ロシア・CIS・チェチェン

おいプーチン、チェチェンから撤退しろ!今ならまだ間に合うぜ by アンドレイ・バビーツキ

全体表示

[ リスト ]

イメージ 1

濱口桂一郎『新しい労働社会−雇用システムの再構築へ』(2009年)岩波新書


遅ればせながら現在、某雑誌にこの本の書評を執筆中。労働運動家にとっても、重要な問題提起が多々、含まれている。特に序論が重要なので、ここで躓くと後も理解できないという、恐るべき本w。

なお、著者のBlogはコチラ=>
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/

著者によれば、本書は「日本の労働社会全体をうまく機能させるためには、どこをどのように変えていくべきかについて、過度に保守的にならず、過度に急進的にならず、現実的で漸進的な改革の方向を示そうとしたもの」だという。

まず、序章で「職務(ジョブ)のない雇用契約」、換言すればメンバーシップ契約の論理的帰結として、長期雇用制度・年功賃金制度・企業別組合といった日本型雇用システムが形成されることを強調。例えば、職務ではなく年功で賃金が決定される日本では、産業別ではなく企業別に労使交渉がなされる。また長期雇用制度の中で、経営悪化や人事異動に対して労組が協議するためには、企業別組織である必要性がある。但し、日本型雇用システムは大企業の男性正社員を中心に普及したが、主婦パートや学生アルバイトなど非正規労働者は対象とならない。彼らは多くの場合、具体的な職務にもとづく有期雇用契約を結び、賃金水準は外部労働市場に規定され、職場の労組からは排除されている。

第1章「働きすぎの正社員にはワークライフバランスを」では、残業代規制ではなく労働時間の法的規制が主張され、第2章「非正規労働者の本当の問題は何か?」では、偽装請負より偽装有期労働こそ問題があるという。第3章「賃金と社会保障のベストミックス」は、賃金を生活給から職務給へ移行させるなら、雇用保険や生活保護など社会保障制度の再編・充実と並行的になされるべきことを説く。第4章「職場からの産業民主主義の再構築」では、職場の非正規を含めた労働者代表組織による、企業経営への関与を中心とした労使協議制を法的に保障すべきだという。企業別正社員組合をベースにするが、それとは別の性格をもつ全労働者の組織を新設し、正社員と非正規労働者の利害調整をも行う。なぜなら労働組合とは本来、特定の利害をもつ者の自発的結社であり、非正規労働者の加入を強制できないからだ。

以上が概略だが、本書は労働法政策の立場から、従来の議論に対して鋭い問題提起を数多くしている。以前から日本の労働界やアカデミズムでは、労働運動活性化の観点から「企業別組合から産業別組合への転換を」と安易に叫ばれ、「同一労働・同一賃金」原則の観点から「生活給ではなく職務給を」とだけ主張されることが多かった。最近では、合同労組を否定し、「職場ごとに分会を作るべきではない」という言説まであるが、それが如何に空論なのかは本書によって分るだろう。また昨今、日雇派遣に関しては、「需給調整のため有期雇用は必要だが、間接雇用は労組によるもの以外廃止すべき」という意見など、様々な議論が錯綜している。だが、少なくとも本書のように、派遣・請負・労供労組・職業紹介や有期・パートの法的構成と実態とを、整理して考察しなくてはならない。

但し、経済政策の議論までは無い物ねだりだとしても、第2章は何よりも当事者から、第4章は労働運動家から異論が出ると思われる。それゆえ、特に非正規ユニオンや地域労働運動や社会運動ユニオニズムなどの実践と、擦り合わせる必要があるだろう。それでも本書は、今後の労働を考える上での必読文献である。

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事