桜山右近通信 自動車業界のあれこれ

自動車業界全般に興味を持っています。業界のことで感じたこと思ったことをランダムに書き連ねています。

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ニューカローラ

本日トヨタが11代目のカローラ、フルモデルチェンジ車を発表しました。モデルチェンジをするたびにサイズアップする傾向の中にあって今回もきっちり5ナンバーサイズを護って登場しました。エンジンも1.5リッター4気筒を中心にセダン版のアクシスが1.3リッター版を追加し、ワゴン版のフィールダーには1.8リッター版が存在します。
 
商品コンセプトは実用乗用車としてミニマムな外寸、マキシマムな内寸を目指したとされています。カローラは世界中で生産されており、それぞれが地域に応じたサイズになっていることを考えればこのサイズは国内専用モデルにのみ適用になるものと思われます。新しい宮城のセントラル自動車で生産され、同工場は絶好調のアクアと共に高稼働率を誇ることになるでしょう。
 
特筆すべきは車重の軽さで全モデルで1.1トン前後に抑えられています。更に安全装備は充実しておりVSC,TRC,サイド/カーテンエアバッグは1.3リッターのエントリーモデルも含めて全車標準装備とされました。価格は139.5万円からとこれも装備レベルを考えれば相当に買い得感があります。
 
スタイリングは良くも悪くも極めてトヨタ的な破綻のないものですが、フロントオーバーハングを詰めた効果が大きく、私にはフィールダーの方が魅力的に感じます。
 
以上サイズ、燃費、装備、価格とどれをとっても高水準にまとまっている感じがし、誰に勧めてもまず間違いのないものと思いますが、プリウス、アクア等のハイブリッドモデルが最量販車種であるトヨタとしてこの新カローラのターゲットは誰なのか私にははっきりしません。おそらく狙ったのはハイブリッドにはちょっと躊躇する古くからの伝統的なトヨタユーザーで先進的技術でアピールする比較的に若いユーザーよりも保守性、買い得感そして絶対的な価格の低さを大切にする中年以上のユーザーを狙っているように思います。
 
しかし高齢化社会とは言え、そうした中高年がことさらこれをターゲットとした商品を買ってくれるのかと言うとちょっと疑問に思います。現代の中高年は中高年とはいえ抵抗なくプリウスやアクアを選ぶのではないでしょうか。もしそうなら11世代にも上り、1966年の初代登場以来累計3900万台にも及ぶ台数を販売してきた伝統のカローラも少なくとも国内では期待した以上の販売実績を残すことは難しいのではないかと心配です。
 
VWの最量販モデルたるゴルフが最量販モデルゆえに技術的にも先陣を切る冒険を敢えてし続けてきた事を考えると今度のカローラはあまりに保守に振りすぎたように思えてなりません。

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2気筒エンジンは主流足り得るか?

かつて日本独自規格の軽自動車が550ccだったころエンジン気筒数の大勢は2〜3気筒でした。しかしこれが660ccに引き上げられてから2気筒エンジンは姿を消して現在は3気筒が主流です。ところが世界の自動車のダウンサイジング傾向に乗ってマーチやポロが3気筒エンジンを採用し、ついにフィアットはFIAT500に2気筒エンジンを載せてこれをツインエアと称して販売するに至りました。
 
2気筒エンジンは軽量、コンパクトさを強く要求されるモーターサイクル(MC)の世界では未だに主流に一画を占めていますが、4輪車の世界ではこのツインエアを除いてはメジャーブランドではまだ存在していません。しかしダイハツが昨年の東京モーターショーで久方ぶりの2気筒エンジンを展示して次世代の同社の軽自動車に採用するとのアナウンスをしていました。これでダイハツの2気筒は単なる展示用のモデルではなく市販を決めていることが明らかになりました。
 
2気筒エンジンの部品点数の少なさ、フリクションの少なさ、それに伴う重量の軽さとコンパクトさは燃費向上には決定的にポジティブな影響を与えます。しかし最大の問題点である振動、音についてはやはり3気筒、4気筒には特にアイドリングを含めた低回転域では非常にネガティブな印象を与えます。振動や音をある程度許容できるMCでは問題がさほど重要ではないにせよ、4輪車に採用するにはバランサーなどの対策を施してもどうしても快適性や静粛性が犠牲にならざるを得ませんでした。
 
しかし今燃費競争は停止時のアイドリングさえも許さない状況になってきています。そしてこれが2気筒エンジンの最大のネガの一つであるアイドリング時の振動対策をかつてほど深刻に考えなくても良い状況をつくりだしつつあります。これがダイハツをして2気筒に踏み込ませた大きな理由の一つだと思います。そして2015年ごろにはトヨタがこのダイハツのものとはおそらく別物だろうと思われる2気筒エンジン搭載車を市場導入するとの観測が広がっています。
 
トヨタのものはアイドリングストップに留まらず、これをハイブリッド化して採用すると言われています。当然アイドリング時或いは市内走行時などの低速時には電気モーターだけで走行し振動が気にならなくなる中高速回転時にはエンジンを併用することになります。そして何よりこれによる燃費の向上は現在プリウスPHVが唯一達成している60Km/h水準をPHVでない通常のHVで達成できると言われています。
 
VWがプロトタイプとして発表した超低燃費モデルのXL1が100Km/hを引っ提げて市販を真剣に検討中と伝えられるなどいよいよ2010年代中旬ごろから各社はコンパクトラインアップに超低燃費モデルの導入が競われるようになってくるでしょう。因みにこのXL1もディーゼル2気筒エンジンです。
 
こうして見ると一時は忘れられていた2気筒エンジンが今後各社のボリュームモデルの主力エンジンとして市場に広く浸透して行くことはかなり現実的な話ではないかと思われます。そうなれば排気量はおそらく800cc前後、日本の独自規格と言われてきた軽自動車クラスが一躍世界の最量販車種になることも大いにあり得る話ではないでしょうか。軽自動車で経験を積んだ日本のメーカーが世界の主力商品市場で覇権を握ることも可能と思われます。その為にも今一度現行の極めて特異な日本独自の軽自動車規格を世界標準とすべく見直しすることは無駄ではないと思います。特に側突への対応を考え、最大幅の見直しとエンジン排気量の800cc程度までの引き上げを強く求めます。
 

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EVもガラパゴスか?

電気自動車(EV)の充電用ソケットの規格に関して米国3メーカーとドイツメーカー5ブランド(VW、アウディ、BMW、メルセデス、ポルシェ)が日本メーカーのそれとは異なるものを採用することで合意したと発表されました。規格には現在のところEVの市販化で先行する日本メーカーが東京電力などと協力して規格化した、Chademo(チャデモ)と今回米独メーカーが合意したコンボの2通りがあります。
 
チャデモは急速充電に重点を置いたもので、一台の車に急速充電用と通常充電用の2つの給電口が設けられるのに対してコンボの方は一つの給電口で双方を賄うというものです。
 
どちらに技術的な優位性があるのかは即断できませんが、少なくとも日本規格の方はこれまでEVの市販化で実績があり、それに呼応する充電インフラもこれに対応するものが設置されてきました。これに対してコンボの方は使い勝手は良いかもしれませんが、これまでの実績からすれば日本規格よりは未だ格段にマイナーな存在です。
 
しかし世界の趨勢が日本規格よりも米欧規格に傾くと日本勢としてもいつまでも日本規格にこだわり続けることができなくなります。もちろん技術的には一台に両方の規格に対応した給電設備を装備することは可能ですが、コスト的には明らかにネガティブです。更に仮に米欧規格が大勢を占めるようになれば日本の充電器インフラも全てこちらに対応せざるを得なくなります。
 
何やらNHKハイビジョンが辿った軌跡をここでもなぞってしまうような雰囲気で、日本はなぜ先行者の利益を享受できないのか、開発で先行してビジネスで敗北する近年のパターにまたぞろはまってしまうような危機感を覚えます。しかし、こうなってしまった背景にはやはり日本企業なり、政府なりが規格をわがものとするのだと言う気概が初めから薄く、政治力活用も含めて日本規格を欧米メーカーに採用させ、以て世界のデファクトを握るという意識に疎かったような気がしてなりません。
 
今や世界の自動車販売の最大市場である中国がどの規格を選ぶかは今のところ不明の状況ですが、中国市場への進出が早かったのはVWやGM等の欧米勢で中国市場への浸透度は日本メーカーよりも数段深いものがあります。中国政府はEV,HV技術の海外メーカーからの中国導入に熱心ですが、これまでの同市場への浸透度を生かしてEV充電規格でも彼らが中国政府説得に成功するなら、日本方式はその時点でほぼ世界標準は取れない事になってしまいます。
 
ここで、日本方式が逆転できるとすれば、これまでの実績に基づく安全性、使い勝手、コストなどあらゆる点でそれを未だに決めかねている新興国に対して今までより以上に強くアピールする必要があります。ここでは単なる技術的な優位性のみならず、インフラ整備のし易さや信頼性なども含めた全方位的なアピールである必要があります。かつて世を二分したVHS、ベータ戦争のように単に技術の優位性だけでは規格争奪戦には勝てない事を良く認識する必要があるのです。
 
ここにもなにやら開発先行、ビジネス敗退の日本のこれまで繰り返してきた拙さが表れてきているように思います。技術は使われてなんぼです。技術の洗練性だけでは市場は付いてこない事を日本はいい加減に理解してもよさそうに思うのですが。
 
 

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大型車両の事故に思う

関越自動車道で高速バスが大きな事故を起こして多数の死傷者を出しました。それに留まらず各地でバスが絡んだ事故が起こっています。関越道の事故はバスが側面の遮音壁に前方から突っ込み車体が縦方向左右に分割されるほどの激しい衝撃を物語っています。l
 
低料金を実現するために運転手の過剰労働や予備の運転手を置かない完全ワンマン運行等その原因については現在行われている事故調査も含めていろいろ言われていますが、質量の大きな物体が事故を起こせばその及ぼす影響は死傷者、物損、刑事責任、運航会社や旅行会社の社会的な責任など全てにおいて軽量な乗用車に比べて比較にならないくらいの大きなものになるのが常です。
 
ましてや乗員は乗用車に義務付けられているシートベルトの着用も推奨にとどめられており、そのベルト自体も殆どが単なる2点式しか装着されていないのが実情です。今度の事故で仮にベルトがされていたからと言ってどの程度死傷者が減ったかは定かではありませんが、一旦事故に至れば大事故になる大型車なればこそその予防措置は軽量の乗用車よりも格段に厳しくするべきだと思うのです。
 
もちろん運転手の休息や連続運転時間制限の遵守など運航管理の徹底も大切ですが、その次の段階、つまりアクティブセーフティーとクラッシュセーフティーの中間にあるセーフティーについても通常の乗用車以上に厳格な義務付けが必要なのではないかと思います。車の事故を未然に防ぐためのヒューマンエラーをカバーする技術は高級乗用車を中心にして相当の進化を遂げています。ミリ波レーダーを活用した追突警告や自動的なブレーキングを行うディバイス、レーンを外れそうになった時にこれを警告するシステム、更には視線を追いかけたり、不安定なステアリング操作を感知して過労や居眠りに陥りそうになった時に警告をするシステム等などの技術の出現には枚挙にいとまがないほどです。
 
これらの技術はそのコストからこれを吸収し易い高級乗用車に採用されるのが一般的ですが、一旦事故を起こした時の被害の甚大さを考えればこれらの装置や技術はトラックやバスなどの大型車にこそ積極的に採用されるべきものです。大型車は産業材でありそれにかかったコストが運航コストや運賃に直接跳ね返ってくることからコスト増大には一般乗用車よりもシビアな面がありますが、それでも一旦事故に至った時の事を考えればこれらのコストは乗客も含めた関係者が半ば強制的に負担すべき性質のものではないでしょうか。
 
今回の関越道の事故にしても仮にこのバスに追突警告や自動ブレーキ装置、或いはレーンデパーチャーワーニング、居眠り防止のための警告装置等が装備されていればここまで悲惨な事故にならずに済んだのではないかと思われてなりません。自動車安全技術の向上は目覚ましくこれらの成果のフィードバックは乗用車はもとより公共性の強い大型車にこそ優先的に行われるべきであり、かつ法制化も視野に入れた装着の義務化が求められます。同時に遮音壁やガードレール設置の再検証、それら施設の衝突安全性についても今一度の検証もなされるべきです。ヒューマンエラーは避けられないものとの認識に立った総合的なフールプルーフ、フェイルプルーフ対策の再検討、再構築が喫緊の課題として求められます。

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ドイツメーカーの二輪車市場への進出

かねてより噂されていたアウディのドゥカティ買収は正式にVWグループとしてドゥカティを買収すると発表されました。なぜドイツのプレミアムブランドの中でも躍進目覚ましいアウディが4輪車の別ブランドではなく、二輪車をと思われますが、理由はVW会長のピエヒ氏は予てよりドゥカティMCのオーナーであり熱烈なファンであったこと、現在既にVWグループにあるイタリアブランドのランボルギーニと同様のブランド戦略を展開できると踏んでいる事などによるとされています。(ちなみに決裂したスズキとの提携のVW側の狙いの一つにはスズキの持つ二輪車があったとも言われています。)
 
四輪車メーカーで現在二輪車部門を持っているのはホンダとBMWですが、それらのメーカーは創業時から二輪車を主力にしてきており、四輪車メーカーとしてブランドが確立してから新たに二輪車メ−カーを買収する形でこれを傘下に入れるのは極めて珍しくおそらく今回のケースが初めてではないかと思います。(アウディの前身であるDKWが1920年代には二輪車メーカーだった訳ですが、その後ホルヒ、ヴァンダラーと合併して現在のアウディが生まれた経緯はありますが。)
 
さて、アウディはドゥカティを買収後このブランドをどのように活用するのでしょう。ビジネス的にはドゥカティのグループへの参加は殆どインパクトのないものでしょうが、やはり築き上げてきたブランドバリューは大きく現在のドゥカティMCにアウディの持つ軽量化技術などを注ぎ込んで新たなMCを登場させるのでしょうか。昔からの二輪車ファンとしては縦型Vツイン、デスモドローミック強制バルブ開閉システムは残しておいて欲しいと思いますが、これは単なるノスタルジーでしょうか。
 
もしアウディがドゥカティを革新的に変えたいと思っているなら、例えばアウディのA1ベースのレンジエクステンダーとして使ってみた、シングルローターのロータリーエンジンを搭載する、あるいは純粋の電気MC(しかも2輪駆動の)を開発するなどの冒険的なトライアルを行うベースとなる可能性もあります。そしてアウディ製ドゥカはやはりそのストレートコンペティターにBMW MCを置くのでしょう。
 
一方ではBMWが既に商標権を手に入れているかつての英国の名門トライアンフブランドの活用を模索しているとの噂もあります。BMWがトラを二輪車ブランドとして復活させるのか、新たな四輪車ブランドとして復活させるのかは不明ですが仮に第二の二輪車ブランドとして考えているのなら、その展開は現在のミニのそれと同様となるのでしょうか。もしそうなら、しかし、こちらも現在のトライアンフが持つスラクストーンのようなクラシックな英国的なカフェレーサーを残して欲しいとも思います。また、もしこれが四輪車ブランドとして復活するなら彼らがかつてローバーやMG、ランドローバーに対してしたような一旦開発を進めておいて結局はブランドを捨てるに等しい行為はトラにはして欲しくないと思います。
 
いずれにしてもこうしたドイツのプレミアムブランドが二輪車の有名ブランドを傘下に収め、これを復活、発展させようとするその意図はやはり四輪車では決して到達できない二輪車の持つ移動の原初的なスタイル、感覚を提供したいというモータリゼーションへの究極的なモチベーションの復活があるのではないでしょうか。この感覚はおそらくトヨタを始めてする日本の自動車メーカー(但しホンダを除く)にはないものでしょう。トヨタが業務拡大を車を起点とするスマートシティエリアに見ているのとは明らかに異なる方向性ではないでしょうか。彼らは自動車メーカーとしてあくまでも企業の起点を純粋に移動する喜びの追求に置いて行くのでしょう。

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