環日本海
環日本海 環日本海(かんにほんかい、わ・にほんかい)は、日本海に面する諸国の都市の間の政治・経済・文化交流を深め、一つの地域としての一体性を出そうとする構想から生まれた、日本海を取り囲む地域を指す名称。この構想を環日本海構想という。
日本、韓国、北朝鮮、ロシアの日本海に面する地域、とりわけ日本ではかつて裏日本と呼ばれて発展に乗り遅れていた地域が中心となっており、全体的に日本側が積極的に推進している。これには今後発展の見込まれる新興国であるロシア・韓国・中国との経済関係を強化することで、日本海側の諸府県がこれらの国々への玄関口となり経済的利益を得ようという思惑もある。
日本海に面する韓国の慶尚北道・江原道、ロシアの沿海地方さらに中国の東北部などは経済的に各国の中心地から離れており苦しい立場にあり、ともに経済交流を強めてアジアの中心へと浮上したいという利害が一致している。ただし、環日本海諸国間の歴史的・政治的な反目や、とりわけ羅先特級市などの経済特区をかかげながら一向に経済改革が進まず、逆にこの地域の軍事的緊張やリスクを高めている北朝鮮の存在が、環日本海地域一体化へのネックとなっている。
環日本海経済圏 環日本海経済圏とは、日本海周辺のロシア極東部、モンゴル、中華人民共和国(中国)東北3省、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)大韓民国(韓国)、そして日本を含む、人口2億9千万人を有する経済圏のことをさす。
詳細 北東アジア経済圏とも呼ばれ、ロシア極東地域ではサハリン州、ハバロフスク地方、アムール州、沿海地方が、中国では黒竜江省などが中心となっている。ロシアの天然資源、中国・北朝鮮の安価な労働力、日本・韓国の資本力と技術力を相互補完的に組み合わせた新しい経済圏として期待されている。
また、こうした経済面に加えて、東西冷戦の終焉、ロシアの市場主義経済導入などによる影響で、日本の中でみると開発が遅れている日本海沿岸の都道府県が、これらの地域と積極的に交流する姿が近年目立っている。現段階では、語学研修やスポーツ交流の域にとどまっている感がぬぐえないものの、航空路線の新規開設が進むなど、ビジネスを含めた交流人口は着実に増大している。
経済開発に関して最も注目されているのが、中国と北朝鮮の国境を流れている川・豆満江の流域開発である。ロシア・中国・北朝鮮3国にまたがる同地域の三角地帯を約300億ドルを使って開発し、10万人規模の産業都市を建設するというプロジェクトだ。ここでも、ロシアと北朝鮮の天然資源に、中国の労働力、日本、韓国の資本力と技術力を組み合わせることがプロジェクトの要となっている。特にロシアの極東部などは、石炭と天然ガスの宝庫であり、北朝鮮も豊かな鉱産物を抱えていることから、日本の商社などからは熱い視線を注がれている。
しかし、こうした安易な開発優先主義に警鐘を鳴らす有識者も多い。資源が豊かである反面、豊かな自然も残っていることから、日本の環境保護団体などはプロジェクトそのものに反対の意向を示している。
前史 明治以来、戦前の歴史において、日本海の向こう側との貿易を意味する「対岸貿易」という用語が同様の意味をもった。港湾整備「築港」とそれに接続する国内交通網整備「鉄道敷設」により、地域の発展を図るという点で類似した将来構想であった。ロシア革命以後、日本海の対岸に共産主義政権が成立したため展開の余地なく、東西冷戦終結後の環日本海経済圏構想の時代を待たねばならなかった。
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