

■■■「ディア・ウーマン/ジョン・ランディス」<マスターズ・オブ・ホラー>■■■
(55点/モンスターホラー)
刑事であるファラデーは、以前に関わったある事件から受けたトラウマの為にすっかり腑抜けのような存在になってしまい、刑事課の同僚からは白い目で見られ、今では刑事課にありながら『動物関連の苦情処理担当』という閑職に就けられていた。
しかしそんなある日、一人の長距離トラックの運転手が『何か巨大な重量物に轢き潰されて、ミンチのような状態』となった死体で発見される。
死体から動物の蹄(ひづめ)の痕跡を発見した彼は、鹿のような巨大な野生動物の仕業では無いかと考え調査を開始するが、被害者の最期の目撃情報は『目の覚めるようなネイティブアメリカンの美女と酒場を出て行った』という情報のみ…
やがて、同様の手口で第2、第3の殺人が発生するが、ここでも有力な手がかりは無く、ただ同様に『ネイティブアメリカンの美女』が目撃されていた。
事件の捜査は暗礁へと乗り上げるが、そんな折、彼はインディアン達の間に昔から伝承として伝わる『鹿女(ディアウーマン)』の噂を耳にするのだった…
世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」シリーズよりジョン・ランディス監督によるモンスターホラー。
ジョン・ランディス監督と言うと、ホラーよりもむしろ「ブルース・ブラザーズ」や「星の王子ニューヨークへ行く」等のコメディ映画の監督というイメージが強いですが、ホラーファン的には当時の最先端SFXを駆使した変身シーンが話題を呼んだ「狼男アメリカン」の監督として忘れられない存在です。
「ディアウーマン」ってタイトルを最初に聞いた時に、「Dear Worman」かと思って『ラブストーリーっぽいホラーなのかな?』と思ってたら、「Dear」ではなく「ディアハンター」とかの「Deer(鹿)」の方だったんですな…
さて「狼男アメリカン」は、怖い中にもお笑いのセンスを多分に含んだ『ユーモアホラーの快作』でしたが、本作でもそのユーモアのセンスは健在で楽しませてくれます。
特に中盤辺りに、『主人公が事件のあらましを色んなパターンで推理しながら想像する』というシーンがあるのですが…
『鹿の足の剥製を持った女性が被害者を撲殺する…』というアホらしいシーンに始まって、絶対に有り得ないような様々なシチュエーションをマジメに想像する主人公の姿が、余りにも突き抜けたバカバカしさを醸(かも)し出しており、ハッキリいって爆笑必至!!
一見、シリアスなストーリー運びでマジメっぽく謎を提示しておいて、『そんなオチかよ!!』って言うような問答無用の力技っぽいストーリー展開も、ここまで来るとかえって痛快でバカバカしくも納得してしまうパワーがあります。
B級で金かかって無いな…と感じるながらもしっかりとツボは押さえた作りで、ユーモアのセンスのみではなくストーリーの運び等も非常に軽快で面白いですし、ホラーとしての肝となるシーンを踏まえながらも要所要所で思わずクスリと笑わされてしまうというブラックなセンスの良さは、流石はコメディ畑の監督だな…と思わず納得してしまう所でしょう。
ただ、少々不満点を上げるとしたら、ラストが余りにも唐突過ぎてオチが訳が分からないといった点になりますが…
そういや、「狼男アメリカン」も結構唐突なオチだったよなぁ?とか思い出してみたりもしたので、この監督はこういう芸風なのかも?
総評としましては、非常にホラー初心者にもオススメできるタイプの万人向けのユーモアホラーの快作と言える作品だと思います。
特に結構ドギツい作品が多い「マスターズ・オブ・ホラー」の中で、本作と同時に収録されているジョー・ダンテ監督も、ユーモアホラーを撮らせると非常に上手い監督ですので、本作の収録されているDVDは、まさに『初心者向けパック』と言えるかも?
ホラーとしての怖さは余り無いですが、特に観る人を選ばずに鑑賞する事が出来る作品だと思いますので、誰かと一緒に観る際等の接待向けにちょうど良いかもしれませんよ。
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