都市商業研究所(都商研)

「都市商業研究所」は学生主体の研究機関です。「市街地活性化・都市交通などに関するコラム」と「都市別の市街地紹介」をお届けします。

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山口県宇部市  市制:1921年11月1日
 【人口】173,772人(増加率:-2.9%)、外国人数1727人
 【面積】287.71k㎡
 【人口密度】595.7人/k㎡
 【平均年齢】46.7歳
 【事業所数】7253事業所
 【年間小売販売額】1749.4億円(増加率:-5.7%)
 【大型店面積合計】189,213㎡
 【主要駅など】JR宇部新川駅、宇部中央バスターミナル、山口宇部空港
 【主な市街地大型店】宇部井筒屋百貨店、レッドキャベツ宇部新天町店(旧宇部丸信)
 【主な郊外大型店】ゆめタウン宇部、フジグラン宇部、メルクス宇部(Mr.MAX)、フジ西宇部(宇部駅前)
 【主な撤退大型店】セントラル大和(→マンション)、駅前大和(→駐車場)、レッツ09(→レストランジョイフル等)、エムラ(→マンション)
 【主な商店街】ハミングロード新天町、琴芝駅通、新町、中央銀天街、三炭町、新川駅前/その他郊外駅の周辺
 【主な観光地】ときわ公園(遊園地、動物園、博物館など)
 【主な事業所】宇部興産(本社)、セントラル硝子、協和発酵


 
 宇部市は宇部興産の企業城下町として知られる、山口県第3の都市である。近年まで県庁所在地である山口市より人口が多かったが、山口市の大規模合併により人口が抜かれてしまった。しかし、山口県の中核都市の1つであることには変わりない。かつては産炭都市でもあり、現在も数多くの重工業の工場が立地する。炭鉱開発により人口が急増したため、1921年の市制時には「宇部村」から町を経ず一気に「宇部市」となった。そして、炭鉱から出たボタは埋め立てや都市開発に使われ、更なる市街地や工業地帯の拡大へと繋がった。
中心市街地は、山陽本線のJR宇部駅ではなく宇部線のJR宇部新川駅〜琴芝駅附近に広がる。宇部線はもともと戦時中に買収された私鉄路線であり、JRの地方路線としては駅間が非常に短い。また、市の東部には遊園地や動物園、美術館を併設し、ペリカンでも有名となった「ときわ公園」があり、「花と緑と彫刻のまち」というキャッチフレーズもある。
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中心商店街に最も近い琴芝駅。駅舎は木造。戦前まで私鉄であった宇部線は駅間が短い。
 
 現在、宇部市の中心市街地で最も大きな商店街はJR琴芝駅附近の「ハミングロード宇部新天町名店街」である。琴芝駅附近は空襲後に街路整備された地域であり、市役所、宇部井筒屋百貨店が立地する。新天町地区はバブル期にはたびたび再開発の話が持ち上がり、宇部そごうの出店計画もあったが、結局完成したのは後述する「宇部丸信ビル」のみであった。
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ハミングロード新天町商店街。
 
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新天町商店街。レッドキャベツ前。
 
 一方、宇部新川駅附近の「三炭町商店街」などは炭鉱の衰退により早くも1960年代から衰退がはじまりつつあった。しかし、1970年代に入ると、三炭町より東側の宇部新川駅周辺、そして「宇部中央銀天街」から「宇部新天町」にかけて多くの大型店の進出が始まる。「宇部新川駅前商店街」には観光用の展望タワーが設置された総合スーパー(百貨店業態)の「駅前大和」が、「宇部中央銀天街」にはシースエルーエレベータを備えた高層の「セントラル大和」が、その東側には防府市に本社を置く総合スーパー「丸久」運営のファッションビル「Let's 09(マルキュー)」(かつてはダイエーも入居、丸久最大の店舗)が、真締川を挟んで「宇部新天町」付近には総合スーパー「宇部丸信(一度火災で焼失、1990年に再開発し建替え)」、防府市の衣料品百貨店「エムラ宇部店」が出店、また戦前に宇部市初の大型店であった「ちまきや百貨店宇部店」が小倉の井筒屋出資により全面改装されるなど、宇部市の中心市街地は大型店を中心に発展することになる。特に宇部中央バスターミナルに近い宇部中央銀天街には大型のイベントステージも設置され、山口県内有数の賑わいを見せた。また、当商店街(セントラル大和近く)において創業した「ユニクロ」は後に世界的企業となった。この近くには市内で最も大きなビルであり、村野藤吾が設計した「宇部興産ビル」もあり、宇部興産本社や宇部全日空ホテルが入居するほか、オフィスや金融機関も多い。
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市役所前から西側、中央バスターミナル・新川駅方面を望む。この左奥に中央銀天街入口がある。
左側のオブジェ奥にはファッションビルの「Let's 09」が立地していた。
 
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宇部興産ビル
 
 1980年代からは宇部市内外に郊外型ショッピングセンターの立地が相次ぎ、中心市街地の大型店は次々と閉店(エムラは移転縮小)、一部は経営破綻に至った。一時は東京にも出店していた丸信は倒産し、北九州にも出店していた大和は百貨店業態の2店舗を閉鎖して中心市街地から全面撤退、郊外で小型スーパーを数店舗展開するのみとなっているほか、レッツ09を運営していた丸久も1996年に経営危機に陥った(経営再建済み)。2014年現在、中心市街地に立地する大規模商業施設は「宇部井筒屋」と、丸信跡を引き継いだ「レッドキャベツ宇部新天町店」のみで、いずれも新天町地区に所在する。この地区の北側に琴芝駅がある。
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国道190号線沿い。左側にレッドキャベツ、右奥に井筒屋がある。
 
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国道190号線沿い、宇部井筒屋前。右奥は市役所。
 
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国道190線沿い、井筒屋より西側。宇部市役所と市営バス。
 
 このように、現在もスーパーや百貨店、市役所が立地する新天町の周辺は、比較的人通りがある。1988年に設置されたアーケードは明るく開放的であり、近年は新店舗の誘致やイベントも実施されているほか、空き店舗に期間限定でお化け屋敷を作ったことも話題となった(閉店済み)。一方で、宇部新川駅に近く、かつて最も賑わった宇部中央銀天街は特にゴーストタウン化が激しく末期的状況である。
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JR宇部線、宇部新川駅。
 
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宇部新川駅前。
 
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松島町商店街。宇部新川駅近く。
 
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新川駅前商店街。
 
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宇部中央銀天街
 
 銀天街では時折集客イベントも実施されているものの、時すでに遅しという感は否めず、活性化にはほど遠い。三炭町はアーケードを撤去、中央町三丁目は綺麗に再整備され大型マンションが建ち、セントラル大和とエムラの跡にもマンションが建つなど、中心市街地には新たな住民も多いが、それらの人々の多くは日常の買い物は市内郊外や山陽小野田市など周辺都市まで、大きな買い物は小倉や福岡まで行く、という構図が生まれている。なお、宇部駅や西岐波駅など、郊外部の駅前にも小規模の商店街が複数ある。 
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再整備された中央町三丁目から銀天街入口を望む
 
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宇部中央銀天街。
 
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新町商店街。中央銀天街より東側(新天町寄り)。
 
 商業の郊外化が進む宇部市ではあるが、売場面積8,000㎡ほどと百貨店としては規模が小さく、また老朽化していた宇部井筒屋百貨店は郊外店に対抗すべく2000年代より立体駐車場を無料化、また「ポンパドウル」「詩仙堂」など百貨店らしいテナントの導入や、地場野菜の産直売場を設けるなどの改装も行い、近年も黒字経営を続けているという。新天町周辺の商店を利用する客の駐車場利用も見られ、それらの客は時折、井筒屋でも買い物をしていく。立体駐車場を備えていたからこそ出来ることではあるが、これは地方百貨店の経営モデルの1つになろう。なお、井筒屋に隣接する宇部市役所も休日は駐車場を無料解放している(2時間まで)。
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宇部井筒屋。国道190号線(常磐通り)沿いに立地、市役所に隣接する。

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