一瞬、背筋が冷たくなった。
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金曜日、田んぼの仕事をほったかして役職関係のお付き合いでお葬式に参列。
遺族の皆様にお見送りされていたら、「あら〜キクちゃん」って呼び止められた。
「??」
「○○○よ〜、いつもどうもね」
よく見たら、たまに行く飲み屋のママさんでした。
さっきまで涙流していた娘さんが、バシバシ背中たたいて大笑いって・・・世の中狭いなあ。
夕方は、歓送迎会(またです)で、街に繰り出しました。
二次会の途中までは、良く憶えております。
あるときから、記憶は斑になっておりまして。
タクシーで寝てしまって、行ったり来たりしたような、しないような。
今朝、酷い二日酔いで目覚めた。
財布はあった。お金は少々残っていたけど、領収書を見てまた吐き気がした。
なんで飲み屋でカードを使ったんだろう。
あれ、携帯が見当たらない。
家電から呼び出しても音は聞こえない。
歓送迎会だったので、挨拶の時マナーモードにしたんだっけ。位置情報もオフにしてた。
まあ、どっかにあるんだろうと能天気なオヤジは、仕事に出かけた。
お昼に家に戻ると、玄関先に僕のiPhoneを高々を掲げて、ドヤ顔のかみさんが仁王立ち。
「これ何処にあったと思う?」
「炬燵の中」
「ブブー、タクシーでした!」
「え??」
かみさんの話によれば、タクシー会社の事務のおばさんが家に電話を寄こしたそうである。
「こんな携帯使ったこと無いんで困ったんですけど、適当に押したらつながりました。」
このおばはんの凄いところは、着信の履歴を見て家にかけてきたところである。
履歴を見ると、夕べの惨憺たる情景が目に浮かぶ。とても、かみさんには見せられない代物である。
そこをスルーしてくれたおばさんは、人間が出来てる。
飲み屋のねえちゃんからじゃなくってほんと良かったわ。
鬼の首を取ったかのように勝ち誇ったかみさんが言った。
「御礼に菓子折りもって行ったから、三千円頂戴ね。」
テーブルには、ケーキの食べ残しが一切れ置かれていた。
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