しみじみと朗読に聴き入りたい

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やや屈折した朗読「鑑賞」ファンとしての心理・・・

 このブログ『しみじみと朗読に聴き入りたい』を開設して、ほぼ1ヶ月。 「朗読鑑賞が趣味です!」 と、何の抵抗もなく叫び?、マイナーなことでも思ったことをそのまま書ける場を得ることができた喜びにひたっています・・・(笑)。

 その前から、同名のホームページは作っていたのですが、これはリンク集の固まりみたいなものです。これはこれで楽しみながら作っていたものの、ブログだと、朗読鑑賞ファンとして、いろいろ勝手に書いたり、朗読ファンの方から反応をいただいたり、他の朗読愛好家の方のブログにお邪魔したりすることなどを通じて、朗読愛好家の世界の一角に身をおいているという実感を持つことができます。

・・・しかし、ここに至るまでの道は、長かった・・・。


● 「朗読鑑賞が趣味」とはなかなか言えない

 朗読をご自身でやる皆さんは、堂々と回りに「私は朗読をやるんです」と言い、朗読教室に通ったり、同好の士とともに楽しまれているのではないか、と想像するのですが・・・、

  「 朗読『鑑賞』が趣味です 」

   ・・・とは、なかなか カミングアウト?できないものです。

  「カミングアウト」・・・「自分が、社会一般に誤解や偏見を受けている少数派の主義・立場(例:     在日コリアン・前科者・ゲイ・性同一性障害・エイズ患者など)であることを公表するこ       と。・・・(中略)・・・(ネタとしての)自虐的告白。」(「はてなダイアリー」による)

  そう・・・「朗読鑑賞」に対しては、「誤解と偏見」 ってあるんじゃないでしょうか・・・。少なくとも、「あった」のじゃないでしょうか。
  「音楽鑑賞が趣味です」とは、誰でも普通に言いますし、まわりも「そりゃ、結構なご趣味で」と普通に受けとめることでしょう。

  ・・・ところが、「朗読鑑賞が趣味です、好きです」 てなことを言うと、相手は、反応に困る様子がありありとみえますし、ちょっと引くような様子もあります(苦笑)。今までは間違いなく!ありました。 ネクラなやつじゃないか? って思うんでしょうかねぇ・・・。

 比較的文学好きの話がわかりそうな大学時代以来の友達に、ふとした話しの流れで言っても、
「ふ〜〜ん」という反応ですからね。

 家内などひどいもので、新婚早々に私が、NHKの「平家物語」のカセット全集をローンで購入したとき以来の偏見?があるんでしょうが、「朗読鑑賞が趣味なんて、間違っても他人にいうもんじゃないわよ。誤解されるから。」 という始末。
 「おまえなぁ・・・言うに事欠いてなんつ〜ことをいうんだ」 と言い返すものの、いまひとつ力がはいらないのは否めないところです(苦笑)。


 「朗読する」というのは、声を出すということで、陽性な印象がありますが、「朗読を聴く」っていうのは、陰性の印象があるんでしょうかねぇ・・・。
 別に、趣味ですから、自分が楽しければそれでいいのですが、なんか変なオタクの一派では?みたいな屈折した目でみられるのは抵抗があるなあ・・・と思う次第。


● 同じ「趣味」でも・・・

 でも、相手の立場に立ってよくよく考えてみると、「朗読鑑賞ファン」と趣味の話しをしても、好きな心理がよくわからないでしょうし、何を話していいかも見当がつかず、会話が成り立たないかもしれませんね。

 ○ 音楽鑑賞が趣味という人だと・・・

 A 「クラシック音楽聴くのが好きでしてねぇ」
 B 「ほう、ほう、作曲家は誰がお好きで?」
 A 「バロックとかハイドン、モーツァルトとかいう系統ですね、どちらかというと。でも、マーラー   とかブルックナーとかの重いのも嫌いじゃないんですよ」
 B 「となると、弦楽のほうは、イムジチ? パイヤール? ドイツとフランスじゃあ、同じ曲でも演   奏したときの印象がまったく違いますからね」
 A 「私は、パイヤールとかのほうが好きですねえ。音の色がつやつやしてますから。」
 B 「じゃ、コンサートは年に何回くらい行かれるんです? コンサートホールはどこがお好きです    か?」

  というように、話の接ぎ穂はいくらもであって、話はスムーズに展開していくことでしょう。


 ○ 他方、朗読が趣味だという人だと・・・、

 A 「私、朗読が趣味なんです」
 B 「ははあ、なにか朗読教室とかに通っておられるんですか? どんな作品をお読みになるんで     す?」
 A 「漱石の『我輩は猫』とか、太宰治とかはよく読みますね」
 B 「『猫』のようなあんな長いのをお読みになるんですか。」
 A 「まあ、抜粋ですけどね。声を出すってのは、なかなかこれが気持ちいいんですよ。ジョッギング   ハイというのと似たような快感でしてね。」
 B 「なんでも、声を出して朗読すると、前頭葉だか後頭葉だかの血流がよくなって、ボケ防止にもな   るみたいですな」

  これも、話の接ぎ穂はありますね。


○ では、「朗読鑑賞が趣味」という人だと・・・
                  ※ ( )内は内心の呟きです。
A 「私、朗読鑑賞が好きなんです。」
B 「は? 朗読鑑賞ですか・・・。どんな方面の?」
 A 「古典だと平家物語とか奥の細道とか。近代文学だと漱石、太宰とか、ま、いろいろと。」
 B 「ほう、なかなか渋いですね。昔からのご趣味で?」
 A 「ええ、学生時代から好きでしたねえ。いろいろな読み手がいましてね。いろいろ個性があって、   同じ作品でも読み手によって違ったものに思えるんですよ。音楽も、指揮者やオーケストラが違    えば、同じ曲でも印象がずいぶん違って聞こえるでしょう? 朗読もそれと同じですよ。」
B 「はあ、そういうもんですか・・・」
A 「そーなんです。楽しいですよ、いろいろあって。(ともかく、いろいろ!なんだよな・・・。困っ  たな、どう説明すりゃいいのかな。興味なさそうだし・・・)」
B 「そうですかぁ。 (・・・う〜ん、聞くことないぞ。困ったなこりゃ・・・)」 


A 「幸田弘子という人が読む樋口一葉とか奥の細道とか、落ち着いた声でいいんですよねえ、これ    が・・・。40代と60代とでまた声の雰囲気が違いましてね。(こりゃ、我ながらオタクだな・・・。  興味あるわけないよな、こんな話・・・。)」
B 「はあ・・・(幸田弘子? 誰?それ? 樋口一葉? お札の女性かな?)」
A 「夜に部屋の照明を落として、しっとりとした声の朗読を聴くと、アルファー波が出てくるんです   よ。」
B 「ふ〜ん・・・そういうもんですか・・・(うっ、暗そう・・・)」


 話すほうも話されるほうも、ギクシャク、ギクシャクしてしまいます(こんなこと実際に会話したことがあるわけではないのですが、あえて展開するとこんなこともあるかな・・・と。)。
 これが、山歩きだとか、サイクリングだとか、テニスだとかの別の趣味の話だと、いろいろ会話は続くんでしょうけど、朗読鑑賞では、ごく初期の段階でギブアップ(苦笑)。


● 鉄道ファンも孤高を好む?

 鉄道ファンとか鉄道模型とかが、男のマイナー趣味のようにいわれますが、前者は『鉄道ファン』という雑誌がずっと続いていますし、名物列車が引退とかいうことになると、現地にどっとファンが押し寄せ、「鉄道ファン」の広がりを実感することができます。

 そして、宮脇俊三という、後に「隠れ鉄道ファンの神様」といわれるようになる人が出現し、世間に、『時刻表2万キロ』のような本で、鉄道探訪の楽しさをアピールしてくれると、引け目がだいぶ解消されたみたいですね。最近の月刊誌で、宮脇俊三さんの長女の方と、エッセイストの酒井順子さん、作家の関川夏央さんが、隠れ鉄道ファンとしての屈折した心情を語り合っていましたが、彼らもいままで大変だったみたいです。

  ただし、鉄道ファン(「鉄ちゃん」と呼ぶそうです)は、孤高を好むようです。
 関川夏央さんがいうには、

 「オートバイ好きだと、ツーリングの途中でドライブインで知らない同士が声かけあって、ちょっとオ  ートバイの話をしたりするけど、鉄ちゃんにそれはないね。駅のホームで初対面同士が談笑してる光  景なんて見たことない(笑)。それぞれ孤立している。」

 「鉄道好きはいわば『一人一流一派』。好みによって細かい派閥に分かれています。たとえば、ぼくは  国内のローカル線、特に盲腸線が好きで、侘しい終着駅と赤錆びた車止めが好きなんです。同じ汽車  好きでも、ドメスティック派と外国鉄道派は全然別ものだし。」


 「朗読鑑賞ファン」というのは、どうも世の中にどれだけいるのか実感できませんでしたし、実感する場もありませんでした・・・。いたとしても、好みの分野とかが全然違うんでしょう、きっと。
 源氏物語が好きな人と、平家物語が好きな人は、嗜好がだいぶ違うでしょうし・・・。詩とノンフィクションではまた全然違う・・・。古典と現代小説でもまた全然違う。
 そういうわけで、朗読鑑賞ファンと鉄道ファンとは共通する部分が多いような気がします。


● 「朗読鑑賞ファン」にも燭光が見えてきた・・・?

 ともかく、これまで日常生活でも、仕事のときの雑談でも、朗読のことはほとんど話すことなく、学生時代以来の長い時間が経過しました。ごく一時、平野啓子さんのファンクラブに入っているという人が職場にいて、「しだれ桜」がどうの、幸田弘子さんの語りがどうの、としばし話しが弾んだことがありましたが、人事異動とともにそれも消滅・・・。
 
 そういうところに、斉藤孝先生の『声に出して読みたい日本語』シリーズが登場し、朗読ブームが巻き起こり、キングレコードの『心の本棚』シリーズをはじめとした朗読CDが続々と発売されたのは、本当にうれしい「事件」でした。
 
 そして、昨年後半あたりから、ボイスブログ、ポッドキャストが素人でも比較的簡単にできるようになり、朗読愛好家の皆さんが一斉に自らの朗読を発信しはじめた・・・!その中には、今までのプロとはまた違った新鮮な朗読をきかせてくれるものの少なくありません。i-tune などでは、オーディオブックというのがひとつのジャンルとして確立しつつあります。

 「朗読鑑賞ファン」としては、もう思いもしなかった状況が現出しつつあるのです・・・。 感涙にむせぶばかり・・・といってもけっして大げさではありません。
 これで、「朗読鑑賞が趣味です」とカミングアウト?しても、それほどけげんな顔をされずにすみそうですし、ブログの場などで、勝手気ままに趣味の話が書ける、いろいろなサイトやブログをのぞいて感想も書けるということで、なんか燭光が見えてきたような気持ちです。


 そして、これからは、朗読ファンの皆さんに、どんどんいろいろな作品を読んでもらって、朗読鑑賞ファンとしてもっともっと満足感を得たい・・・。そのためには、著作権周りの環境整備が必須だ・・・。数撃ちゃ当たるじゃないけれど、いろいろ提案してぶつけて、著作者も喜び、朗読愛好家も喜ぶような、そんな共存共栄の朗読文化環境を創出したい・・・。

 ま、そんな気持ちで、気に入った作品の紹介をしたりする(批評なんてできません。朗読は、音楽と多少違って、プロより素人の訥々とした語りのほうがずっと魅力があることもしばしばです。)とともに、著作権関係の小難しい文章書いたりしているところです。
 
 いろいろな提案がお役にたって、古典や近代文学以外の作品も、いろいろな朗読愛好家が朗読するようになって、朗読文化がまた一段と熱を帯びる・・・というようになったら、今までのやや屈折した?「朗読鑑賞ファン」心理など、雲散霧消することでしょう(笑)。

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teabreakt様 昨夜は温かいコメントを有難うございました。今週は何かと身辺がバタバタとして落ち着がず、ゴールを目前にして少し焦っておりました。そのような時にこちらを訪問させていただき、目から鱗・・・!?勝手にお人柄を想像しながら学ばせていただきました。お蔭様で一区切りつきましたので手習い帖を整理してみようと思っております。遅ればせながらブログを紹介させていただきたくお願い申し上げます。今後とも宜しくご指導くださいませ。 削除

2007/4/13(金) 午前 10:47 [ えぷろん ]

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いえいえ、何といっても、『我輩は猫・・・』の全巻朗読達成ですから! 3ヶ月間、ほぼ毎日読むというのは、そう簡単にできることではないと思います。きっと、達成感とともに脱力感もあるのではと想像しております。どうぞ五月病になられませぬよう、すこし休息されて、新しい作品をまたお願いします。読まれるものには、下町情緒、江戸情緒のある作品が少なくないようですが、なんともいえない味わいがありますよね。 削除

2007/4/13(金) 午後 8:13 [ teabreakt ]

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はじめまして。私のブログに書き込んでいましたら、関連する…というところで、ここを見つけたのでのぞきにきました。
私は大きな科を出言えるかどうかわかりませんが、朗読をやっているほうの人間です。私としましては、貴方のような方がいてくださるから、頑張って練習しているので、これからもよろしくと感謝の言葉を送ります。もちろんお話しに出てくるような有名な方からは程遠いのですが。わたしも10年ほど勉強中です。またあそびにきます。

2008/2/5(火) 午後 6:38 やじまま

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アクセスしていただきありがとうございます。ブログを拝見すると、手作り雑貨作りと朗読がご趣味とのこと。是非、朗読のほうも、ブログにアップして聴かせてください。楽しみにしています。

2008/2/5(火) 午後 8:16 [ teabreak ]

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