UNEPS国連緊急平和部隊の創設

ジェノサイドに即応する個人参加の「国連緊急平和部隊」創設提案

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『テロ特措法延長反対で陸自の危険度が増す』
と題されたフォーサイト2007年9月号の記事に以下のような記述がありました。

ではなぜ、同法が期限切れで廃止されると、陸自に犠牲者が出るというのか。防衛省幹部は「自衛隊の海外活動は航空自衛隊のイラク空輸と海自のインド洋派遣が対米支援の二本柱。このうち一本が消えれば米国は黙っていない。過去に派遣を求めてきたアフガニスタンへの陸自派遣が再浮上する」と語る。

 アフガニスタン派遣は陸自のイラク派遣より前に検討されたが、現在の武器使用基準では対応できないことを理由に派遣を断念した。同幹部は「今年一月、訪欧した安倍首相が自衛隊のアフガン派遣に意欲を示した。米国や欧州各国は対外公約とみており、もしインド洋派遣が終わればアフガン派遣を求めるはず」という。さらに、「仮にアフガンが無理な場合は、アフリカのスーダン・ダルフールPKO(国連平和維持活動)への派遣も求められる選択肢に入ってくるだろう」と見る。

 アフガンは北大西洋条約機構(NATO)主力の部隊でイラク同様多数の戦死者が出ている危険地域。「インド洋撤収の代償は危険ゾーンへの陸自派遣。このままでは過去十五年以上続いた海外での犠牲者ゼロの記録は途絶える」と自衛隊は危機感を強める。

この記事には3つの錯誤があります。1つは、安倍首相がNATOの会合で「自衛隊のアフガン派遣に意欲を示した」という記述について、アフガン派遣の内容を理解していないと思われるからです。

現在、アフガンではOEF(不朽の自由作戦)、ISAF(国際治安支援部隊)、PRT(地方復興チーム)の3種類の作戦が展開されており、日本はこのうちの1つ、OEFの中でOEF-MIO(海上阻止活動)にのみ参加しています。

外務省の国会提出資料(2007年8月作成)によれば、 MIOとは「インド洋におけるテロリスト及び関連物資の海上移動の阻止、抑止の活動」を指します。日本がテロ特措法の範囲内で行っているアフガンでの支援活動はこれに限定されているということです。

仮に、テロ特措法の延長が叶わず同法が廃止されると、日本はその他の方法でアフガン支援に関る方法を模索することになります。そこで浮上する選択肢は、OEFの地上作戦、「アフガン南部、東部のパキスタン国境付近等を中心としたアル・カイダやタリバン勢力の掃討作戦等」に参加するか、「中央政府の地方への影響力拡大や国際援助活動実施のための治安環境改善等を目的に、軍人及び文民復興支援要員から構成された部隊が、治安環境改善と復興事業を実施」するPRTに参加するかのいずれかになります。

この事実に基づいたこの記事の2つめの錯誤は、安倍首相が述べた「アフガン派遣」の意味を取り違えていることです。安倍首相がNATO会合で述べたのは単なる「アフガン派遣」ではなく「アフガンへのPRTの派遣」だったということです。


このような考え方に基づき、私はアフガニスタンを支援する確固たるコミットメントを表明します。

 第一に、ロンドン会合のコミットメントを達成するため約3億ドルの更なる支援を実施します。これにより、道路、空港、農業開発の分野等を中心に、アフガニスタン国家開発戦略を支援します。

 第二に、治安分野での支援を強化します。我々はNATOと緊密に協力しつつ、非合法武装集団解体(DIAG)を熱意をもって進めていきます。また、日本は特に、アフガニスタン警察の能力強化に重点をおきます。

 第三に、NATOの地方復興支援チーム(PRT)が実施する人道活動との協力を強化します。我が国政府はPRTがアフガニスタンの奥地で果たしている重要な役割を高く評価しています。ついては、初等教育、医療、衛生等の分野を中心とする分野で、どのようにすれば日本の支援活動とPRTの支援活動がより深い相乗効果を持つようになるかを更に追求していきます。このため、日本は、リガ首脳会合で設立が提案されたアフガニスタンに関するコンタクト・グループに積極的に参加します。

 第四に、日本は麻薬・テロとの闘いにより大きな役割を果たしていきます。そのため、ドイツ、米国、EUと協調しつつ、アフガニスタン政府の国境管理能力強化に取り組んでいきます。

これが、安倍首相が会合でほのめかした「アフガンPRTへの自衛隊派遣に対する意欲」の全容です。PRTとOEFの地上掃討作戦では、その作戦の内容もそれに伴う人的リスクの大きさもまったく異なります。たしかに、アフガンでの地上作戦行動は多大なリスクを伴いますが、それは直接戦闘行動に関らなければならないOEFの地上掃討作戦のような純粋な軍事オペレーションに限られます。アフガンで「成功している」といわれるPRTではOEFと違い犠牲者はそれほど出ていません。単純に数でいえば、OEFとPRTの犠牲者の数は雲泥の差があるでしょう。ただ、リスクが全くないわけでありません。それは事実です。


しかし、ここで3つめの錯誤が問題になってきます。

この記事の3つめの錯誤は、あたかも日本政府が米国の要請のままにアフガン派遣を行うと考えている点にあります。現行のテロ特措法のままでは、日本は自衛隊を陸上戦(OEF)に投入することはできません。またPRTに参加するにあたっても、以下のとおり同法の原則により制約されます。

基本原則
(1)武力による威嚇又は武力の行使を禁止
(2)いわゆる非戦闘地域で活動
(3)外国での活動は、当該外国の同意がある場合に限る

対応措置
対協力支援活動
諸外国の軍隊等に対する物品及び役務の提供、便宜の供与その他の措置※自衛隊の行う物品・役務の提供の種類は、補給、輸送、修理及び整備等

捜索救助活動
戦闘行為によって遭難した戦闘参加者の捜索・救助を行う活動

被災民救援活動
テロ攻撃に関連した国連決議又は国連等の要請に基づき、被災民の救援のために実施する食糧・衣料・医薬品等の生活関連物資の輸送、医療その他の人道的精神に基づく活動
出典:『テロ対策特措法の概要』(内閣官房、2007年8月作成

自衛隊の支援活動内容をこれらの原則および対応措置に定める内容に限定すれば、おのずと自衛隊はイラクで行ったように「非戦闘地域」での活動に限定されます。また武力による威嚇又は武力の行使を禁じられている限りは、OEFには参加できませんし、PRTにおいても危険だと思われる作戦地域には派遣できないでしょう(参考:民主の“文民”派遣案)。つまり、同法に照らして日本が自衛隊の派遣の可能性を考えた場合、これらの原則が守られないと判断する地域にはまず国会で派遣を許可することもできないし、自衛隊最高指揮官としての総理大臣判断でも同法に反する行動はとれないのです。したがって、

「インド洋撤収の代償は危険ゾーンへの陸自派遣。このままでは過去十五年以上続いた海外での犠牲者ゼロの記録は途絶える」と自衛隊は危機感を強める。

という防衛省幹部の懸念は当たりませんし、仮に新法を策定する場合になったとしても、現行の法体系ではいずれにせよ上記の基本3原則がつきまといます。したがって政府・国会は、故意に自衛隊に対する危険を高めるような判断はできないのです。これは、ダルフールへの派遣を懸念する記述においても同じことがいえます。

深刻的な人道的危機にあり治安状況も決してよくないダルフールは純然たる「戦闘地域」です。現行の法体系で政府が自衛隊の派遣を決定できるわけがありません。防衛省幹部のいう「危険ゾーン」への派遣が実体化するためには、基本三原則の撤廃が必要です。しかしそれは現憲法上では不可能なのです。

自衛隊は、現憲法体系により守られているのです。

(了)

転載元転載元: 国際刑事裁判所(ICC)と日本

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【お断り】

当記事は、特定の報道における一連の錯誤を指摘し事実関係を整理するために、一時的に政策外議論として公私兼用のICC運動用ブログに記載したものの転載です。当ブログにて、テロ特措法を重点政策として臨時で取り扱うことにしたので、こちらに転載いたしました。

※当記事の内容は、政府与党の提案を支持・擁護するものではなく、また政府与党案(代替案)に対する民主党の対案を示すものでもありません。

参議院議員・犬塚直史事務所
ブログ製作管理担当 勝見貴弘

2007/9/12(水) 午前 10:33 UNEPS 返信する

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