娘の訪問
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家族が、横浜に住んでいた頃の友人たちに会うため上京する、というので、初日に夕食だけ一緒にとった。 (わたしは翌日から上海出張が入っていた) 娘が、会社を見たい、という。 「いいよ」と安請け合いしていたが、その日が近づくに連れ後悔した。 これまで、わたしの少ない本社勤務でも、その間、誰かが家族をオフィスにまで連れてきた例は目にしたことがない。 妻は「わたしは丸ビルでぶらぶらしているから、娘だけお願い」と無責任なことを言う。 仕方がないので夕刻17時以降、できるだけ人がいない時間に少しだけ入らせることにした。 当日、言うまでもなく日本の本社はどこも18時過ぎても半数以上はまだ残業中だ。 娘には、「仕事の邪魔にならないように静かにしていなきゃだめだよ」と言い聞かせ、受付を済ませエレベーターに乗った。 ばつの悪いことに受付では常務、エレベーターホールでは専務に会い、 「お、キャプテンのお子さんかね」 とニヤニヤされてしまった。 オフィスでは、はしゃがないまでも声が大きく、あちこちの模型やら写真やらを触りまくる。 あちこちで失笑が聞かれる。 仕方なく、冷蔵庫のゼリーを食べさせ、その間にささくさとPCをたたんで会社をあとにした。 部下も残っており、これまでいくばくか残存していた威厳らしきものが粉砕されたような感じだ。
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