都市商業研究所(都商研)

「都市商業研究所」は学生主体の研究機関です。「市街地活性化・都市交通などに関するコラム」と「都市別の市街地紹介」をお届けします。

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千葉県木更津市 市制:1942年11月3日
【人口】129,312人(増加率:5.8%)、外国人数1,306人
【面積】95.46k㎡
【人口密度】934.3人/k㎡
【平均年齢】44.7歳
【事業所数】5116事業所
【年間小売販売額】1302.2億円(増加率:5.8%)(※三井アウトレット、ベイシア、イオンモールなど出店前)
【大型店面積合計】136,387㎡(※イオンモール木更津出店前)
【主要駅】JR木更津駅、木更津駅バスセンター
【主な市街地大型店】アクア木更津(半分以上空き床)
【主な郊外大型店】イオンモール木更津、三井アウトレットパーク木更津
【主な撤退大型店】そごう→アクア木更津、西友→銀行、ダイエー→空地、十字屋→P、イオン朝日→カスミ・市役所
【主な商店街】駅西口:富士見通り※・みまち通り・木更津銀座(※はアーケード設置)
【主な商店街】駅東口:ハミング通り・木更津一番街
【主な観光地】東京湾アクアライン、證誠寺、潮干狩り、三井アウトレットパーク
【主な事業所】ソニーEMCS、田辺三菱製薬
(人口など:'10年国調、面積:'12年国土地理院、事業所:'12年総務省経済センサス、小売:'07年経産省商業統計、大型店:'12年4月)


 
 木更津市はしばしば「ストロー現象による中心市街地衰退」の典型例として語られる。
 東京湾アクアラインの開通と通行量値下げにより、2014年現在も木更津市の人口は増え続けている。しかし、その多くはアクアラインを使い東京や横浜へと通勤、通学をしており、中心商店街へと買い物に来ることはない。
 バブル期には地価の高騰が話題となった中心市街地であったが、その象徴の1つとして語られるのが、旧木更津そごう跡の「アクア木更津ビル」である。「木更津そごう」は木更津駅西口地区第一種市街地再開発事業の目玉として、地場百貨店の「サカモト」がそごうと業務資本提携後、第三セクター企業が運営する商業ビルに1988年に開業させたものであった。再開発の総事業費は216億円、そのうち約40億円を木更津市が負担した。
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アクア木更津、旧木更津そごう。
 
 しかし開業から12年後の2000年、そごうの経営破綻に伴い木更津そごうは自己破産、閉店した。負債総額は241億300万円であった。そして、2001年にはビルを運営する第三セクター企業も経営破綻に至った。
 駅西口にはその頃に整備された市内唯一のアーケード商店街(片屋根式)である「富士見通り買物公園」をはじめとした複数の商店街があるが、買い物客の姿は少ない。
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木更津駅西口、富士見通り商店街。旧そごうの前。
 
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富士見通り商店街。旧サカモトデパートの前。
 
イメージ 5木更津駅西口、みまち通り商店街。
 
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みまち通り商店街。
 
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木更津銀座。
 
 そのほか、木更津駅周辺では2000年前後に西友エポ、十字屋、ダイエーも相次ぎ撤退し、急速な空洞化が進行した。折しも、「アクアライン」「木更津キャッツアイ」「氣志團」などにより木更津への観光客の増加が期待された矢先の出来事であった。この頃、駅近くからは映画館や大型ホテルの撤退も起きた。その一方で、アクアラインの値下げ効果もあり沿線はニュータウン開発が進み、2012年に三井アウトレットパークやベイシアが、2014年にはイオンモール木更津も開業、郊外化に更に拍車がかかっている。
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木更津駅東口。線路を挟み西口のアクア木更津も見える。左の千葉銀行は西友跡地。
 
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木更津駅東口、木更津一番街。
 
 その後、西友エポ跡は立体駐車場に、ダイエー跡は2001年にショッピングセンター「ラズモール」に、そごう跡はビルを所有する第三セクター企業の破綻後、市が買収して2003年に専門店ビル「アクア木更津」となったものの、ラズモールは2008年に閉店し駐車場となり、アクア木更津は2013年に生鮮品売り場が閉鎖、その他のフロアも2010年ごろから撤退が相次ぎ、本館にはダイソーなど数店舗の小売店とスポーツクラブ、ハローワークなどが、別館には居酒屋や場外馬券売り場が入居するのみとなり、殆どが空き床となってしまっている。
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ハミングストリート商店街。右側がラズモール木更津の跡地。
 
 アクア木更津前には近くにある「證誠寺」に因んだ狸の像が佇むが、訪れる観光客は少ない。そして、バス停のLEDビジョンからは木更津市の発展の歴史を伝える行政広告がエンドレスで流れるが、それがかえって物悲しさに拍車をかかけている。
 現在、駅前のバスターミナルから発着する路線バスの最も多い経由地は木更津市街地ではなく、近郊路線は新興住宅地を経由して三井アウトレットパークへ、高速路線は東京湾アクアライン(東京、横浜、羽田行など)へと向かう路線が多い。
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JR木更津駅と西口バスターミナル。
 
 しかし、中心市街地の光景は他の疲弊した地方都市と比較すると決して活気がない訳ではない。個人商店の多くは空き店舗となっているものの、駅前には多くの金融機関やオフィスが立地、また、比較的新しいマンションも複数ある。何より、JR木更津駅は1日2万人以上(2012年現在)の乗降客を抱える。これは地方都市においては県庁所在地の中心駅と同等かそれ以上であり、駅周辺には常に人が行き交う。また、中心市街地近くにあった大型ホテルの1つは中国資本となり、アクアラインを使って東京へと向かう海外観光客の拠点となっている。
このような多くの乗降客を抱え、マンションも多く立地する駅前にスーパーの1つもないのは不便なことに変わりないであろう。現在、木更津駅を中心として直径1キロメートル以内には食品スーパーは1つも立地していない。更に、アクア木更津の立地する木更津駅西口附近にはコンビニエンスストアすらない。これは驚くべきことである。
 そごうの経営破綻など様々な問題があったとはいえ、既に建ててしまったものは仕方ない。これだけの乗降客がある駅に隣接し、築年数もまだ20数年であるアクア木更津ビルをこのままにしておくのは都市インフラの無駄遣いであり、非常に勿体ないことだ。
 一部が営業していると言えども、家主を失ったビルは急速に老朽化する。一部フロアに市役所の分庁舎が入居する計画もあるが、下層階だけでも早急に不動産業・流通業のノウハウがある企業に運営を委託する、店のアイデンティティとなる核店舗を誘致する(有名核店舗があるほうがテナント誘致もしやすく、集客にも有利)、もしくは集客が期待されるような公共施設を集積させるなどのテコ入れを行う必要があろう。
 
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旧そごう前のバス乗り場。未来を見据えた街づくりが期待されるが…。

 なお、2014年のイオンモール開業に伴い、イオン木更津朝日店は総合スーパーとしての役割を終え、郊外にも大型空き店舗が生まれることになる。このイオン木更津朝日店の2階には全床に亘って木更津市役所が入居する計画になっている。

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