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SALIMグループの完全復活

1997-98年のアジア経済危機前には、アジア最大の財閥であったサリム・グループの跡継ぎ息子であるAnthony Salimに関しては、前回の本欄でも少し触れました。

そのAnthonyの最近の「露出」を捉え、インドネシア国内のリーディング政治経済誌であるTEMPO(4月3-9日版)に、”SALIM RISES AGAIN” とした記事が掲載されました。

内容としては、前回の本欄で紹介した3月の「インドネシア・フォーラム財団」による『インドネシア世界第5位経済大国計画』発表時のプレゼンスや、今年1月にもユドヨノ大統領のすぐそばでさも親しそうに同席しているプレゼンスなどを取り上げ、「最近のAnthonyのプレゼンス、特にユドヨノ大統領への接近は、何か意味を感じさせる」と報じています。

Anthonyは、サリム・グループ総帥であった実父スドノ・サリムが1998年5月のジャカルタ暴動時に国を離れた後、スハルト政権崩壊とともにサリム・グループ全体の統括を引き継ぎました。

アジア経済危機の引き金となった、1997年7月2日のタイ・バーツ急落から1年が経とうとする中、サリム・グループはAnthony総帥のもと、経営的に完全復活しました。

グループの中核企業であるIndofood社は、世界最大の小麦粉と麺の製造企業です。2006年の売上高は、創業来過去最高の21.9兆ルピア(約3000億円)を計上し、インドネシア国内のインスタント・ラーメン市場占有率も75%まで回復しています(2005年は73%だったので、2ポイントの回復)。

そして、今年1月7日付の本欄(『シンガポールで増殖する華人資本』)でもご紹介した、『Indofood社の資金調達トリック』による資本増強によって、Indofood社はインスタント・ラーメン市場だけでなく、パーム油生産用プランテーション・ビジネスへの投資を加速させて、以前よりも安定的に収益をあげられるようになりました。

好調な業績を上げているIndofoodの本社機能も、ジャカルタ市内のクニンガン地区から、日本でいう丸の内にあたるSudirman通りに面する新しい39階建てのオフィスビル「Sudirman Plaza」に、もうじき移転します。

1998年のアジア経済危機時に、当時のグループ中核企業だったBCA(Bank Central Asia)にかかる52兆ルピアの負債は、負債返却のために政府(銀行再建庁:IBRA)へ「献上」したグループ関連108社と関連資産によって、基本的に『負債処理完了』の通知レターがIBRAから2004年3月に出されています。

このように、負債処理の完了と景気回復を梃子に、Indofoodをコアとしたサリム・グループは完全復活し、Anthonyは実父と同じように再び大統領へ近付き、政治との蜜月を演じ始めています。

この現状をどう評価するのかは、はっきり言って意見が分かれているところです。

TEMPO誌は − 
「Anthonyは、必ずしも問題から完全に開放されているわけではない。いまだに、IBRAとの資産処理に関連して、警察が捜査を進めている案件があることは確かであり、このことから国会議員の中には『最近のAnthonyのプレゼンスの高さは、意識的にメディアを使って検察側にプレッシャーを与える戦法のひとつだ』というコメントもある。そのほかにも、最近話題になっている土地転がしにかかる汚職事件にもAnthonyが関係しているという可能性も示唆されている」
− と厳しく論じています。

一方で、Anthonyが実父から引き継いでサリム・グループを率いるようになってから、経営自体が合理化し、スハルト時代のような複雑な大量の子会社をつくった不透明な取引は少なくなり、よりシンプルで高収益体質の企業競争力がついた結果である、というポジティブな評価もなされています。

サリム・グループの復活が、インドネシア経済にとっては、現在のところプラスに働いているのは間違いないと思われます。しかし、最近のAnthonyの『不必要に頻繁な露出』は、グループの業績が好調なだけでは説明できない部分があるのも否めません。このあたり、まだまだインドネシアの華人資本家は、インドネシア国内での政治ゲームと切り離して考えられない部分がある、と言えると思います。
( tknaito 研究主幹 ) Copyright © tknaito 1999-2007

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