無題
「カナリヤ」
2007/4/21(土) 午前 0:33
幼い頃、狭いベランダには二羽のカナリヤがいて、夏休みの間彼らの世話をするのが私の役目だった。
若い雄は夏の強い日差しを浴びてなお一層みずみずしさを持つ黄色の羽根を持ち、日がな美しい声で囀った。つがいは、父が学生時分に飼ったという。くすんだ橙のずんぐりとした羽根で、彼女は若い伴侶と抜けるような夏空を瞬きながら見つめ、いつもぼんやりと下段の止まり木に座っていた。
夏の終わり、私は画板を抱えて鳥篭の前に立った。
──生き物の絵を描いて見ましょう。
放置されていたその課題を、口うるさい母が見逃すはずもなかった。黄ばんだ藁半紙に書かれた課題を高々と掲げ、今日中に仕上げるようにと厳しい口調で告げた。
傍らに人間の気配を感じただけで、若い雄は怯えて上下の止まり木の間をせわしなく跳び回る。困り果ててさらに顔を近づ
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