丁未堂画室 Teibido Studio

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言いふらしたいReview

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重量のある本『中国新声代』

 フリーランスライターのふるまいよしこさんは、スマートな文筆家であり、
 かつクールなちうごくウォッチャーでらっしゃいます。

 
 『JMM(じゃぱんめーるめでぃあ)』で連載されているエッセイ『大陸の風〜現地メディアに見る中国社会』
 ご愛読の方も多いかと思います。




 最近上梓された『中国新声代』では
 「変わる中国」に向けて発言する18人のインタビューがまとめられています。


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 一般にメディアには、ことにちうごく関係になると「いけないと思うます!ぶひ」風な
 問題点を指差す「指先」にばかり注目する視点で書かれたものが多いと常々私は感じているのですが
 この本に登場する方々は、
 そんな「指先」ではなく、その先にある問題そのものと、更にそのもっともっと先を
 各位の専門やお立場から分析・展望されていて
 読むほどに、読む者(=ワタシか)の目の前がぐいぐいと明るく広がって行きます。
 

 読後、以前どこかの国の学者さん(誰かは忘れました。すびばせん)が語った

 「現地で火炎瓶を投げることや、絶対安全地帯から権力を罵倒することだけが抵抗ではありません。
  深みのある楽観と怒りと継続的な諦観こそが暴政を留める最強の力になるのだと思います。」

 という言葉を思い出しました。



 
 インタビュアーのふるまいさん+18人のみなさんの勉強量と思考の深さを読んだ後には
 ソフトカバー装丁の本が、何十キログラムもあるような気がして来ます。

 この読後重量感と、目の前が明るくなる感動を、みなさまも是非どうぞ。


 まずこちらのサイトで、一章まるまる読めますし
 また密林でもお求めいただけます。
 北京では、ご存知文鳥珈琲さんで取り扱っています。



 また、ふるまいさんのお書きになるもので、ネットにて読めるものは他にもございまして
 財団法人霞山会さんのサイトで連載中の 『思考することば〜現代中国流行語辞典』
 ちうごくの高速な社会変化を追いながら、同時にその世相を映し出す流行語を覚えることが出来、
 さらにその背景も読み解いてもらえるという、大変お得な読み物です。

 なんか、どっかで見たような挿絵が視界に入るかもしれませんが、ま、それは置いといて
 ふるまいさんの痛快で研ぎ澄まされた文章を存分にご堪能ください!


 

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お腹の空く本『乾隆帝の幻玉』

 地元密着型の楽しい新聞・北京晩報の記者にして作家の劉一達氏の著書を
 名ライター&翻訳家の多田麻美さんが訳されたとあっては「捨ててもおけぬ」ということで
 さっそく入手しました。

 
 表紙もステキです。
 『乾隆帝の幻玉』〜老北京骨董異聞〜 は、民国時代の北京を舞台に
 元乾隆帝コレクションであった一対の玉碗を巡る人々のお話です。
 


イメージ 1



 厚みが3cmほどもあるし、ゆっくり大事に読もうと思っていましたが
 読み始めたらついうっかり一気読みしてしまいました。
 その後、毎晩寝しなにあっち開けたりこっち開けたりして、反芻しております。

 北京に滞在経験のある方なら、懐かしさで涙目になるかもしれません。

 だって
 
 
 お話の面白さもさることながら、描写がそれはそれは詳しいんですもの!!
 どんな脇役でも、生い立ちから性格まで、まるで本人が書いたかのように具体的な上に
 季節や背景の描写も、紙面から匂ってきそうに、うまいこと書いておられるのです。


 例えば、第四章の書き出しはこんなカンジ

 「北京の春は短い。(中略)香椿の木が柔らかい芽を出し、桑の実やさくらんぼが市場に並ぶ。
  人々は丈の長い単衣やあわせを脱ぎ、麻や木綿の夏着に着替え、夏の到来に備える。
  五月になると、北京を襲う黄砂も「ひとやすみ」だ。」

 …いかがざんす。読みながら、春の空気が肌で感じられるようではありませんか。



 また、ワタシが住んでいながらにして「うっ」となったのは
 第十章の書き出しの一部で、

 「〜〜東便門の箭楼の前に空き地があった。平素は露店商がずらりと並ぶ賑やかな場所だが
  朝早い時分のため、行き交う人はまばらだ。露店で朝食を売る「坊主頭の趙」が、油の入った
  鍋をぐつぐつと熱していた。白い湯気が上がり、すがすがしい空気に油の香りが漂っている。」

 …ちうごくの早朝の空気=ひんやりした気持ちのいい空気に漂う油の香り…
 今、ふと思い出して「うっ(∩ω・。」となりませんでしたか?



 それとか

 「正真正銘の北京のちまきには餡がなかった。最良のもち米をのせ、とても小さく包んであって、
  食べる時には白砂糖をふりかける。真っ白でこぢんまりとしていてかわいらしいので、
  皿に載せて鮮紅色のさくらんぼなどあしらえば何とも美しい。」
 
 「香りかぐわしい雲霧産の毛尖茶だ。杜が湯のみの蓋を取ると、細かい綿毛が水の中を漂っている。」

 「おーい、趙の旦那のご注文だ。魚の燻製を一皿、鳩の醤油煮込みを二皿!」

 「ある日、巧雲は町で蟹を十数匹買って帰り、厚切りの生姜をのせ、鍋に入れて火が通るまで蒸すと、
  おろし生姜入りの酢とともにオンドルの上の卓に並べた。」


 ああ、たまらん。夜読むもんじゃないかも。お腹空いた〜!!




 …もちろん、食べ物の本ではありません。
 主役は骨董ですが、玉の説明、武術の説明(スリルとアクション!)、鳥や花の描写、
 どれも↑のような調子で、読んだだけなのに、映像でも見ているような気分になります。

 さらに、日本語に訳されている文章の中に、
 中国語のままで、それにルビや解説を加えた部分が自然に溶け込み、
 うまい具合に中国語独特の美しさや「イキイキ!」が和文の中にも散りばめられています。
 そんな文体に乗って、一気に読んでしまうのです。

 巻頭には、親切に北京地図もついているし
 巻末の作者と訳者それぞれによるあとがきも、それだけで一本の随筆として読み応えがあります。



 次は是非みなさまが、本書をお手にとって、ドキドキしたりお腹空かせたりしてくださいませ!


 こちらからお求めになれますし、北京にお住まいの方は、文鳥珈琲さんでもお求めになれます。


 翻訳者多田麻美さんのブログは、こちらです。
 
 



  

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映画『Harry&Tonto』(1974)

 (*↓以下の画像は、ウィキ各国語版とアマゾンから借りて来ました。)


 先日帰国時に、何気にTVを点けたら
 古い映画『ハリーとトント』をやってました。

 主人公は退職した学校の先生(72)で
 住んでいたところが立ち退き区域に入ってしまったので
 引越し先を求めて、3人いるコドモを訪ね歩くというロードムービーです。
 当時アカデミー賞主演男優賞が『ゴッドファーザー2』に行かずに
 『ハリーとトント』のハリー役さんに行ったことで話題になりました。

 音楽がこれまたロッキーシリーズでおなじみのBill Conti。
 『ハリーとトント』がTV放映された当時小学生だったワタシは、
 FM放送でこの映画のサントラ盤特集が組まれた時に録音し、愛聴していました。



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 コドモ時代この映画を見たときは、ネコのかわいさしか目に入りませんでしたが。
 今見ると。
 もうハリーが!どこまでもトントの言いなり!
 自分がどれほど不便になろうとも、トントがいやがることは絶対しないのです。
 バーにまで連れてって、「ワタシはスコッチ、ネコにはミルク」とか言って。
 やってみたいわーこーゆーこと。
  

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 考え方の違う色んな人々、旅の楽しみ方、老いへのそして独立した家族への向かい方、
 にゃんこへの仕え方、
 あらゆるテーマが上手にタテヨコ織りになったお話です。
 なお、監督のポール・マザースキーさんは、小津安二郎ファンで
 これは『東京物語』から着想して作った作品なのだそうです。
 
 
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 日本でも最近DVDになってるようなので、見たことのない方は是非どうぞ。
 (楽しい映画ですが、最後の2分くらいで急に号泣させられるので気をつけてね。
  特にトラネコ好きな方。)

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