レスピーギ 「シバの女王ベルキス」
|
レスピーギ 「シバの女王ベルキス(管弦楽組曲番)」 ジェフリー・サイモン指揮 フィルハーモニア管弦楽団
「シバの女王ベルキス」
1、The Dream of Solomon 2、War Dance 3、The Dance of Belkis at Dawn 4、Orgiastic Dance 5〜17、第12の旋法によるメタモルフォーゼン
前回取り上げたヤン・ヴァン=デル=ローストの「交響詩スパルタクス」には「レスピーギに捧げる」と銘打たれています。同じローマがらみの作品ということで「ローマ3部作」をイメージに浮かびますが、ヴァン=デル=ローストの脳裏にはこの作品が浮かんでいたんじゃないか、と思えるのがこの「シバの女王ベルキス」。 もとはオペラン・バレエ(勝手につくった造語)であるこの作品。その中から抜粋した組曲版です。造語を作ったのは一応バレエ音楽と銘打たれているものの、歌唱は入るわナレーションは入るわでかなり得体の知れない代物だということで。全曲盤の録音もまだまだ数えるほど。ぼくも聴いたことありません。
レスピーギといえばクラシックファンの間ではもっぱら「ローマ3部作」のみで知られている作曲家ですが、じつは吹奏楽の分野では大変なビッグネーム。ホルスト同様、一発屋というイメージが強いクラシック界とはずいぶんと扱いが違う模様。モーツァルト以上というのは大げさかもしれませんが(グラン・パルティータあるし)、少なくともベートーヴェンよりはずっとビッグなはず。
「シバの女王ベルキス」はそんな吹奏楽界におけるレスピーギの定番ナンバーらしい。なお、オリジナルではオーケストラ編成の作品となっています。
エキゾチックな1で古代世界にトリップしたかと思うとド迫力の2で大興奮、官能性か可憐な雰囲気を兼ね備えた3でシバの女王の怪しい魅力を思う存分堪能し、最後の4で壮大・ドラマティックな展開で大団円。
じつにグレイトな作品です。
印象派テイストの漂う「ローマ3部作」に比べるとあまりに「通俗的すぎる」という評価も出そうですが、いいじゃないですか。色彩とハッタリの魔術師、レスピーギの面目躍如たる作品です。
人気ナンバーだけに国内の演奏団体の動画もさまざまアリ。↓は適度に抜粋したバージョン。
カッコいい〜。
「シバの女王」といえばポール・モーリア…ではなく旧約聖書に出てくるシバ王国の女王のこと。紀元前10世紀当時、エルサレムを支配していたソロモン王を尋ね、いろいろとヨロシクやって贈り物などを交換して国に帰るというどうってことないエピソードで有名な人物。
一応ヨロシクやっている間に子供ができたらしく、古代エチオピア帝国の歴代皇帝はこの子供の子孫を自称していました。
まあ史実というより伝承ですが。なお、この古代エチオピア帝国はさまざまな興亡を繰り返し、形を変えながらも1974年まで続きます。伝説の世界がつい30数年前まで現存してた、みたいな。
あと、エチオピア帝国はキリスト教を国教にしていたこともあって中世末期には有名な「プレスタージョンの国」として否定されていた時期もありました。
現在でもエチオピアの人たちはシバの女王をビッグネームとしてあがめ、自分たちがその末裔であることを誇っているんだとか。
あと、ソロモン王といえばオカルトでおなじみ「六芒星」を作った人としても有名ですね(これも伝承ですが)、日ごろ六芒星にお世話になっている人も多いのではないでしょうか(?)。
詳しいエピソードは旧約聖書を読んで…と言いたいところですが、まあ読む機会はないでしょう。というわけでこの1冊を取り上げておきたい。
ジェラール・ド・ネルヴァル 「暁の女王と精霊の王の物語」 角川文庫
ベルキスとソロモンのエピソードを基にしたお話。
ネルヴァルと言われてもピンとこない人も多いかもしれませんが、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」の台本書いた人です。幻想詩人として知られたこの人、ゲーテの「ファウスト」を最初にフランス語訳した人物でもあります。ゲーテ本人が激賞したという訳文を読んだベルリオーズが感激してのめりこみ、さらにリストに押しつけたことで「ファウストの劫罰」や「ファウスト交響曲」が生まれたわけ。
訳文が古いこともあってちょっと読みにくいですが、ソロモン王がちょっと間抜けで笑えます。機会があればご一読あれ。
なお、この録音はナクソスも真っ青のイカモノレーベルとして名高いシャンドス盤。 メジャーレーベル並みの販売網とマイナーレーベルならではのいかがわしさを兼ね備えたグレートなレーベルです。80年代にヤルヴィ(父)が下手な鉄砲もかくやとばかりの音源乱れうちを敢行、そしたらグラモファンに引き抜かれて一流指揮者の仲間入りをしたことはオールドファンの語り草。
さらに息子のブレイクで気がつけばクラシック界きっての名門一家に。
人生何がおこるかワカラン。
また、吉松隆氏の作品を続々録音するという暴挙…じゃなくて快挙を行ったことでも有名。
これで価格がナクソス並みなら天下取れるのになぁ〜
このCDはたぶんシャンドスでも1、2を争う人気盤。ゆえに中古でもたくさん見かけるので超オススメです。
「ローマ3部作」だけでは終わらないレスピーギのエキサイティングな魅力をどうぞ。
|
トラックバック(1)
トラックバックされた記事
今日の音楽(7/21)
{{{ レスピーギ/バレエ組曲「シバの女王ベルキス」 ジェフリー・サイモン指揮フィルハーモニア管弦楽団 (録音1985年1月25日、CHANDOS NSC218) }}} これは最近のお気に入りの1枚です。 組曲ですがこの盤では、 1.ソロモンの夢 2.戦いの踊り 3.ベルキスの暁の踊り 4.狂宴の踊り の順で収録されています。 欧州からみるとオリエンタルな異国情緒に溢れる曲調ではないでしょうか。 レスピーギのダイナミックで独特の派手さ
2010/5/4(火) 午前 9:51 [ 題なしblog ]
トラックバック先の記事
- トラックバック先の記事がありません。





ついにこの曲が登場しましたか。娘の中学の吹奏楽部はこの曲で東海地区で第1位になったと思いました(当時、娘はまだ小学生でしたが。。。)それにしてもオケ版であるこの盤を中古で見つけたときは嬉しかったです。もっとも肝心の物語の方はサッパリなのです(汗)。過去記事ですがTBさせて下さい。
2010/5/4(火) 午前 9:50
白髪ばっはさん 満を持しての登場って感じです。そもそもぼくがこの曲を知ったのは白髪ばっはさんの記事を拝見したのがきっかけですから。このCDを購入して聴いた時には「俺はいままで何やってたんだろう」と思ったものでした(笑) クラシックファンの間でももっとも知られて欲しい曲ですよね。
2010/5/7(金) 午後 7:50 [ 文房具009 ]