■舶 乗り丸の内日記■

丸の内勤め 船乗りの日記。(「舶 乗りロン ドン生活」改題)

家庭人として

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娘の訪問

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家族が、横浜に住んでいた頃の友人たちに会うため上京する、というので、初日に夕食だけ一緒にとった。
(わたしは翌日から上海出張が入っていた)

娘が、会社を見たい、という。
「いいよ」と安請け合いしていたが、その日が近づくに連れ後悔した。

これまで、わたしの少ない本社勤務でも、その間、誰かが家族をオフィスにまで連れてきた例は目にしたことがない。
妻は「わたしは丸ビルでぶらぶらしているから、娘だけお願い」と無責任なことを言う。

仕方がないので夕刻17時以降、できるだけ人がいない時間に少しだけ入らせることにした。

当日、言うまでもなく日本の本社はどこも18時過ぎても半数以上はまだ残業中だ。
娘には、「仕事の邪魔にならないように静かにしていなきゃだめだよ」と言い聞かせ、受付を済ませエレベーターに乗った。

ばつの悪いことに受付では常務、エレベーターホールでは専務に会い、
「お、キャプテンのお子さんかね」
とニヤニヤされてしまった。

オフィスでは、はしゃがないまでも声が大きく、あちこちの模型やら写真やらを触りまくる。
あちこちで失笑が聞かれる。
仕方なく、冷蔵庫のゼリーを食べさせ、その間にささくさとPCをたたんで会社をあとにした。

部下も残っており、これまでいくばくか残存していた威厳らしきものが粉砕されたような感じだ。

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大文字山

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京の五山、送り火は有名だが、隣の滋賀のわたしにしても、そこに観光で登れるというのは知らなかった。

妻は京都の女で、娘にそのことを話していたらしく、娘はたまに自宅に帰る単身赴任のわたしに一緒に登ろうとせがむ。
仕方がないので付き合った。

銀閣寺の境内を最後にそれ、山道は一応、誰でも登れるように階段がしつらえてある。
大人でおおよそ4〜50分の登りだが、娘は駆けて行く。

「山は少しずつ、しかし休まずに登るものだよ」
そう何度かさとし、細かく刻んで大文字の山肌に出た。京都の街が見渡せる。
二条城があり御所があり、同志社や京大のキャンパスも良く分かる。

思えば山登りなど何年ぶりだろうか。

郷里の安土山を登り、城跡から自分の住まうところを見下ろした当時小学生のわたし。
その景色を今でも覚えている。
京都とは違い、田んぼばかりの郷里の風景だった。

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神戸

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娘が、船に乗りたい、というので神戸に連れていった。

神戸という街は、関西では京都と並んでイメージがいい。
関東の人間からも、京都や神戸に住むというと、いいところに・・・と言われるが、なぜか大阪だとそうはならない。

関西人自身にも、同様の傾向があり、京都や神戸近郊の人間は、どこか大阪を見下すような雰囲気がある。
通常、大都市・・・東京、福岡や名古屋、仙台などはどこでも、近隣の中都市(横浜、久留米や四日市、塩釜など)からいい意味で一目置かれている。
決して大阪のようにネガティブな評価を受けないのが一般的だ
関西はその点が特殊である。

それはいいとして、娘は船よりも異人館めぐりのほうが楽しそうだった。
まあ、わたしは船乗りとして運が良かっただけ、娘を同じ船乗りにする気はないので、それで良いのだ、と思った。

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ロンドン (6)

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ロンドンは広いのか、暴動が起こっていても、住んでいる近所でなければまるで関係のない出来事のようだ。

もともと英国は階級社会で、2,3割ほどがいっぱしの教育を受けるだろうか。
それらの人たちの、特に紳士の振る舞いにはとても感心する。
しかしそれ以外の大多数は、まさにレベルの低い、という感じで、昼間から飲んだくれてパブで寝ているような人、汚い言葉を使うどこかの10代、など常に街にいる。
そのようなことから類推する英国は、時々はこのような暴動が起こってもおかしくない国、というふうに思える。


それはともかく、翌日に帰国を控えた日、わたしたちはノースフィンチリーの馴染みのあちこちの家族と、子供も含め、遅くまで過ごした。
今回、夏休みで日本から来たわたしたちはリゾート気分で、かれらのロンドンでの日常生活を乱しに来たたようなものだが、それにもかかわらず皆とてもよくしてくれた。

「もてなし」の心については、特に日本人は優れているはずだが、わたしの場合、かれ等にそれを教わった気分だ。
いつかわたしも、誰かを心からもてなせる日本人になれるだろうか。

最後まで感謝のロンドンだった。

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ロンドン (5)

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ロンドンにはかつて住んでおり、ニューヨークにも何度も出張で滞在した。
しかし今回、初めてミュージカルというものを見物した。

作品はライオンキングで、別に何がなんでも観たいというものではなかったが、娘に付き合って、後々、話のネタになればいいという感じで劇場に入った。

内容は子供向けで単純だ。(もともとは「ジャングル大帝」なのだから)
まあ、一度は伝統ある劇場の雰囲気をふくめて、本場のミュージカルというものを観るのもいいかもしれない。

たぶんわたしはこれでほぼ、最初で最後のミュージカル鑑賞になると思うが。

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