小型車のOEM供給を受けることとなり、この出資比率の引き上げと提携関係の拡大によって富士重工はトヨタの子会社でこそないものの実質的にはトヨタグループ企業として生き残りをかけることになったと言ってよいでしょう。

富士重工の自動車メーカーとしてのスタートがスバル360という日本のモータリゼーションの夜明けを開いたモデルの生産だったことを考えれば軽自動車生産からの撤退と言う決断は相当に厳しいものだったのではないかと想像されます。富士重工の現在の軽自動車のラインアップはステラ、R1/2,プレオそれに商用車系のサンバーですがライバルが殆ど3気筒エンジンを使用しているのに1人未だにサンバーにも4気筒エンジンを採用しているなど限られた生産台数から見ても他社に比べてかなりの高コストになっているのではないかと思います。

R1/R2のスタイリング、デザインを見ても三菱iMiEVに匹敵するくらいのユニークさを持っておりこんなところにもスバルの軽自動車に対する思い入れ、そして矜持が見て取れるように思います。更にR1ベースのピュアEVも実用段階に入っているとされるなど50年以上に亘る軽自動車の経験は他社を凌ぐものがあるといって良いのではないでしょうか。

しかしこれが実際の企業業績に結びつかないと言うことであればブランドの生き残りを掛けて強者の傘下に入るのも止むを得ない事なのでしょう。富士重工にしてみれば伝統の軽自動車生産を放棄しても自身の持つ世界的にもユニークな水平対向エンジンや4駆技術とそれにイメージ的に強く結びついたスバルブランドを歴史の中に葬り去らなくて済むとの判断が働いたのでしょう。

私が小学生の頃、(丁度「オールウェイズ3丁目の夕日」の時代背景に重なります)街に出現したスバル360と2ストロークエンジンが混合燃料を燃やして出す青白い排気ガスの匂いに魅了されたのを思い出します。そして16歳になるのを待って取った軽免許と初めて手に入れた車が当時発売されたホンダN360には手が届かずスバル360だった事を思い合わせるとスバルの軽自動車生産からの撤退と言うニュースには前開きドアや手作りチューニングの思い出と重なって単なる時代の変遷以上の感慨と寂しさを感じます。折りしも時代は原宿がファッショナブルタウンとしての産声を上げ、石津健介のVANそしてJUN、アイビーファッション、大橋歩イラスト表紙の平凡パンチ等の全盛期でした。

こんな一中年男のノスタルジーを許さない程、自動車メーカーの生き残り競争は熾烈を極めていることは良く理解できますが国産初のFWDモデルのスバル1000、国産初の乗用車型4駆のレオーネなどスバルに纏わる日本の自動車技術の発展と日本の自動車史にスバルが残した数々のエポックは忘れられないものです。トヨタが無味乾燥な経済原則だけに陥ることなく、こうしたスバルの残した実績を忘れずに敬意を払い続けてくれることを期待します。

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