白の寛解(10)
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青を失い 生んだ幻
剥がし取られた 大事な記憶
白井は 泳ぐ 剥き出しの魚
孤独な鬼は 白井を求め
一人 始めた 鬼ごっこ
今の 自分を 磔にして
叫んだ声が 響き渡る
剥がれた 鎖骨の 記憶と共に
針の 先から 痛みが 漏れる
青が 消えたと 白井は 知った
ミイラと鬼は 沈んで 黙る
彼らが 守った 孤独と幻
白井は 砕く 冷たい氷
それが 彼に できること
角を 落として □を ○に
鬼ごっこは もう 終わり
疲れた 鬼は 動けない
糸の 切られた マリオネット
鱗は 剥がれ 流した涙
赤い瞳に 隠した痛痒
求めた 世界に 心を明かす
ミイラの 塞いだ 口と青
彼が 守った 嘘の幻
風が 散らした 暗い雲
下手な強がり 止まぬ懊悩
それでも ミイラは 隠したつもり
ようやく自ら ほどいた包帯
青を 失くした 空は 退屈
うつむく人の 出会う 場所
歪んだ 鏡の 曲がり角
鏡が 消した 自分の姿
自分の いない 不安な世界
曲がり角から 進めない
立ち止まったら 後戻り
不安を 消しに さかのぼる
そして ぶつかる 別れ道
鏡に 映る 自分の姿
後ろに 伸びる 暗い影
動かぬ形を 受け容れて
色に染まった 人の形 ( なり )
燃やせぬ 過去の 灰の色
焦げた 幻 掬った 現実
赤 の痛みを 抱えた人の
目には 世界が 歪んで 見える
真っ直ぐ立てば 全ては 曲がる
黒 の悩みに 沈んだ人の
頭は 岩より 重く垂れ
切られた 手足は 動かない
青 の高さを 知る人の
世界は 正しく 傾いて
鏡の 先に 伸びる道
白 のほどいた 糸屑が
痛みをつなぎ 悩みを むすぶ
編まれた 糸の 形を なぞる
〔了〕 |
