都市商業研究所(都商研)

「都市商業研究所」は学生主体の研究機関です。「市街地活性化・都市交通などに関するコラム」と「都市別の市街地紹介」をお届けします。

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兵庫県明石市  市制:1919年11月1日
 【人口】290,959人(増加率:0.0%)、外国人数2742人
 【面積】47.20k㎡
 【平均年齢】44.0歳
 【事業所数】9657事業所
 【年間小売販売額】2253.4億円(増加率:0.9%)
 【大型店面積合計】227,591㎡
 【主要駅など】JR・山陽電鉄明石駅、JR西明石駅、明石港
 【主な市街地大型店】駅前再開発ビル(建設中)、明石駅ビル(改築中)、アスピア/プリコ西明石
 【主な郊外大型店】イオン明石(旧マイカル明石)
 【主な撤退大型店】ダイエー(→再開発中)、フォーラス(→雑居ビル「ラメール」)
 【主な商店街】魚の棚、銀座、桜町、本町、喜春、明淡など/西明石/大久保など
 【主な観光地】魚の棚、天文科学館、明石城、明石海峡、海水浴場、玉子焼き、蛸
 【主な事業所】川崎重工業、三菱重工業、富士通、ノーリツ、アサヒ飲料
(人口など:'10年国調、面積:'12年国土地理院、事業所:'12年総務省経済センサス、小売:'07年経産省商業統計、大店面積:'12年4月)


度重なる再開発によって翻弄され続ける駅前と業態特化により賑わうタコの町の商店街
 「子午線の町」として知られる明石市は兵庫県の瀬戸内海沿いに面する都市である。
 市域は沿岸部の東西に細長く伸びる。市域のほぼどこからでも海を見ることができ、対岸には淡路島を望む風光明媚な都市である。源氏物語にも登場し、古来から港町、そして城下町として発展してきた明石は、戦前より阪神地区のベッドタウンとして、また播磨臨海地域の工業都市として人口が急増した。流れが早く、漁礁の多い明石海峡周辺は優良な漁場であり、明石で水揚げされた海産物は「まえもん(港前のもの)」として呼ばれる。
 ベッドタウン化した現在も漁港としての活気は失われていない一方で、明石海峡大橋の架橋により「四国・淡路島の玄関」の座からは降りることとなった。
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上空から見た明石市・淡路市・神戸市垂水区附近。
 
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子午線上にある天文科学館は明石のシンボルの1つ。山陽電鉄には阪神電車も乗り入れる。
 
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明石名物「玉子焼き」(明石焼き)

明石
 明石市の中心駅である明石駅は明石城の敷地を利用して建設されたもので、駅の北側には明石城を望むことができる。明石城址は明治時代に旧士族の尽力により県立明石公園となった。
 明石城には元々天守は存在していなかったが、重要文化財に指定されている櫓などが現存しており、街のシンボルとなっている。この櫓は西明石に近い場所の沿岸部にあった船上城と、京都の伏見城からの移築と言われ、阪神淡路大震災では大きな被害を受けたが後に修復されている。
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夕暮れの明石駅と明石城。姫路からの山陽電鉄と鳥取からの特急スーパーはくとが並ぶ。
 
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明石公園から見た市街地。奥の山は淡路島になる。
 
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明石公園。明石城の庭園造営には宮本武蔵が関わったとも言われる。
 
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明石駅北口。明石公園に隣接。
 
 明石市の中心市街地は、明石駅の南側に広がる。明石駅にはJR山陽本線と山陽電鉄本線が発着し、2路線を合わせた乗降客数は1日約13万人。明石駅には約100店舗が入居する駅ビル「ステーションプラザ明石」があるが、東館・西館は2015年1月より耐震補強と改築により南館のスーパー「パントリー」など3店舗を残して閉店中。2015年末までには大きく変わる予定だ。なお、明石駅は現在高架駅であるが、山陽電鉄では明石駅の西側でも高架化工事をおこなっている。
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明石駅南口。
 
 一方で、明石駅南口も現在大規模な再開発中である。これは明石駅前南地区第一種市街地再開発事業によるもので、駅前にあった旧ダイエー明石店跡や古い雑居ビルなどを大型複合ビルに建て替えるもの。予定事業費は324億円で2016年末開業予定。
 複合ビルには明石市初の34階建てタワーマンション(高さ125メートル)のほか、現在は兵庫県立図書館と併設される形になっている明石市立図書館を始めとした公共施設、医療モール、大型商業施設が入居予定となっている。しかし2015年現在、商業床の核テナントはジュンク堂書店と銀行など以外はまだ決まっておらず、今後の動向が注目される。このビルの1階には、再開発地区にあった明石焼き(玉子焼き)の店なども多く入居する予定だ。これらの明石駅南口の2つの再開発地区南側には国道2号線が走り、多くのオフィスビルや金融機関が並ぶ。 
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大規模再開発中により人もまばらとなった明石駅前。
 
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国道2号線より。左側は再開発地区と明石駅。
 
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再開発完成予想模型(喜春商店街にて)。手前が明石駅。
 
 再開発地区の西側には隣接して「ラ・メール」という10階建の大きなビルがある。これは1998年までイオンのファッションビル「明石フォーラス」だった建物。この閉店は、市内大久保に開店したマイカル明石(現:イオン明石店)の影響もあったと言われる。フォーラス撤退直後は一部物販店も残ったものの、現在は雑居ビルとなってしまった。元々この建物もバブル期の民間再開発により建設されたもの。そして、奇しくもイオンフォーラスの息の根を止めたマイカル明石は後にイオングループすることとなる。
 この辺りは「喜春商店街」という商店街であるが、この商店街も一部が再開発地域に入り、解体された。ラメールの西側の通りは明淡商店街へと繋がる。 
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喜春商店街附近。左のビルはラメールビル(旧イオンフォーラス)、左手前は明石駅。
 
 明石駅の東側には再開発に伴う仮店舗である「明石ときめき横丁」があるほか、商業施設、住宅、公共施設の3館体制の複合ビルである「アスピア明石」がある。明石ときめき横丁は2013年11月に開店、再開発地区の雑居ビルや喜春商店街にあった店舗が入居し、再開発ビル完成までの3年間営業を続ける予定となっている。
 アスピア明石は東仲ノ町地区第一種市街地再開発事業により総事業費約380億円をかけて2001年に開業した商業施設、公共施設、マンションによる3館体制の複合施設。しかし、アスピア開業直前に市内大久保に「マイカル明石ショッピングセンター」(現:イオン明石店)が開業したこともありテナント誘致は難航、現在は「トイザらス」「マツキヨ」「タワレコ」「リブロ」などの大手テナントと地場スーパー「マルハチ」などが入居するものの北館1階の大部分はパチンコ屋となっている。それでも「ダイエー」「フォーラス」が撤退した現在は、明石駅前では数少ない大規模商業施設として非常に賑わう。
 アスピア明石の開店当時、大きなライバルとなっていたマイカル明石も元々は工場跡地を再開発して生まれた物件。ここ20数年の明石駅前は、こうして幾度となく繰り返される再開発に翻弄されてきたとも言える。
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明石ときめき横丁とアスピア明石。
 
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明石駅の東側、ときめき横丁前の交差点より海方向。奥に見えるのは明石銀座アーケード。
 
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明石銀座入口より東側、人丸方面。左にアスピアの住宅棟が見える。右に進むと海。
 
 明石市の中心商店街は国道2号線の南側に広がり、明石駅南口の駅前通りである「明石銀座商店街」、そして駅前に東西に延びるアーケード商店街の「魚の棚」である。「魚の棚」は「うおんたな」と読み、つまり「魚の店」という意味。商店街の多くの店は鮮魚店や海産物を出す飲食店だ。アーケード総延長は約400メートル弱であるが、商店街内の海産物関連店舗は実に100店舗を超え、大いに賑わう。
 神戸市や大型店への流出により一時期は衰退しつつあった中心商店街ではあるが、業態特化により蘇った例とも言える。空き店舗にも近隣の鮮魚店が出店したり、海産物を提供する新たな飲食店の進出が多く見られるほか、観光客への増加に対応するために海岸沿いには大型バスの駐車場も設置された。
 明石漁港は商店街に近いため、昼にも水揚げが行われ、小売店が直接セリにかける方式で日中にも
水揚げされたばかりの新鮮な魚が商店街で販売される(「昼網」という)。駅前通りである明石銀座にも海産物に関連した店舗が多く見られる。この明石銀座はかつて明石の海の玄関としても賑わった商店街で、片屋根式アーケードが設置されている。明石銀座を海方向に向かうとかつてのフェリーターミナル。明石銀座の東側にある「桜町商店街」「鍛冶屋町商店街」は飲食店が多い。
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明石銀座。左側に見えるのは魚の棚の入口。左奥が明石駅になる。
 
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桜町商店街。飲食店が多い。
 
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明石銀座、旧フェリーターミナル近く。正面がフェリーターミナルのあったところ。
 
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魚の棚。非常に賑わう。
 
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魚の棚。アーケード中央の赤い商店街灯はタコを模したもの。
 
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魚の棚。右側に「魚の駅」という商店街交流施設・ギャラリーがある。
 
 明石銀座を進むと、魚の棚に沿って旧山陽道沿いに東西に走るロードサイドの商店街は「明石本町商店街」。ここには片屋根式アーケードが設置されている。この商店街には芝居小屋を改造した「明石日活」という木造の映画館があり、主に日活ロマンポルノなどを上映してきたが、2014年12月に閉館した。この辺りは「キネマ通り」とも呼ばれており、木造映画館跡の再活用も模索されている。
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明石本町。左奥にある低層の建物が明石日活。かつての日活ロゴも見える。

 本町商店街を経て明石銀座を南に進むと明石フェリーターミナル跡がある。ここからは長年に亘り「たこフェリー(明石淡路フェリー)」が対岸の淡路島(淡路市岩屋)まで就航しており、明石の海の玄関として賑わっていた。1998年の明石海峡大橋開通までは非常に利用客が多く、2000年代に入っても終夜運航が続けられていたが、原油高の高騰による値上げなどにより利用客は漸減、2010年には廃止されてしまった。
 フェリーターミナル跡はマンションギャラリーや駐車場となっており、往時の賑わいはないが、港内には明石漁港の漁船が多く停泊している。 
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夕闇の明石漁港。たこフェリー跡地附近より。
マンションに囲まれた漁港はベッドタウンの様相であるが、漁船の数は非常に多く活気がある。
 
 一方で、明石から淡路島までの高速艇「ジェノバライン」は現在も就航している。ジェノバラインを降りた客は、魚の棚の西側に明石銀座と並行に走る「明淡商店街」を通り、「喜春商店街」附近を経て明石駅方面へと向かうことになる。この商店街の名は明石と淡路島を結ぶ、という意味でつけられたものだ。 
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明淡商店街。片屋根式アーケードがある。左は魚の棚入口。
 
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明淡商店街。奥は喜春商店街とラメールビル。ラメールビルの右奥は明石駅になる。

西明石(小久保)
 西明石駅は明石市小久保地区の中心駅である。明石市唯一の新幹線停車駅であり、隣接する神戸市西区や加古川市などの利用客も多い。
 この西明石駅周辺にも大きな市街地集積があり、複数の商店街があるほか、川崎重工業明石工場もある。
 西明石の新幹線駅舎内には「プリコ西明石」という商業施設が、在来線の駅前にはダイエーグルメシティも出店しており、人通りは多い。 
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新幹線西明石駅。駅舎内にはプリコ西明石がある。
 
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新幹線西明石駅の高架下にあるのは夢通り商店街。
 
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西明石北商店街は一部に片屋根式アーケードもある。奥は在来線西明石駅。
 
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在来線西明石駅前、西明石北商店街。国道2号線と交差する。
 
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国道250号線沿い。西明石駅をアンダーパスする。
 
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在来線西明石駅の南口、西明石南商店街。愛称はぷらっと西明石。街灯は交換されたばかり。
 
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西明石駅南口・西明石南商店街の西側の通り。
  
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ダイエーグルメシティ西明石店。
 
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西明石南商店街。非常に活気がある。商店街東側には川崎重工業明石工場が立地。
 
参考:明石駅前南地区市街地再開発組合ウェブサイト、明石市ウェブサイト
観光パンフレット、ときめき横丁案内パンフレットなど

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