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本ブログの自己紹介で「食と農に関して市民から信頼される情報発信者になることを目指す」と掲げている。ここで重要なのは「信頼される」である。どうすれば信頼されるだろうか。すぐできることとして、(1)個人情報をできるだけオープンにして、(2)本ブログを根気強く続ける、ことを考えていた。
信頼構築に関して、中谷内(ナカヤチ)一也氏のリスコミ(リスクコミュニケーション)に関わる新著「安全。でも、安心できない・・・」[1]を読んだ。
昨今、あっちでもこっちでも「安全・安心」と対にして使われることが多い。しかし、本書のタイトルのように、テーマによっては「安全でも、安心できない」市民が多いのである。食品添加物など食に関する情報が該当しそうだ。安全は安心のために必須だが、それだけでは不十分。足りない要素が「信頼」である。
信頼の第一歩を外部依存から説く。指摘されて再認識したが、社会は分業で成り立っており、交通機関など多くの外部の諸々に依存して・信頼して私たちは毎日を生きている。人間は一人では生きていけないのである。
外部からの情報に関しては、もう少し複雑だ。例えば、食品添加物の安全性である。安全という専門家の評価を「二重過程理論」で説明する。情報を受けて、(1)情報を理解したいと強く感じていて、(2)情報理解の能力がある、2つが揃うと情報の中身を熟慮吟味して判断する。これを「中心ルートによる処理」という。2つが揃わない場合は、情報発信者の信頼性や魅力などから「周辺ルートによる処理」により判断する。
現代人は皆忙しい。次々に飛び込んでくる情報の総てを吟味することは不可能である。発信者により「正しい情報」と受けておき、必要に応じて吟味することを私もやっている。信頼できる方々として、唐木英明氏[2]、安井至氏[3]、中西準子氏[4]、松永和紀氏[5]の発する情報については普段から注目している。
この後も、具体例の中からを信頼に関わる要素を考察する。誠実さ、思いやり、能力、価値観の一致などについて解説している。それぞれ大切な要素ではあるが、課題によって重視する項目は変わるという。また、感情というシステムの重要性についても触れている。感情で結論を決め、後づけで理屈をくっつけることをよく行うものである。
著者のご専門は、社会心理学。良著「リスクのモノサシ」[6]でも感じたが、普通のリスコミ本と切り口が違うのである。考え方を論理的にわかりやすく提示いただいている。私も食に関するリスコミを実践しているが、書かれている内容を踏まえながら今後に臨むつもりである。
最後に書名について触れておきたい。この書名を決める際、議論が会ったものと考える。懲りすぎでイマイチしっくりしないと感じる。「安全でも安心できない訳」くらいでよかったのではないだろうか。
[1] 中谷内一也「安全。でも、安心できない・・・」ちくま新書(2008)
[2] http://www.shoku-no-shinrai.org/
[3] http://www.yasuienv.net/
[4] http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/
[5] http://blog.goo.ne.jp/wakilab
[6] 中谷内一也「リスクのモノサシ」日本放送出版協会 (2006)
「技術士からの提言●東京都に望む「BSE全頭検査」の卒業」
日経BP社FoodScienceに本タイトルで記事が掲載されました。ヘッダー部分は無料で読むことができます。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=2627
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