オリンパス・ブルーと言う言葉、聞いた事ありませんか?
晴天時に撮影した空の色が、階調に優れた青空(ライトブルーからダークブルーへのグラデーション)に写る事からオリンパス・ブルーと呼ばれます。
OLYMPUS E-300
しかし、このオリンパス・ブルーを撮影出来るデジタルカメラはそう多くありません。
また、具体的な表現が無いことから単色(派手な濃い青)と勘違いしている方も多いのです。
良く、偽色と言う触れ込みがありますが其れは誤りです。仮に偽色であれば色補正で可能であり、わざわざ固有名詞を付ける事は有りません。
尤も、元々再現出来て居ない色の階調は偽色でも再現出来ません。
要するに、プロセス(デジタル処理)に拠る結果では無いと言う事です。
先ず、オリンパスの場合はフォーサイズ規格にその要因が有ります。
この規格の特徴は、レンズと受光素子を可能な限り良好な状態にする為に、レンズからの光の入射角度を平行にする配慮が成されました。
この配慮により、受光素子への配光が無駄なく行われ色収差を低く抑え。更に短いフランジバックのお陰で高解像を実現出来たのです。
と此処までは、フォーサイズ規格を取り入れているパナソニックも同様です。
しかし、パナソニック・ブルーとは聞いた覚えがありません。
尤も、パナソニックがフォーサイズ規格のシステム販売を開始したのが、2006年のLUMIX DMC-L1が最初です。
一方、オリンパス・ブルーと呼ばれた機種は、2003年のE-1、E-300から2005年のE-500までを言う訳ですが、後発となる2006年のE-330からは残念ながらオリンパス・ブルーを再現する事は出来ません。
そして、E-330とパナソニックのLUMIX DMC-L1が実質的に姉妹機であり。同じ受光素子(LiveMOS)を搭載して居ることに拠ります。
ここで、受光素子がCCDとMOSと言う違いが有りますが、全てのCCDがオリンパス・ブルーを再現する事は出来ないと言う事です。
其処で、オリンパスのE-1からE-500迄の3機種に使用されていたCCDに秘密が有るのですが、オリンパス・ブルーと同意語としてコダック・ブルーと言う言葉があります。
実は、オリンパスブルーと呼ばれる以前1998年頃からコダック・ブルーと言う言葉が存在し一部の人々から支持を集めたカメラがありました。
1998年発売のKodak DCS 520です。この機種はOEMでキャノンEOS D2000としても販売されました。
このDCS 520に搭載されて居る受光素子が、コダック製フルフレームCCDと成り後のインターレースCCDに変わる迄の間に、製造された大型フルフレームCCDが該当する訳です。
前出のオリンパスも。このコダック製フルフレームCCDを搭載して居たのです。
そして、コダック・ブルーを尤も広めた機種は2001年発売のCANON EOS1dだと言えます。
其れでは、コダック・ブルーはどの様に再現されて居るのか検証したいと思います。
始めに、コダック“フルフレーム”CCDを搭載している事が前提に成ります。
コダック製のCCDは、フルフレームと呼ばれる構造のCCDとインターライン構造の二種類が存在します。
そして、コダック・ブルーとは青色階調(RGBのB階調)が非常に優れていること。
之は、ダイナミックレンジが広いと言う事であり。要するに階調性に優れ、色が綺麗だと言う事です。
また、フルフレームCCDの特徴は、長時間の露光に強い(ノイズが少ない)と言う特徴も有ります。
利点である。ダイナミックレンジや長時間露光に付いては、受光素子(CCD)の画素ピッチと呼ばれる目玉の大きさに関係が有ります。
例として、CANON EOS1dに搭載されて居るCCDは、米コダック社の28.7×19.1mmAPS-Hサイズ400万画素のフルフレームと成り画素ピッチは、11.5μmである。当然、画素ピッチは物理的な制限があり同等の受光素子サイズであっても低画素と高画素では、必然的に画素ピッチの大きさは変わります。
要するに、最近のデジタルカメラは画素数(高精細)を上げる為に、画素ピッチを極小にする事で成り立って居ると言う事です。
そして、高精細を追い求めた結果として狭いダイナミックレンジ幅と長時間露光に弱いと言う弊害を引き起こし、一時期各メーカで示し合わせた様に600万から800万画素にて停滞した時期が有りました。
之は、この両課題を解決する為に様々な方法を模索していた時期と成る訳です。
現在も中々2000万画素クラスのデジタルカメラが出ない理由が、此処にある訳です。
其れでは、CANON EOS 1d MarkIIを引き合いに出しCANON EOS 1dと比較します。
MarkIIは、APS-Hサイズの800万画素CMOSと成る訳だが、CCDとCMOSの違いが有れど受光素子サイズは同じAPS-Hと成ります。しかし、画素ピッチで比較すると1d の画素ピッチは11.5μmであり、1dMarkIIは8.2μmと成る。
さて、この画素ピッチとダイナミックレンジの関係。そして、画像ピッチが大きいほど有利と言う事を説明する為に、光を水そして画像ピッチをバケツに例え説明します。
先ず11.5ℓのバケツと8.2ℓのバケツに同じ流量で、ある時間水を溜めたとします。
当然、8.2ℓのバケツが先に一杯に成る訳で、11.5ℓのバケツは其の時に7割程度の満水量となり3割程の余裕がある訳です。
また、流量に拠ってもバケツに溜める時間が異なります。要するに、流量は輝度であり。流量が多ければ早い時間に満水となる訳です。
要するに、バケツが満水に成る成らないの問題では無く、溜めている時間が重要と成るのです。
更に、受光素子が受ける光は、可視光線を波長毎に分類しRGBとして処理されて居るされている。
要するに、三原色分解(三原色である、R要素591-750nm、G要素496-590nm、B要素380-495nm)である。
次の表は、RGB要素を輝度軸と時間軸で表したものだが、時間の経過と共に左側の範囲に含まれる要素が表現される事を表している。
この表から、時間の経過と共に輝度の高い要素からR→G→Bの順番で、取り込まれている。輝度の低い要素は、夫々に必要と成る時間が長くなる事が判ると思います。
その結果、RGB要素の内、赤が尤も受光し易く、短い時間で赤要素の階調と成る591から750nm迄の要素を表現する事が可能だ。表で言えば時間の目盛りで4以下で可能と言う事だ。
しかし、青要素は赤要素よりも長い時間を要する事が理解出来ると思うが、之が意味する所はRGBの各色は要する時間が夫々異なり。長い時間を必要とする青要素は尤も表現されにくい事に成る。
以上の理由により、尤も表現が難しい色は輝度の低い濃紺と成る訳だが、此処での関係は、先に述べたように高輝度程短い時間で表現が可能と成る。しかし、輝度が低いと長い時間が必要と成り画素ピッチが小さいと表現する事が難しく成る訳だ。
先の表で、言う時間軸5.5あたりが画素ピッチ8.2μmであり。B要素の400nm以下の表現が出来ないと言う事であり全ての要素を拾い上げる為には、より大きい画素ピッチが必要と成る。
また、長時間露光に強い理由も此処にあり11.5ℓが満水に成る迄の時間は8.2ℓよりも遥かに時間を要する訳です。
この時間が長いほどに、長時間露光を許容する範囲と成る訳です。
尚、インターレースCCDは機構上フルフレームCCDより画素ピッチが小さく高画素向けと成る。
さて、オリンパスブルーを説明した時にフォーサイズシステムで色収差を上げました。
そして、フォーサイズのE-1やE-300等は、EOS1dよりも画素ピッチが小さいが引けを取らない?いやそれ以上の高ダイナミックレンジを有しています。
その秘密が色収差です。色収差は、レンズを透過した際に色毎の帯域にて屈折率を各々に生じる状態です。
この屈折率が抑えられれば、色収差を低く出来る訳です。そして色収差を低く出来ると言う事は其れだけ多くの光を集める事が出来ると言う事です。
この色収差を低く抑える事で、画素ピッチが小さくても高いダイナミックレンジを得るという訳です。
また、35mmサイズのデジタル一眼では入射光が斜めに入り込み周辺での色収差が大きく成り。青系の低数波領域で階調が失われる所があるのです。
その為に、画素ピッチが大きい程に、光を集め易く拾いにくい青系を拾うことが可能と成り階調性に優れていると言う訳と成る。
因みに、各RGBの線が交わる点が焦点と成ります。上の図では、B要素の交点とR要素の交点では大きなズレが生じています。要するに、色収差の大きなレンズでは、B要素とR要素ではピントが異なると言う事です。
天体写真愛好家では、有名な話ですが天体写真では青要素を多く含む恒星は青フィルタを使うとピントがシャープだと言うのもこの色収差が原因しています。