IRON(北九州芸術劇場×飛ぶ劇場)
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太平洋戦争後、日本から独立した島国「糧流(かてる)」。 鉄鋼業を主産業とするこの国は現在ほぼ鎖国状態にあり、餓死者が出るほど 困窮しているのだが、人々は建国の父・行快道への絶対服従を強いられている。 主人公・板民(いたたみ)は国設卓球部の選手。 一般人よりはるかに恵まれた待遇の生活をしながらも国際大会にも出られない 現状に疑問を隠せず、ひそかに国外へ出る日を夢見ている……。 劇中に織り込まれる糧流の民俗芸能、「華玉木」がすばらしい。 たぶん、長崎くんちなどをイメージして作られているのだろうと思うが、 ある種様式的な勇者と人を喰らう龍との戦いの場面が冒頭に置かれることで 見ているこちらも引き込まれていく。 本編自体はリアルなつくりで、むしろいろいろな現実を連想させすぎるほどだ。 日本生まれの「在日糧流人」・宮連(きゅうれん)は日本での差別と偏見に悩み、 「帰国」して板民たち国設卓球部のコーチとなるものの、糧流では逆に日本と 繋がる(表向き、日本と糧流は国交がない)スパイではないかと疑われたりもする。 全編通して「糧流方言」が使われる。 これが長崎や福岡の言葉そのものなのか、多少のアレンジを加えてあるのかは わからなかった。(糧流って、地理的には対馬のあたりと思われる) その耳慣れなさと、人物名(板民、上糠(うえぬか)、久丘(くおか)など)の 特殊さに前半の方は設定を把握するだけでいっぱいいっぱいだったのだが、 中盤、卓球部員たちが行快道総帥の誕生日祝いに「華玉木」を上演して心証を よくしようと計画を始める頃から物語があざやかに動き始める。 国家と個人の関係を描いていることには間違いがないのだが、政治的な作品に なりすぎることをぎりぎりで回避し、青春群像劇という印象でまとめられたのも この「華玉木の伝説」の力ではないかと思う。 ただ、この英雄伝説も独裁者の正当性をしめすために利用されている事実が 示されるのはやはり何かを連想させるから、ほろ苦い。 東京国際芸術祭のリージョナルシアターシリーズは、こういう地方の劇団の 作品を見るチャンスを作ってくれるので、ありがたいと思う。 演劇の東京偏重はよくないとは思うが、東京以外に観に出かけるのは難しい。 あと、作品とは関係ないことだけど、劇場にはつき物のチラシを袋に入れて 配っていたのは、好感度高し。 池袋の東京芸術劇場にて。
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2006/3/24(金) 午後 11:45 [ Somethig So Right ]