都市商業研究所(都商研)

「都市商業研究所」は学生主体の研究機関です。「市街地活性化・都市交通などに関するコラム」と「都市別の市街地紹介」をお届けします。

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熊本県水俣市  市制:1949年4月1日
 【人口】26,978人(増加率:-7.4%)、外国人数67人
 【面積】162.90k㎡
 【平均年齢】50.7歳
 【事業所数】1376事業所
 【年間小売販売額】284.4億円(増加率:2.4%)
 【大型店面積合計】19,666㎡
 【主要駅など】肥薩おれんじ鉄道水俣駅(旧JR)、九州新幹線新水俣駅
 【主な市街地大型店】コープくまもと水光社(本店、エムズシティ、ホームセンター)
 【主な郊外大型店】(3000㎡以上の郊外店は無い)
 【主な撤退大型店】寿屋百貨店(→エムズシティ)、ニチイ衣屋(→21世紀パチンコ)
 【主な商店街】初恋通り、中央、旭町、桜井、桜通、浜町、国道沿い
 【主な観光地】エコパークばら園、徳富家、湯の児温泉、親水公園、日本一長い運動場(JR山野線跡)、ちゃんぽん
 【主な事業所】JNC、サンエレクトロニクス、河村電器産業、チッソ、コープくまもと(水光社)(本社)
(人口など:'10年国調、面積:'12年国土地理院、事業所:'12年総務省経済センサス、小売:'07年経産省商業統計、大店面積:'12年4月)


『 閉鎖商圏の小都市で2つの「絶対的一番店」をつなぐ商店街』
 
 水俣市は言わずと知れたチッソの企業城下町であったが、現在は過疎化と高齢化、また基幹産業の衰退などにより人口2万人台の小都市となっている。
 中心駅は肥薩おれんじ鉄道の水俣駅である。かつては殆ど全ての特急列車停車する駅であったが、九州新幹線の開通に伴う第三セクター化により利用客の多かった特急列車は廃止され、駅は閑散とした状況となっている。
 中心市街地の北東には新水俣駅があるが、現在停車する新幹線は多くが各駅停車であり、また新幹線と路線バス、おれんじ鉄道は接続しておらず、中心市街地まで行くには1時間ほど乗り継ぎ待ちしなければいけない時間帯もあり、中心市街地への公共交通の便はいいとは言えない。また、高速道路は早くて2018年まで開通予定がない。
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新水俣駅。駅周辺には団地とファミレスのジョイフルくらいしかない。
  
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肥薩おれんじ鉄道水俣駅。
 
 しかし、水俣市の中心商店街は人口2万人台とは思えない集積規模である。水俣市の中心商店街は、国道3号線沿いと、それを挟んで北側に平行に走る「初恋通り(ふれあい一番街)」、南側に平行に走り、水俣駅に近い「中央通り」「桜町」などである。全て歩車共存型であるが、一部の街路はカーブを付けたり、バンプ(段差)を設置するなどして歩行者優先になっている。
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水俣中央通り商店街。

その中心商店街の東と西の端には、当地に本店を置き、市内において絶対的な一番店である「コープくまもと水光社」の大型店「水光社本店」と「水光社エムズシティ」が立地し、商店街は2核1モール型となっている。水俣市はちゃんぽんが名物料理となっているが、水光社の2店舗でも水俣ちゃんぽんを食べることができる。エムズシティのスカイレストラン(5階、旧ことぶきレストラン)からは市内が一望できる。
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エムズシティ。旧寿屋百貨店。国道沿いに立地。ウィキペディアにも筆者が同じ画像を上げています。
 
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水光社本店。右側は初恋通り商店街(ふれあい一番街)。

イメージ 13名物の水俣ちゃんぽん。エムズシティスカイレストラン、水光社ファミリーレストランでも食べられる。 

 このエムズシティは2002年までは「水俣寿屋百貨店」であったが倒産により閉店、水光社が継承した。この時、食品売場はそのまま残されたものの、水光社本店と被っているテナントは整理され、水光社本店とエムズシティの棲み分けが出来た。商店街利用客はこれらの無料駐車場を利用できるほか、かつての地場スーパー「衣屋」(ニチイ系列、寿屋の出店により1983年に閉店)跡のパチンコ店の駐車場も利用できる。
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エムズシティ向かいにあるパチンコ店はニチイ跡地。
エムズシティより国道3号線沿いの商店街を俯瞰。エムズシティは屋上を開放している。
 
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エムズシティには十分な駐車場がある。

更に、水光社は店舗内のみならず、商店街の周辺にも大手チェーンのFC店(店舗内を含めるとファーストフード店、家電量販店、雑貨店など)を複数出店している。核店舗の存在と、潤沢な駐車場が商店街への集客に好影響を与えていると言えよう。
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画像のモスバーガーも水光社のFC店である。国道3号線沿いの商店街。
 
 水俣市ではその他の大手チェーン店も中心商店街やその周辺に立地するものが多い。更に、人口2万人台の都市にしては、営業している個人商店も多く、業種も多岐に亘るほか、新しい飲食店も目立つ。小都市にしては空き店舗率は低い水準にとどまっており、筆者が調査したところ、水光社周辺においてはここ10年間、空き店舗率の急激な上昇も見られなかった。
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国道3号線沿いの商店街、水俣駅近く。ドコモショップやゲオ(FC)も中心部にある。
エムズシティは市内の至る所から見え、中心市街地のランドマークとなっている。 
 
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水俣中央通り商店街から桜町商店街附近。奥に水俣駅がある。
熊本市に本社を置く鶴屋百貨店の小型店(2階建)もある。
 
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初恋通り商店街(ふれあい一番街)。水光社本店近く。
商店街全体での空き店舗率は比較的低い。
 
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初恋通り商店街(ふれあい一番街)。エムズシティ近くから水光社本店を見る。
 
 このように、水俣市の中心商店街が比較的維持されているのは、地理的制約も大きいと考えられるが近隣に中心市街地の核店舗より大きい店舗が全く立地していないこと、更に核店舗である「水光社」が市内において絶対的な一番店であることが大きな要因であろう。水俣市最寄りのショッピングセンターは「ゆめタウン八代」「イオン八代」であるが、実に30km以上の距離があり、また高速道路などもないために日常的に買い物に行くことは困難であり、一種の閉鎖商圏であるとも言える。
しかし、近年は隣接する出水市のロードサイド店へ買回り品を中心とした商業流出も起きているという。コープくまもと水光社がこれからも最寄品の需要を手堅く押さえ、安定した経営を行っていくことが、水俣市の中心商店街の今後にも大きな影響を与えると言っても過言ではない。
取材協力:水俣市商店会連合会の皆さん

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