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Dr.HOUSEってアメリカの番組、大好きです。アメリカでも空前の大ヒットだとか。ずいぶん勉強になるところもあって、録画してしっかり保存しています。んで、見ていて思いつきました。こんな、推理ゲームはいかがですか?人の命がかかってますぜ。アウトなら、訴えられますわ。覚悟してやってみてチョ。
五人の下腹痛の症例です。いずれも、下腹部痛を主訴(一番気になる症状)として来院しました。
一人目は50代の女性。半年ほど前からおなかが張ったような気がすると言って来院しました。横になると、なんだかおなかが膨らんでいるような気がするけれど、痛みとか出血だとかその他の異常はなし。閉経は数年前です。お子さんは2人。出産以外は病院に行ったことは無いそうです。最近は親の介護が忙しくて自分の事をかまっている暇もなかったとの事でした。
二人目は30代の女性。生理はいつも通り来ているそうです。生理痛がいつもあって、下腹部痛と腰痛があるとのこと。昨日から右の下腹部痛と腰痛があって、いつもの生理痛のような感じだと。数日、トイレが近いとも言ってました。微熱もあるそうです。子供は1人。婦人科検診は数年前に受けたきりだそうです。
三人目は20代女性。不正出血があるとのことで来院。出血があるのでなんとなく腹痛があるような感じがするそうですが、体調が悪いわけでもなく、性行為の後に出血が数日あるので、心配で来院されたそうです。出産経験は無し。以前クラミジアの治療をしたことがあるそうです。
四人目は20代女性。昨日、胃痛と吐気のため近所の内科にかかったけれど、胃腸炎ということで痛み止めを渡されたそうです。一時的に痛みはおさまったけれど、今朝からだんだん痛みが下腹部に移ってきたとのこと。お腹を押さえて苦しそうに診察室に入ってきました。生理は正常。出産経験もありません。
五人目は10代女性。下腹部の重いような痛みが続き、下り物も多いような気がするそうです。中絶経験一回あり。子宮癌検診など婦人科の検査は中絶の時以来受けたことはないとのことでした。
さて、何人目の患者さんが命にかかわる病気なのか?そして、何人目の患者さんがすぐに薬で治る病気なのか?わかりますか?アハハァ、ひっかけもありますよぉ。でも、患者さんは、嘘もつくし必要のない事も言うしねぇ。基本は「自分の目で見たことを信じる」それしか診断の方法はないんです。マヂでね。フォッフォッフォ。
ん?あたしゃ医者じゃないからそんなのは分かんないですって?いいんです。こういった具合で来る方が非常に多いんです。つまり、御自分にこういう症状があったら、こういう病気かもしれませんよっていう啓蒙なんですよ。まさか、こういう症状の人がこういう病気だったとはねぇ。ってことをわかっていただければいいんですから。ま、難しく考えないで、推理小説を読み解くようなつもりで読んでみてくださいな。
一人目の方。あたしは話を聞いた時「ヤヴぁい!」と感じました。長らく病気にかかったことがなくて病院にかかっていない。お腹が張る以外、痛みなどの症状がない。長期間にわたって精神的ストレスにさらされてきた。もし、これに、最近体重減少が気になる。というのがあれば完璧です。これぞ、癌です。しかも、出血などの異常がありませんから、子宮ではなく卵巣癌。可能性が濃厚です。
二人目の方。看護師が尿検査を持ってきました。案の定、白血球(炎症の細胞)3+、赤血球(血尿)3+。尿の色、赤色。ああ〜、あれね、一応子宮卵巣は調べるけど、ほぼ、間違いなく泌尿器科だわ。あの検査で陽性がでればビンゴですね。
三人目の方。ああ〜、クラミジア治療の経験があるということは、かなり若いうちから性経験があったようで。たいして痛くもない。性行為後に出血があると言ったら、まず、あれでしょう。ねぇ。ヤヴァいです。
四人目の方。ああ〜、そうそう初期のころには診断がつかない事もあるのよねぇ。ウチみたいな小さな婦人科診療所にかかっても解決しないから、すぐに紹介状を書く準備ですわ。一応、緊急の検査(炎症反応)もやってね。
五人目の方。性経験も若いころからあるようだし、痛みがひどくないのも怪しい。これは、あれですよね。あれあれ。薬のめばすぐ治るからダイジョーブ。安心してよしっ!
さて。どうなんでしょうねぇ。ちなみに、順不同で診断名を挙げると、クラミジア頚管炎、子宮頚癌、腎盂腎炎、卵巣癌、急性虫垂炎。ま、結論がでたあとなので、堂々と病名を挙げることができるのですが…。あたくしのような藪医者にとっては、難しい判断もあるってことで。
さてぇ、一人目の患者さんを診察してみましょう。内診台に上がっていただいて、超音波をするとぉ!直径8センチメートルの卵巣腫瘍です。中に、超音波が濃く反射して白く見える部分と、ほとんど黒く見える部分があります。黒く映る液体成分の中に増殖した固形成分が乳頭状に増殖しています。ふぅむ、ヤヴァヤヴァだわ。
二番目の方。一応超音波をやりましたが、子宮卵巣に異常なし。診察室に戻ってきたとき、背中の肋骨の下あたりをたたきます。「いたたたたっ!」はい、ビンゴです。これはCVAtendarnessと言って、もう、この所見が出たら婦人科ではないです。
三番目の方。クラミジアだと思ったら、ザンネェンです。以前クラミジアの方でも、たいていは帯下と腹痛が主訴です。不正出血は少ない。性経験が多くて、刺激があると出血する。ってぇと、ヤッパあれでしょうな、あれです。HPV(ヒトパピローマウィルス)が関係しているあれです。
四番目の方。来院した時には、診察すると、右下腹部に圧痛(押して痛い)とブルンベルグ徴候(急に手を離すと痛がる)陽性になってました。血液検査で白血球1万5千ってことは、明らかに炎症を起こしていることだし。こりゃぁなんだねぇ、少なくとも婦人科で治療ができない、なにですなぁ。
五番目の方。子宮卵巣に以上無く、調べた検査の結果は、あの世界中で流行っているSTD(性感染症)が陽性。アメリカや中国では百万人が感染しているということで大問題になってます。日本でも、女性10人に一人は感染しているという、例のSTDです。
さてぇ、誰がどんな病気かわかりましたか?同じ下腹痛でも、命にかかわるものもあり、簡単な治療もできるものもあり。医者をやってると、常に緊張を強いられるってことがわかっていただけますでしょうか?なんでもないようなことが命にかかわる病気だったりするんです。安請け合いはできません。ましてや、本人の話なんて信用できませんや。正直な話、急激に起こった死にそうな痛み以外は、症状と疾患の重症度が逆の事が多いんです。軽い症状だからと言って放っておいたら、結果はDEAD!なのです。怖いでしょう?生半可な気持ちで医者になんかなるもんじゃありません。一番反省しているのは、あたくし自身です。ハイ。
さて、それぞれが何の病気だったかをお教えしましょう。あなたにこんな症状があったら、実は、ヤヴァい病気なのかもしれません。ただちに婦人科を受診することをお勧めします。受診は、昼間のうちにお願いしますね。遅くなれば遅くなるほど救急病院に受け入れてもらえなくなる可能性が高くなります。緊急に治療が必要なのに、とんでもなく遠くの救急病院にかかるのなんて嫌でしょう?なら、3日前からお腹が痛いのに、夕方、診療が終わる頃ギリギリに受診するなんて、愚の骨頂ですよ。そんな馬鹿な真似したら、明日には、この世とお別れを告げることになるかもねぇ。そんなことになってから、医者を訴えてみたってあなたは生き返りません。助かるうちに病院にかかっておくのが一番ですって。ホント。病気をなめちゃいけませんぜ。
さて、結論をお教えしましょう。フッフッフ、あなたの予想と合っていましたか?もし、合っていなかったら、あなたの医学的知識なんて、マイクロソフトのフライトシュミレーターで練習して旅客機を操縦するようなものですから、つまらん思い込みは全て忘れて医者の言うことをきちんと聞くべきです。
一人目の方。すぐさま大学病院に紹介しました。大学病院で卵巣癌と診断を受け、手術をして、現在化学療法を受けていらっしゃいます。ご本人にとっては青天の霹靂でしょう。でも、事実は事実。受け入れるしかないのです。
二人目の方。泌尿器科に紹介しました。案の定、腎盂腎炎という診断で数日入院治療をされて、無事退院したそうです。生理痛と同じような痛みだからと言って、生理痛だなどと考えてはいけません。もっとも、我々から見たら、こんな症状があるのに生理痛だなどとのんきに考えている事がおかしな事なのですがね。
三人目の方。子宮頚がんの初期でした。円錐切除と言って、子宮の入り口を切り取る手術をして経過を見ています。もし、のん気に放っておいたら、進んでしまって、子宮や卵巣も取るはめになっていたかもしれないということを考えると、背筋が寒くなります。特に最近、子宮頚癌は20代に多い病気ですから、絶対に子宮頚がん検診を受けてくださいね。ホント、お願いします。癌が進んでからでは、どうしようもないのですから。
四人目の方。もう、完全に急性虫垂炎(盲腸)で、腹膜炎を併発しています。ただちに外科の救急に行っていただきました。外科では緊急手術。腹膜炎を併発して、盲腸は破裂寸前だったそうです。いやぁ、ヤヴァヤヴァですなぁ。へたすりゃ死ぬよ。マジで。
五人目の方。クラミジアの検査をしたらバッチリ陽性。クラミジア頚管炎です。ホント、クラミジアにかかってる人多いんですよねぇ。すぐに治るけど、また、どっかですぐにかかってきちゃう。女性の場合は、妊娠や出産に影響する病気ですから、よく考えて欲しいですね。どうせ男なんて、ろくなこと考えてないんだから、安売りしちゃいけませんぜ。マヂで。後で必ずつらい思いをするのは女だってことを忘れちゃいけません。婦人科やってると、つくづく思いますわ。
合ってましたか?もし全部合ってたら、あなたは産婦人科医になって、社会に貢献すべきです。マヂで。だって、産婦人科医は少なくて、本当に困っているんですから。もし、合ってなかったら、異常があるときはさっさと病院にかかってください。その時、インターネットで調べたり、隣のおばちゃんに聞いたりした知識をひけらかすようなまねは絶対にしないでください。あなたの知識は、フライトシュミレーターでうまくいったからと言って旅客機を乗っ取って操縦するというのと同じ程度なのです。専門家から言ったら、邪魔な知識、いや、バカバカしくて相手にしてらんねえってことなんです。口を慎んで、少しは専門家の見解を神妙に聞くという態度が大切です。それが、あなたの命を救うということになるのです。そういうことが、この五つの症例を知ってわかっていただけたと思います。何?まだ、わからん?ああ、好きなようにしてください。その結果、どういうことになろうとも、医者のせいだけにはしないようにお願いします。
ほんっと、頼みますよ。聞き分けのない患者が増えると、まともな医者が減るという反比例の関係があるということをお忘れなく。
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