都市商業研究所(都商研)

「都市商業研究所」は学生主体の研究機関です。「市街地活性化・都市交通などに関するコラム」と「都市別の市街地紹介」をお届けします。

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鳥取県境港市  市制:1956年4月1日
 【人口】35,259人(増加率:-3.3%)、外国人数339人
 【面積】28.82k㎡
 【平均年齢】46.7歳
 【事業所数】1620事業所
 【年間小売販売額】393.2億円(増加率:0.6%)
 【大型店面積合計】46,527㎡
 【主要駅など】JR境港駅、米子鬼太郎空港、境港
 【主な市街地大型店】丸合境港店、丸合境港パティオ
 【主な郊外大型店】スーパーセンターPLANT5境港店
 【主な撤退大型店】(特になし)
 【主な商店街】水木しげるロード(本町アーケード商店街、松ヶ枝町商店街、西本町商店街など)
 【主な観光地】水木しげるロード、水木しげる記念館、海とくらしの史料館、夢みなと公園、弓ヶ浜
 【主な事業所】山陰アシックス工業
(人口など:'10年国調、面積:'12年国土地理院、事業所:'12年総務省経済センサス、小売:'07年経産省商業統計、大型店:'12年4月)


独特の世界観を貫き通して観光客を魅了する妖怪水産都市
 
 境港市は米子市の北側、弓浜半島の北端に位置し、全国有数の漁業・水産の街として知られる。全国で平成の大合併が行われた今となっては市域は非常に狭く、市域の南部には米子鬼太郎空港と航空自衛隊美保基地がある。
 境港市の中心市街地はJR境港駅周辺に広がる。駅の北側には境港があり、駅に隣接してフェリーターミナルがある。また、フェリーターミナルの逆側には駅に隣接する形で地場スーパーである丸合境港ターミナル店がある。
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JR境港駅(鬼太郎駅)
右側は駅に隣接する境港フェリーターミナル。大型クルーズ船もしばしば訪れる。
 
 漁業とともに境港の名を全国的に広げたのはなんといっても「水木しげるロード」であろう。
 境港市は漫画家・作家である水木しげる氏の故郷である。米子から境港まで伸びるJR境線には「鬼太郎列車」が走るほか、境港から出る隠岐フェリーには「鬼太郎フェリー」があり、水木しげるロードは隠岐の島まで伸びている。また、自衛隊美保基地には自衛隊鬼太郎輸送機が、日本交通には鬼太郎バスがある。
 境港線には各駅に妖怪の愛称が付いており、境港駅は「鬼太郎駅」だ。
イメージ 2
猫娘列車と鬼太郎列車。

 「水木しげるロード」はJR境港駅前の西本町商店街から本町アーケード商店街まで東に伸びる駅前商店街の総称である。総延長は800メートルほど。水木しげるロードには氏の代表作の1つ「ゲゲゲの鬼太郎」に出る妖怪をモチーフにしたブロンズ像や石像が数多く並び、観光客の目を楽しませる。
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水木しげるロード。境港駅前附近(西本町商店街)。新旧の店が入り混じる。
 
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駅近くには水木しげる氏顕彰碑。
 
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設置された妖怪像の1つ。

 松ヶ枝町商店街には片屋根式アーケードも設置され、更に東側の本町アーケード商店街のそばには水木しげる記念館があり、駅前からここまでが観光客の動線となっている。商店街には旧来の店と観光客をターゲットにした新しい店とが入り混じる。 
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賑わう水木しげるロード(松ヶ枝町商店街)。商店街灯にも妖怪。
 
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本町アーケード商店街。左奥に水木しげる記念館がある。

 水木しげるロードの計画は、1980年代後半から始まったものである。
 人口3万人台という小都市の境港では、隣接する商都・米子市への買い物客流出により、早い時期から中心商店街の衰退が始まっていたという。そこで、自治体と商店会官民一体となって生まれた振興策が「水木しげるロード」であった。 
 当初、商店街に妖怪のモニュメントを置くことには異論も生まれたという。しかし、1993年の第一期オープン以来メディアに取り上げられることも多くなり、知名度の上昇とともに観光客は増加、本町アーケード商店街の近くには2003年に境港市立水木しげる記念館も開館した。
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水木しげる記念館。
 
 「ゲゲゲの鬼太郎」は2007年から2009年にかけてフジテレビ系でリメイク版テレビアニメが放映され、更に2010年にはNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が放送されたこともあり同年には商店街への来客が370万人を突破するなど、その人気は衰えていない。
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商店街で入浴する目玉のおやじ。水木しげるロード(松ヶ枝町商店街)にて。
 
 水木しげるロードの像などはかつては境港市が管理を行っていたが、境港市による整備終了後の2003年からは境港市観光協会、境港商店街連合会、水木しげるロード振興会、水木プロダクションが共同で管理を行っている。これらの管理団体により近年追加された妖怪像の多くはスポンサーによるものである。妖怪像のスポンサー費は1体あたり100万円となっているが、この妖怪スポンサー制度は人気となり、抽選が行われる状況となっている。スポンサーによって設置された妖怪像は、下部にスポンサーの名前が記載されている。
 水木しげるロードの成功により、商店街周辺には新たな店舗も数多く出店して週末には大いに賑わっている。水木しげるロードは官民共同で一貫したコンセプトに向かって商店街を整備したからこそ成功した活性化例である。今後もこのコンセプト、世界観を維持しつつ、新しい店舗の誘致とともに旧来の店舗との共存を図っていくことが賑わいの維持に繋がろう。 
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旧来の店舗である地元の保険調剤薬局もこの通り。
 
 その一方で、中心市街地の核店舗である丸合境港パティオは水木しげるロードから外れた地点にあり、店舗前は水木しげるロードとは打って変わって本物の妖怪が出そうなほど静かな雰囲気である。小都市の宿命ともいえるが、活性化を行った商店街から外れた旧来のままの商店街は賑わいを失っている。境港パティオは3階建ての店舗であるが、大型郊外店であるスーパーセンタープラントの出店の影響もあり、近年その売場は1階のみとなってしまった。

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いつも楽しみに見させてもらっています。

境港駅横のフェリーターミナルは現在は隠岐汽船専用で、国際定期航路は魚市場奥の昭和北岸壁に、クルーズ船は主に昭和南岸壁に入ってきます。
現在これらが使用している所は、まさに荷揚げ場みたいなところなので、竹内地区の夢みなとタワー近くに旅客ターミナルをつくる計画があります。
境港市や米子市は山陰の玄関口としての役割がさらに強まってくるのではないでしょうか。 削除

2014/9/25(木) 午後 11:11 [ kobaden ] 返信する

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ありがとうございます。
しかし偶然にもここに隠岐汽船が入って来ていたことが「水木しげるロード」の延長にも繋がった訳で、隠岐地域の振興にも一躍買うことになったのは不思議な縁と言えますね。これも妖怪の成せる業かも知れません…。
クルーズ船の外国人客はこの妖怪商店街を一体どう思うのか、一度訊いてみたいところです。

2014/10/2(木) 午前 6:34 [ tos*i*houke* ] 返信する

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