2011年から
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2011年(から)のグローバル社会運動の特徴として、わたしはかつて、次の三点を指摘したことがある。 (1) グローバル連動性 (2) 情報ネットワーク性 (3) 再帰性=自省性 第四点目として、(一部の例外を除き)きわだった「非暴力性」を付け加えることができるだろう。 (4)非暴力性――「平和的な直接行動によって社会を変えることができる」という人びとの確信。 運動の共通の目標は「民主主義」と「経済的正義」の実現=現実化。目標実現のための手段は、非暴力的直接行動と公共空間の奪還・再構築。 もちろん、「公共空間の奪還・再構築」はたんなる手段ではない。それは一つのプロセスであると同時に、究極の目的でもある。つまるところ、それは「民主主義」の実現=現実化と同じことだ(「経済的正義」すなわち、万人に対するベーシック・ヒューマンニーズ(「健康で文化的な最低限の生活」)の保障と一定の経済的平等は、「民主主義」実現=現実化のための不可欠な条件であり、かつまた「民主主義」の結果でもある)。目的が手段を規定し、手段が同時に目的でもある(目的と矛盾する手段――たとえば暴力――は用いない)のが、今回の社会運動の特徴の一つでもある。まとめると、2011年のグローバル社会運動の到達目標は、 (5) 公共空間の奪還・再構築と民主主義の実現=現実化。――民主主義とは、もちろん、直接・参加・水平・包摂・討議民主主義、全員参加の「真の・リアルな」民主主義のことである。 (6) 経済的正義の実現=現実化。 「わたしたちは、みなさんが自分たちのもっているパワーを主張し、行使することを強く要請します。平和に集まる権利をみんなで行使しましょう。公共空間を奪還しましょう。わたしたちが直面しているさまざまな問題に取り組むために、民主主義的なプロセスを創造しましょう。だれもが参加し、享受できる解決策を、共につくりあげましょう」(「ニューヨーク市占拠宣言」2011年9月29日) http://www.nycga.net/resources/declaration/ 2011年のグローバル社会運動の概略を簡単にまとめておく。以下の文献等を参考にした。 FROM CAIRO TO WALL STREET:VOICES FROM THE GLOBAL SPRING, 2012 ◆中南米 中南米の情報は日本ではあまり知られていないが、過去数十年間、中南米は社会運動が最も活発な地域のひとつであった。そもそもの始まりは、 「9月11日、私たちの国は自由の敵に襲われました」 1973年9月11日、南米チリでピノチェト将軍率いる軍部がクーデタを起こし、3000人以上の市民が殺害された。 米国上院特別委員会の調査報告書によれば「選挙でアジェンデが第一位となってから11日後の1970年9月15日、当時のニクソン大統領が、アジェンデ政権の成立はアメリカにとって受け入れられない、と当時のヘルムスCIA長官に告げ、アジェンデの大統領就任を阻止するため、軍事クーデタを起こさせることを提案した。合衆国政府は、反アジェンデ軍事クーデタを支援し、陰謀派を激励した」。 米国(CIA)に支援された軍事クーデタによるアジェンデ政権崩壊後、チリをはじめとする南米で(米国の「シカゴ・ボーイズ」投入による)「ネオ・リベラル」政策が試行的に実施され、その後、この政策とイデオロギーは1980年代以降の世界を席巻することになる。 しかし、かつての強引な「ネオ・リベラル」政策の反動で、ベネズエラのチャベス大統領に代表されるように、(中)南米は2007年現在、すでに「反米大陸」と化している。 http://blogs.yahoo.co.jp/tessai2005/53763338.html 中南米では2011年に「多くの運動がラディカル化した」。アルゼンチンの鉱山開発反対運動、ボリビアのベロモンテ・ダム建設反対運動、ペルー、カハマルカの鉱山会社に対する運動、ボリビアの国立公園内の先住民保留地(TIPNIS)を横断する道路建設反対運動、等々。「反米左派政権」の下でも政府の「開発主義」に反対する民衆運動は続いている。2011年5月には、大学のプライバタイゼーションに反対し、公教育を擁護する、コロンビアとチリの学生運動が盛り上がった。チリの学生運動は国民的な支持を集め、12月の世論調査では、回答者の89%が学生の要求を支持している。 ◆アラブ世界 ネオ・リベラル政策による社会的排除、貧困と不平等の拡大、民主主義的な権利の否定が「アラブの春」に火をつけた。2011年1-2月には、チュニジアのベン=アリー政権とエジプトのムバーラク政権が倒れた。 ジャスミン革命 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%9D%A9%E5%91%BD ◆欧州 2011年前半の最も注目すべき運動は、スペインのindignados(怒れる人びと)の運動だった。5月15日に始まった運動(15M)は、アラブの春と欧米の運動をつなぐ触媒の役割を果たした。 http://en.wikipedia.org/wiki/2011%E2%80%932012_Spanish_protests 特にマドリッドとバルセロナでは、都市中心部の占拠、抗議運動、近隣の住民全体集会が結合して「真の民主主義」を求める運動が拡大、左派政党を含む既成の政治システムを脅かした。運動の主な要求は、政治的エリートの特権剥奪、労働時間短縮とワークシェアリングによる失業問題の解決、住居に対する権利、医療・教育・交通等々の良質な公共サービスの実現、銀行・金融資本・大企業のコントロール(政府による金融機関の損失補填や大企業の課税回避の禁止)、税制改革(累進課税、トービン税の導入、等々)、市民権、個人の自由、参加民主主義、インターネット活動に対する国家の干渉禁止、情報にアクセスする権利、強制的拘束力のある住民・国民投票制度の確立、選挙制度の改革(比例代表制)、裁判官の独立、軍事予算の削減、等々であった。運動の形態としては、全員参加の討議による決定。スローガンは「われわれは商品ではない」「真の民主主義をいま」("We are not goods in the hands of politicians and bankers" "They call it democracy, but it isn't." "They don't represent us." "Real Democracy Now!") ◆米国 2011年秋からウォール街占拠運動が米国内の1000地域にまで拡大した。この運動の要求は、たとえば、次のようなものであった(「ニューヨーク市占拠宣言」)。 >巨大な不正に対する、ふつうの人びと(the 99%)の怒りや憤りを表明するために、私たちは連帯してこの自由の広場に集まりました。私たちを結集させた「敵」を見失ってはなりません。私たちが、世界の巨大企業の暴力によって不当・不正な扱いを受けたと感じているすべての人びとの味方だ、ということを知らしめるために、私たちはこの文章を書きました。 >一つにまとまった、ふつうの人びとの集団として、私たちは以下のように現実を認識しています。人類の未来は、人びとの連帯と協力を必要としています。本来私たちの権利をまもらなければならないはずのシステムが腐敗堕落したときには、個人個人が自分たちの権利と隣人の権利をまもるためにたちあがる義務があります。民主主義的な政府の正統な権力は、ふつうの人びとに由来します。けれども巨大企業は、人びとと地球から富を搾り出すために、人びとの権力に同意しようとはしません。社会のさまざまなプロセスが経済的権力によって決定されているとき、真の意味での民主主義を実現することなど、できるはずがありません。企業の利益を人びとの利益よりも重視し、正義よりも企業の私益を大切にし、平等よりも抑圧をめざす、そのような巨大企業が私たちの政府と政治を乗っ取り、私物化している時代に、私たちはみなさんの前にやってきました。私たちはこの広場に平和に集まります――平和な集会をおこなうのは、私たちの権利だからです。そして、私たちは、以下の事実をみなさんにお知らせします。 ■彼らは、不法・不当な差し押さえにより、人びとの家を奪った。 ■彼らは、人びとが納めた税金から、会社の免責付き緊急救済資金をぶんどった。それにもかかわらず、彼らは、会社の役員に法外なボーナスを払い続けている。 ■彼らは、職場の中で、年齢、肌の色、性アイデンティティ、性的指向を理由に、不平等と差別を永続させた。 ■彼らは、手抜きにより、食品に毒を混入させ、独占をつうじて農業システムを破壊した。 ■彼らは、無数の動物を拷問にかけ、監禁し、残酷な取り扱いをすることから莫大な利益を得てきた。そして自分たちの行為を意図的に隠してきた。 ■彼らは、労働者が、よりよい給料、より安全な労働条件を求めて交渉する権利を、たえず奪おうとしてきた。 ■彼らは、教育を受ける権利(これは人権の一つだ)をもっているはずの学生に莫大な借金を負わせることによって、学生を人質に取った。 ■彼らは、一貫して労働のアウトソーシングをおこない、アウトソーシングを労働者のヘルスケアと給料をカットする手段にした。 ■彼らは、裁判所に影響力を及ぼし、人びと(自然人)と同じ権利――しかし、人びととは違って、有責性のない権利――を手に入れた。 ■彼らは、お雇い弁護士チームに莫大な金を支払って、労働者の健康保険に関する会社の契約義務をのがれた。 ■彼らは、私たちのプライバシーを商品として売りつけた。 ■彼らは、出版の自由を抑圧するために、軍事力と警察力を用いた。 ■彼らは、利益を得るために、生命を危険にさらす欠陥商品のリコールを拒否した。 ■彼らは、彼らの経済政策がこれまでずっと破局的な失敗をもたらしてきたし、今ももたらし続けているにもかかわらず、経済政策の決定権を握っている。 ■彼らは巨額の資金を政治家たちに寄付してきたが、その政治家が彼らを「規制」している。 ■彼らは、私たちを石油に依存させ続けるために、代替エネルギーの開発を阻止してきた。 ■彼らは、すでに巨額の利益を回収している投資を保護するために、人びとの命を救い、または人びとの苦痛を軽減する、ジェネリック医薬品の普及を妨害し続けてきた。 ■彼らは、利潤を追求するため、石油の流失、事故、欠陥帳簿、等々を意図的に覆い隠してきた。 ■彼らは、メディアをコントロールすることによって、人びとに間違った情報を与え、人びとを恐怖支配の下に置いてきた(ショック・ドクトリン)。 ■彼らは、囚人が罪を犯したかどうかに関して重大な疑義が提出されている時でさえも、囚人を殺害するため民間の契約を受け入れてきた。 ■彼らは、国内と国外での植民地主義を永続化させてきた。 ■彼らは、海外で無実の民間人を拷問にかけ、殺害することに関与してきた。 ■彼らは、政府契約を取るために大量破壊兵器をつくり続けてきた。 (続く)
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