香りの歴史話

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香りの歴史話9・・・古代ギリシア

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ギリシア文明の絶頂期には香料の熱狂的なブームが到来しました。
衣類や身体にしみ込ませるなどは、ごく当たり前の方法で、
身体の部位ごとに違った香料をすりこんでいたといわれています。
(例えば、頭はマヨナラ(マジョラム)香油、顔と胸にはパーム油、両腕にはミントの油といった具合)



都市部には当時すでに「ヘルスクラブ」まであったといいます。
浴湯と塗油室という部屋があって、灰汁やアルカリ塩などで身体の汚れを落とした後に
香油によるマッサージをしていたそうです。
現在のアロマテラピーサロンですね。



また、ワインに没薬(ミルラ)を入れるなど、飲食物ほぼ全てに香料を投入していたといいます。
さらに飼っている犬や馬にまで香料を塗っていたほどで、
一般市民のあまりの香料への肩入れぶりに、ギリシアの七賢人の1人ソロンは
紀元前594年にアテネ市内の香料販売禁止令を出しました。
一説では、ソロンは香料アレルギーであったからといわれています。
哲学者ソクラテスも、こういった世相を批判する一文を発表しましたが
ギリシア人の香料熱はいっこうにおさまらなかったそうです。




こうした香料熱が人々を香料の産地へと誘い、
一国の王を世界史を変える大遠征へと向かわせたのです。
(アレクサンダー大王/マケドニア国王在位紀元前336〜323)




紀元前4世紀中頃のこと、アレクサンダー王子が祭壇で乳香を焚いていた時、
それを見た家庭教師のアリストテレスがこう言ったそうです。
「乳香がたくさんあるシバの国を征服したあとに、乳香を焚くのはかまわないが、
それまではそんな贅沢は控えなさい」と!
当時のマケドニアは貧しい国で乳香は大変高価でした。



この時の経験をバネにアレクサンダー大王は東方へと遠征し、
東方の諸都市を次々に征服し多くの乳香を手に入れました。
32歳で倒れシバは征服できませんでしたが、
内陸アジアへ通じる道を築いていきました。
後に紀元前2世紀に中国が内陸アジアにむけて作った交通路とが合流し結ばれました。
これが有名な絹の道、シルクロードです。
この道によって、絹や陶器、工芸品、香料、スパイスなどが流通するようになり、
ますます香料文化が発展していったのです。



歴史の陰に香りあり・・・どこまで真実かわからないですが面白いです。






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香りの歴史話8・・・アロマなクレオパトラ

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クレオパトラはプトレマイオス王朝エジプト最後の女王です。(在位紀元前51〜30)
この時代はエジプト自体が香料貿易の拠点として栄えていました。
例えば、世界各地から集めたイリス(アイリスの根)、ミルラ、シナモンなどを
原料として調合した香料「キフィ」を製造し、ギリシャ、近東、インドにまで輸出していました。


クレオパトラはエジプトを守るため、
大国ローマの実力者シーザーやアントニウスを誘惑したとされていますが、
その際、自分の肌にシベット(霊猫香/ジャコウネコ)などのムスク系の
エロチックな香りをたっぷりと塗りこんでいたようです。
また、彼女はバラの花が大好きでした。
毎日バラ風呂に入り寝室には40センチものバラの花びらを敷きつめたといわれています。




やがて国が倒れ、彼女は辱めを受けるよりはと39歳で自害しますが、
毒蛇に腕を噛ませ息絶えたその側には、
最後まで占い師と調香師(化粧係)が付き添っていたそうです。
エジプトの人々にとって、クレオパトラとはどんな存在だったのでしょう。
人民を治める王は、太陽神ラー、神の子として崇められていました。
その王の娘のクレオパトラもまた神の娘だったのです。
見た目は人間ですが、ただの人間の娘とはどこが違うのでしょう。
美しい女性ならたくさんいたと思うのですが・・・。




クレオパトラに近づけば、なんとも言えない素晴らしい芳香が漂い
何かが違うと感じさせたのではないでしょうか。
神々しい香り、普通の生活では嗅げない香り?
香料は今とは比べものにならないくらい大変高価な時代でした。
芳しい香りは神の娘として演出する道具でもあり、
またそうしたクレオパトラの存在自体が、国の大事な外交、貿易の場で重要だったのでしょう。
クレオパトラの乗る貿易船の帆には濃厚でスパイシーな香りクローブ油(丁子)を
染みこませてあったので、遠くからでも彼女の船が近づいたことがわかったそうです。




また、彼女は自分のためだけの香料工場を持っていました。
香りに彩られた彼女の存在は、女王という立場上、自国の代表的な産業を
内外に示すための宣伝の役割を果たしていたことになります。
香りのもつ精神面、美容面での効果を知り尽くし利用していたのでしょう。
また、それでかではなく大変な才女であり7カ国語を操り、
小鳥のような可愛い声だったそうです。
ウイットに富んだ会話もでき、こんな話も残っています。



魚釣りをしているアントニウスの釣り針にかかった魚が、
実は水に潜らせた奴隷が魚をつけたペテンだったと気づき怒るアントニウスに向かって、
「こんな魚より全世界をその手でお釣りあそばせ」と微笑みながら言い放ったというのです。
すごいです〜。







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香りの歴史話7・・・心地よい夢を誘うキフィ

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古代エジプトでは、太陽神「ラー」に祈りを捧げるために1日3回香が焚かれていました。
朝は太陽が無事に東から昇るように、太陽が頭上にくると没薬(ミルラ)を焚き、
さらに太陽が沈むときには(キフィ)を焚いていたそうです。
日没からは寺院や家などでは夜通し焚いていたそうです。



(キフィ)とは、16種類の香り成分で出来ていて、
そのキャッチコピーは「眠りを誘い、悩みをやわらげ夢を快くします!」、
心地よい夢を誘い、催眠作用、幻覚誘発作用があったといわれています。
ファラオやクレオパトラは、その(キフィ)の香りを身につけていたそうです。
芳しい香りだけではなく、健康面では感染予防として、
精神面ではリラックスといった相乗効果があったのではないかと思います。
庶民にとっては、高貴な万能薬でもあったようです。



太陽神「ラー」を象徴する花はロータス(このロータスはナイル睡蓮で、
いわゆる日本で見る蓮とは違う)で、よく利用されていました。
また、宴会や儀式の時にもこの花を嗅いでいたそうです。
前回、この花の香りは悪酔い防止だったと書きましたが、
現在の研究によれば、このロータスの花の香りには、
麻酔作用や幻覚作用を引き起こす作用を持つ化学成分が含まれているそうです。
「キフィ」にも同じような成分が含まれていたのかもしれません。




エドウフ神殿やフィラエ神殿のヒエログリスに記されている処方や
古代ギリシャの歴史家などによる処方によると、
(キフィ)には、ワインをベースとして、乳香、没薬、サフラン、
シナモンカッシア、干しブドウ、ハチミツ、スパイクナードなどが入っていたようです。



去年、緑の恵み塾の勉強会で「キフィ作り」をしました。
オプションをつけたので様々なオリジナルキフィが出来ました。
他には、安息香(ベンゾイン/樹脂)やローズの花びら、レモンやオレンジのピール、
シナモン、ジュニパー、クローブなど、精油も加えました。
キフィもどきですが、それぞれが好きな香料が創れたようでした。



私も、乳鉢にいろんなものを混ぜて創ってみました。
安息香やクローブを入れたので、かなり甘めになりましたが、
焚くと(煙が出るのでほんの少し)不思議に落ち着いた香りになりました。
古代エジプトの本物の(キフィ)の香りは、もっと濃くて奥深かったような気がします。
そんな香りに包まれて眠りにつくと・・・どんな夢が見れるでしょう。

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香りの歴史話6・・・古代エジプトの悪酔い防止策

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古代エジプトでは、日常的に花を用いることが盛んであったようです。
ピラミッドやスフィンクスの巨大な遺跡の壁画には、
花の香りを嗅ぐ女性像が描かれています。
かたわらに、香油を入れるツボが配されていることからも、
当時すでに花の香りは芳しいものとされていたようです。



また、壁画の中には、女性の頭の上にソフトクリームのコーンのような
形の香膏を乗せている絵があります。
正装した貴婦人がイスに腰掛け、召使いの女性が
その貴婦人の頭の上のコーンみたいなものに、
花やスパイス、香木などの香りをしみこませたクリーム状の脂肪を
ぺタぺタと塗りつけているのです。


これは一体、どういう意味があるのでしょう?

興味深いことに、宴会、酒宴の時には、
必ずスイレンの花を持っている習慣がありました。
スイレンの花の首飾りや花冠、ツボミを額に下げて飾ったり・・・
男性も女性もお酒をよく飲んでいたのでしょうか?
スイレンの香りは悪酔いを防ぐとされていました。

この花冠の習慣はエジプトから始まり、
ギリシャ、ローマへと伝わったと言われています。


貴婦人が頭に乗せていたコーンは、きっと、ものすごく華やかな香りで
他を圧倒していたんでしょうね。
オーダーメイドの香水みたいなものだったのでしょうか?



このスイレンは、日本のものとは違っているらしいので、
お酒の席でスイレン持っていても変に思われるだけでしょうね。
日本だと、お盆みたいだし・・・
しかし、お花の香りで悪酔いが防止できるなら、
何か別の花で試してみてもよいかもですね。
お花を持ってお酒を飲むなんて、ちょっと可愛いんじゃありませんか?



ちなみに、肝臓に良い精油は
ローズマリー・ベルベノン、タイム・ツヤノール、
ワイルドキャロット、ペパーミントなどです。


二日酔いや胸やけなどが残る時には、
ペパーミント、レモングラス、ローズマリーなどのハーブティーを
飲むとスッキリします。
油っこいものを食べ過ぎた後にも良いです。
話はそれましたが、これから忘年会やパーティーの季節です。
どうぞ、古代エジプトの貴婦人にならって
アロマやハーブでもしっかりケアされてくださいね。






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香りの歴史話5・・・ミイラ作り専門の職人

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ミイラの語源は、没薬を意味する「ミルラ」(英:Myrrh)に由来していると言われています。
ミルラは防腐作用と殺菌作用があります。
カンラン科の木で、その樹脂は古代から薬として用いられていました。
少しツーンとした酸味のある樹脂様の深くて重い香りです。


ミイラの製法は秘密にされていたそうですが、
ヘロドトスの著書「歴史」の中で詳しく述べられています。



古代エジプト人にとって(霊魂)とは永遠に不滅で生き続けるものと考えられていました。
そのために肉体の保存が必要で編み出されたのがミイラ加工の技術でした。
ミイラ作りの専門の職人もいて、パームヤシのワインを飲みながら
仕事をしていた挿絵を何かで見たことがあります。
ああ〜、ワインもあったんだ!と思ったのを覚えていて、
そこから古代エジプトに興味が湧きました。
パン屋もあるし、ホームパーティーもあるし・・・と
私たちが思う以上に文化的で進んでいたようですね。



ミイラの製法は秘密にされていたそうですが、
ヘロドトスの著書「歴史」の中で詳しく述べられています。




ミイラ作りには(上・中・下)の3クラスがあったそうです。
値段によって分かれていたようです。
没薬は高価で貴重なため、王族、お金持ちのものであったと考えられます。
王たちのミイラにはいろいろな工夫がされており、とても贅沢であり、
手足全ての指に鞘をはめ、
身体の様々な場所に護符や装身具がつけられ亜麻布が巻かれていました。
ツタンカーメンには40個以上も護符があったと記憶していますが、
中でもカブトムシ?、あれって何て言ったんでしたっけ?
護符だったんですね。




ミイラ作り(上)から・・・

「脳、内臓を取り出す。腹部をパームヤシのワインでよく洗い、
細かく砕いたスパイスで浄め殺菌する。そうしてから、ミルラやシナモン、
その他のスパイス、ギリシャ産のオークモス(苔)を混ぜて腹部に詰め込む。
このオークモスは香りがソフトで甘く、抗生物質を含んでいる。
このあと、もとどおりに縫い合わせ、70日間ソーダ液の中に漬け込む。
71日目には必ず、取り出して再びパームヤシのワインで洗い、
全体を麻布の包帯で巻き込み、上からエジプト人達が膠に代わりに用いる
強いガム(香膏の1種)をこすりつけていく。」



ミイラ作りには没薬(ミルラ)が多く使われたわけですが、
乳香(フランキンセンス)は使われていません。



乳香は古代エジプトではもっぱら神様へ捧げる香料として使われていたようです。
人々は乳香を焚き香煙に包まれながら、
霊魂の永遠の不滅と平安を神様に祈り続けたのでしょうか・・・





   ・写真の花は、ハーブティーで人気のローゼル(ハイビスカス)です。
    花が咲き終えた後、硬い実のようになっていきます。
    その実の中には、黒い種が出来ます。
    来春は種から育ててみたいです。



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開設日: 2006/10/3(火)


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