門真進出の誤解を解く
|
前回の記事で、鬼門の門真に進出することを決めた幸之助さんでしたが、まわりから言われていたことが、もうひとつありました。
「この不景気なときに松下電器が大拡張するのは、いささか放漫経営ではないのか」ということでした。
昭和8年の当時は、自己資金で事業を進めるのがふつうの姿でしたので、銀行から借金しているというのは、不堅実な姿に見られてもムリのないことでした。
しかし、たしかに銀行から借りていることですが、銀行は松下電器を大いに信用し、応援してくれています。
現に今回の場合も、何ひとつ抵当物件もなしで、信用だけで資金を貸してくれていました。
そこで、幸之助さんは考え、新社屋落城披露のあいさつ文にこう記しました。
「・・・・創業以来日も浅く、恵まれざる財政をもって分にすぎた計画をとにかく現実しつつ今日に至ったのですから、信用の範囲内において外資も仰いでいるのはもちろんです。・・・・」
これは、影でコソコソうわさされていることに対し、ウワサされている幸之助さん本人が、公の場でウワサの内容を発表したようなものでした。
幸之助さんはこのように言います。
「これは、結局、私自身が経営に対してつよい確信をもっていたことのあらわれである。
本当に放漫経営をしていたのであれば、こういった強い姿勢はおそらくとれないであろう。
しかし、世間からはいろいろ言われても、私自身は松下電器が着実な経営を進めていることを確信していた。
だから、あえて、借金していることを公表したわけである。」
このあいさつ文には、招待客の何人かから、君の確信ぶりにおどろいたとか、感心したとかいうような声もありました。
そして、松下電器は門真地区に進出し、現在でもパナソニックの本社になっています。
|





