はい、お約束の通り前回の続きです。藺相如。
この人はものすごく怖い。めちゃくちゃ怖い。どれぐらい怖いかというと、ヤのつく自営業の人ぐらい怖い。
まあ、戦国時代の人達ってみんな893のようなものなんですけどね。まあ、この人の場合はケンカも出来て弁も立つ、インテリヤクザか顧問弁護士かって感じなんですが……
てなわけで、藺相如さんの逸話行きたいと思います。前回の廉頗との刎頸の交わりもそうなのですが、今回はもう一つの故事成語「完璧」についてです。
藺相如さんのいた趙組には和氏の璧と呼ばれるお宝がありました。あ、璧っていうのは絵にあるとような、今で言うキーホルダーみたいなものね。
この和氏の璧、他国に例を見ないほど素晴らしい壁で、そのウワサを聞きつけた西の首領(ドン)、秦の昭王がお手紙を趙の恵文王に送りました。
「ワシのシマを15城(城とは、まあ領地の単位みたいなもの)やるけえ、和氏の璧を譲ってくれんかのう」
この手紙が来たことで趙の国は大あわて、この手紙にどう対応するかあーだこーだと言い合っていました。
おそらく、和氏の璧を渡したところで15城はもらえませんし、渡さなかったら、それを理由に抗争となるでしょう。
結局、良い案も出ず、誰か使者を立てて、そいつに全部丸投げしようと言うことになりました。
しかし、誰を使者に立てるかで又会議が紛糾します。
と、そこに、恵文王組長のお付きの宦官(ナニを切り取られた、王様の奴隷)、繆賢(びょうけん)が進み出て言いました。
「ワイの子分に藺相如ちゅうのがおりまして、それなら何とかしてくれる思います」
と言ったので、早速藺相如を呼び寄せました。
やって来た藺相如に、早速組長は質問します。
「この状況どねえすりゃあええかいのう」
「ワイ等が壁をわたさんかったら非はワイ等にあります。せやけど、渡してシマをわたさんかったら、秦の非となります。そう言うわけですから、サッサと渡して非をなすりつけましょう」
「せやけど、使者は誰にすりゃええ」
「誰も適任者がいないんでしたらワイが行かせて貰います。シマを渡せばそれで良し、わたさんかったらワイが壁を完(まっと)うして帰ります」
という感じで、藺相如は秦に赴きました。
秦について謁見すると、西の首領(ドン)、昭王は偉そうな態度で待っていました。
「これが約束の壁です」
「おう、ごくろうやったな」
と言うが速いか、昭王は壁を手に取ると、周りの直参や愛人に見せびらかし始めました。
(こりゃシマ渡す気無いな)
そう考えた相如は早速、ミッション「完璧」を遂行し始めました。
「あ、親分、この璧傷がついてまっせ」
「お? どこや」
「ほら、ここに」
と、昭王が油断した隙をついて璧を問い返しました。それを見ていた部下達が怒ります。
「ワレ! オヤジになにさらしよんじゃ!」
しかし、藺相如は更に怒り浸透した顔で言い放ちました。
「おどれ等こそ何のつもりじゃ! ワイのオヤジはこの璧渡すために寝食を慎み、身を清めてお祈りまでしたんやぞ! それをおどれんところの親分はなんや、しゃんとせんばかりか、まわりのもんに我が物じゃと言わんばかりに見せびらかしよって! 15城の話もおじゃんにする気やないんか。真面目にせんのやったら、ワイが壁と共に柱に頭をぶつけて粉々になっちゃるけえのう」
この迫力に気圧されたのか、昭王は態度を改めて15城の話をしました。とはいってももちろん15城のことはその場しのぎの嘘。それに相如が気付かないはずもないので、
「親分、どうか親分もワイのオヤジ同様、身を清めてからにしてください。そしたら壁を渡します」
と言って、時間を稼ぐことにしました。昭王も、断る理由もないので(仕方なしに)それに付き合いました。
その夜、相如はお付きの者に命じて壁を趙へと送り返しました。
数日後、身を清めて来た昭王に対して、
「璧はもう趙に返しました」
とケロッとした態度で言い放ちます。
周りの者はまたもや怒り、相如を殺そうとします。しかし、昭王が止めました。
「ワシの負けや。今こいつを殺しても何と得にもならへん。それどころか趙の恨みを買うだけや。兄ちゃん、もう帰ってええで」
こうして、璧も相如自信も、無事趙へ帰り着いたのです。
このことから、「完璧」と言う故事成語が生まれました。
藺相如ってこれ以外にもすげえヤクザな逸話があるんですが、睡魔の関係上ここで終了です。
ちなみに史記の司馬遷は藺相如のことを文武知勇の将と誉めてる見たいです。
あ、それから、よく完璧を完壁と間違える人がいますよね。あれって下が「土」じゃなく「玉」なのに、どうも間違えちゃう。気をつけないといけませんねえ。
というところで今日は終了。ノシノシ
次回は何が出てくるでしょう。