徒然散文記

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2012年2月5日

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レクサスとトヨタの大企業病?(2)

私は、この両車の失敗はトヨタの大企業病によるものだと思います。

トヨタブランドから見ると、この車は「小さな高級車」として売り出したものの、あまり良い結果を得られなかった「プログレ」「ブレビス」の後継車として企画されたものでしょう。

この消えた2車は共に国内専用車でしたから、SAIも当初は国内専用車として企画されたと思います。

大企業病の1は、この企画は、国内のある部門だけで進めていたと容易に推測されるからです。

なぜなら、SAIの後にカムリがハイブリッド専用車として国内で販売されたからです。

しかも驚くことに、カムリの方が大きくて、立派で、しかも燃費が良くて、更に価格も安いのです!

誰が見たって、カムリの方が売れるに決まってますし、実際その通りになっています。

これは当然のことで、アメリカでベストセラーを誇るカムリであれば、コスト競争力は高いでしょうし、内容的にも充実したものになるのは当り前のことです。

SAI担当者からすれば、驚いたことでしょう。後から全てに勝る車を出すなんて、と。まさに敵は身内にありです。

恐らくカムリはグローバルカー、特に北米や中国市場を重視し開発されたでしょう。

はっきり言って、日本市場のことなんて、これっぽっちも考えずに開発したと思います。

大企業過ぎて、開発もマーケティングも担当者は全く別々で、コミュニケーションもないのでしょう。

で、最後の最後にカムリを日本で発売するに当たって、ハイブリット専用車にしてしまい、SAIとコンセプトが重なってしまったということです。

開発費をふんだんに使えるカムリの方が、全てに勝っているのは当然のことで、結果としてSAIは冴えない販売台数になってしまいました。

これがもっと小さいメーカーだったらどうでしょうか?自動車メーカーは、長いレンジで開発計画を立てます。

ですから、わずか2年の違いで、似たようなコンセプトの車を計画するはずもなく、またわずか2年で先行した車が色あせるような車種を出すことはあり得ないでしょう。

トヨタの言い訳は、「国内中心に企画する人と北米市場重視で開発する人は違うんだ」とか「ハイブリッド専用車と、ハイブリッドが派生車となっているカムリとは位置づけが違う」とか言うでしょうが、もちろんそれは言い訳にすぎません。要は、部門間の情報の壁が大きくなりすぎているということです。


大企業病の2は、トヨタブランドとレクサスブランドのコンセプトに「表面的には違う」と言いながら、結局はレクサスブランドの独立性が担保されてないということです。

そもそもSAIは国内専用車として開発された車です。その一つの特徴はサイズにあります。

最近のセダンは、海外市場をメインに開発するために、車幅がどんどん大きくなっています。

アコードやカムリは1800mmを超え、シビックやカローラ(海外仕様)でさえも1760mmを超えています。

当然ですが、こうして5ナンバーサイズを超えると、売れ行きががっくり落ちるのがセダンの特徴です。

それを承知のトヨタは、国内仕様のカローラは5ナンバーをキープし、「最上級車」のクラウンさえも必死で1800mmを切るようにしています。

国内向けのプレミアムセダンとして開発されたSAIも、当然この序列の中に入りますから、最上級車のクラウンを上回らないように、1770mmで作られています。

ちなみに、トヨタブランドを意識しない、海外中心で考える車は、当然ですが海外市場を考えてサイズを決めますので、クラウンの車幅なんか気にしません。

レクサスはその代表で、元々はクラウンの車台を使って開発されたレクサスGSは1800mmを大きく上回っており、一番小型セダンであるISがクラウンと同レベルというサイズなのです。

最近のドイツ系のサイズ拡大に対抗すべく、レクサスも今後車幅は拡大してくるでしょう。

実際、最新版のGSは、先代比プラス20mm、先代も先々代比プラス20mmと拡大してきました。次期、ISが1800mmを超えるのは間違いないでしょう。

そういう流れの中での、レクサスとしての新規ブランド車の開発です。レクサスですから、メイン市場はアメリカです。

もし、本当にHSがトヨタのことを考えないで、レクサスだけを考えれば、サイズの考え方は当然この流れの中で考えるでしょう。

現行ISは全長4635mmで車幅が1795mmですから、次期型は車幅は1800mmを超すでしょう。

新型レクサスセダンの全長が4700mmであれば、当然車幅は1800mmを超すのが自然な流れです。が、実際にはHSは1785mmです。

それはSAIとほとんど同じ車で、ちょっと外観をお化粧しただけなので、サイズ的に自由度がないのです。

結果として、アメリカでのHSの評判は良くなく、さっぱり売れていません。

昨年12月実績で見ると、アメリカのレクサス全体のわずか1%程度!しか売れてない。

要は、今消えてもほとんど影響がないレベルだということです。この失敗は、一体だれの責任なんでしょうか?

HS不振の原因をアメリカの自動車雑誌などの書評で見ると「これだけプレミアムな価格の車なのに、外見が貧相に見えるというのが最大の要因でしょう。特に、全長に対して車幅が狭すぎ、全く上級車とは見なされません。」とありました。

レクサスの開発担当者?「冗談じゃない!あれは、レクサスオリジナルで開発した車じゃない。トヨタの国内専用車SAIの開発中に、これをベースにレクサス版を作れと言われたから、ああなったんです。最初からやっていれば、もちろん違う形になっていますよ」と言いたいところでしょう。もちろんこの発言は、私の想像ですが。

つまりトヨタは、レクサスはトヨタブランドとは別物だと言いながら、思いつきのような形で全くそっくりの兄弟車をほぼ同時にデビューさせたというわけです。

レクサス担当の人たちは、できるだけ「トヨタ臭さ」を取り除こうとしているのに、効率第一の経営陣は「どうせなら、一緒に作った方が効率的」と押し付けたのだと思います。

これは未だに「レクサスは所詮はトヨタの一部門に過ぎない」と考えている大企業的考え方が強いからだと思います。

同じように、フォルクスワーゲン傘下にいるアウディは、元々が別会社であったためか、「フォルクスワーゲンのおいしいところだけ使う」という発想で、少なくともVWから車種構成をどうするという指示までは受けてないでしょうし、ましてやサイズの問題は全く自由にやっていると思います。

というか、アウディはあまりにもアメリカを意識しすぎのせいかわかりませんが、どの車種も車幅が大きすぎます。

レクサス幹部は、もちろん市場のニーズやHSの失敗の要因はわかっているでしょう。

今回の新型GSも、できるだけ「クラウンの派生車」と言われないように、できるだけ独立した車にしようという努力の跡が見えます。

ですが、結局はトヨタの幹部が「お、これ作ったから、レクサスでも使ってよ」なんて言うのが続くようでは、レクサスの成長はおぼつかないでしょうね。

そしてそういう姿勢が垣間見える限りは、とてもプレミアムブランドとしてグローバルには広がらないと思います。

おひざ元の日本では、SAIと兄弟車であることを丸出ししてるし、主力のアメリカでは、現地ニーズと明らかに異なるデザインで出しているのですから。

(完)

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田崎正巳
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