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中国の国防費が18年連続で二桁のパーセンテージで成長してきており、発表されている国防費には研究開発費や海外からの武器購入費用が含まれておらず、それらを含めると実際の2006年度の国防費は発表されている数値の約3倍程度の1,220億ドル程度になると英国の有力シンクタンク国際戦略研究所(IISS)は推定しており、同年度の日本の防衛費約411億ドルを大きく上回っている。

また中国は今年の1月に自国の気象衛星を標的に、宇宙空間での衛星破壊実験に成功しており、有識者はミサイル防衛網を含めた米国の宇宙空間の衛星を利用している様々な軍事システムの破壊に結びつくものとして警戒している。

これらのことを含めた中国の軍拡の意図するところは何なのであろうか?

中国は中華思想の国であり、世界の中心が自分であると思っているので、いずれ世界制覇をすることを考えているのではないか?と訝る人もいるが、それは少し飛躍が大き過ぎる考えであると思う。中国人の多くは実際にはそこまでは考えてはいないであろう。

いくら中国が経済発展をして来たといっても、人口13億人ということを考えると、一人当たりのGNPは世界で3桁台の順位の国になってしまうという事実もあり、中国の大部分の地域は未だ開発途上国というのが実態である。

そのような中国の軍事力の拡大の背景となっているものには私は次の4つの要素があるのではないかと考えている。

1)中国は19世紀から20世紀前半にかけて欧米の列強や日本に国土の一部の支配を受け、2次大戦では戦勝国とは言っても、実際は敗戦国のように国土を荒らされた国である。そのような歴史を持つ国にとっては、将来は同じ目に遭うことがないように祖国防衛の為の軍備に力を入れざるを得ない。

2)中国の人民解放軍は、中国の国の軍隊というよりも、中国共産党の軍事部門というのが実体であり、共産党一党独裁体制という特殊な体制下において、独裁体制の維持や国威発揚のためにも軍事力の拡大に力を入れている。

3)米国本土に届くような弾道ミサイルも配備されたと言われており、気象衛星破壊実験というデモンストレーションも米国軍事力に対する抑止力を目的としているものと思われる。

4)軍事力を強化することにより、それを背景として自国に有利な外交を展開したり、国際社会での発言力の増大を狙っている。

このままでは日本は中国に飲み込まれてしまうなどという人もいるが、日本の歴史が始って以来、確かに元が攻めてきた元寇という歴史事実はあったが、日本海の荒波を乗り越えて中国が日本を侵略したという歴史的事実は一度もないし、今後その可能性が高まると考える理由は特に見当たらない。

先日来日した温家宝首相の国会演説に対して様々な意見があるが、あの演説が中国に生中継されその中で私が注目した部分は以下の3つの下りである。
中日国交正常化以来、日本政府と日本の指導者は何回も歴史問題について態度を表明し、侵略を公に認め、そして被害国に対して深い反省とおわびを表明しました。これを、中国政府と人民は積極的に評価しています。日本側が態度の表明と約束を実際の行動で示されることを心から希望しています。中日両国は和すれば双方に利益をもたらし、争い合えば共に傷つきます。両国人民の子々孫々にわたる友好を実現することは、歴史の流れと両国人民の願いに完全に合致し、アジアと国際社会の切実な期待でもあります。
日本のお詫びに対して中国政府と人民は積極的に評価しているということを言明したのは初めてであると思う。但し一方で、日本の首相による靖国参拝も牽制はしている。
中国の改革・開放と近代化建設は日本政府と国民から支持と支援をいただきました。これを中国人民はいつまでも忘れません。
日本のODAに対して中国人民はいつもでも忘れませんと中国で生中継された意味は大きい。恐らくこれも初めて中国人民に対して日本がODAによる支援を行っているという事実を公表して、“いつまでも忘れません”という感謝の意を表したのも初めての事であったと思う。
中日両国はいずれもアジアと世界における重要な国です。中日関係の在り方は、地域ひいては全世界に重要な影響を及ぼします。われわれはこのような視点に立って、協調と協力を強化し、共に北東アジアの平和と安定を維持し、東アジアの地域協力のプロセスを推進して、アジアの振興に取り組む必要があります。また、同じ視点に立って、エネルギーの安全、環境保護、気候変動、疾病の予防と抑制およびテロ対策、多国間犯罪の取り締まり、大量破壊兵器の拡散防止など地球規模の問題に共に対応していく必要があります。中国側は、日本が国際社会においてより大きな役割を果たしたい願望を理解し、国連改革を含む重要な国際問題と地域問題について、日本側と対話と意思疎通を強化する用意があります。
中国は日本の国連常任理事国入りに反対であると言われているが、日本が中国と友好関係を樹立できれば、中国も日本の常任理事国入りには賛意を示すかもしれないということも匂わしているような気もする。

以上のような言葉は、小泉靖国参拝時点では想像もできなかった言葉の数々である。相手の嫌がることをやらなければ、同じ人間同士は近づきあうことができるということを如実に示しているのではないかと思う。

これらの言葉は同じ言葉が、情報統制を行っていると言われる中国全土に中継されたという意味において価値ある言葉であり、一方が他方に戦いを挑むような気配はなく、友好を深めてゆこうとする誠実さは伝わってくる言葉であったと思う。

こういう綺麗な言葉だけが現実の日中関係を総て表しているようにも思えないが、例えば近年、上海総領事館事件のような類の事柄や東シナ海ガス田問題等の諸問題はあるものの、少なくとも中国側首脳は日本と友好的な外交を行ってゆこうという意志表示は明確にしているように思う。

日本と中国の経済的結びつきはかなり強いものがあり、中国と日本の貿易額は日本と米国の貿易額を2006年度には上回ったと言われている。つまり中国と日本は経済的には補完関係にあり、どちらの国にとっても相手国側の混乱は自国に悪い影響を及ぼすという意味において相手国の混乱は歓迎できないという相互依存関係を持つに至っている。

中国脅威論をいう人がいるが、中国の軍拡の背景となっている要素を冷静に分析すれば、実際に中国の軍拡というのは、上記の4つの要素に分析した通り、中国の国際社会での発言力を高めてゆくという目的の他には、中国自身の自らの防衛が主眼となっていると私は考える。

昨年安倍首相が『靖国参拝問題』を棚上げにして、首相就任直後中国を電撃訪問し、それが今回の温家宝首相の国会演説につながったという日中友好に向けた方向性は大切にしてゆくべきである。

中国に住んでいる日本人に聞いたところによると13億人の人口のいる中国には42言語が存在し、同じ中国語でも地域によってテレビでは違う中国語の字幕が出る地域が多く存在するそうである。実際には中国という国は『中国合衆国』という表現があてはまる国のようである。

土地収用に伴なう農民暴動が年間何万件にも及ぶ自国内や自治領を統治してゆくということに共産党独裁政権は手一杯であり、他国を現実に侵略してゆこうとする動きなどは実際とれないであろう。現実には台湾問題以上のことは中国政府の視野には入っていないと思う。

国会での温家宝首相演説に次の一節がある。
議員の諸先生方、中国は改革・開放を実行して29年来、経済・社会の発展の面で世界に注目される成果を挙げてきました。しかし、中国は人口が多く、基盤が弱く、発展にはアンバランスの状況が存在し、依然として発展途上国であり、近代化を実現するにはまだ長い道のりがあります。われわれは2つの任務に直面しております。1つは、社会生産力の発展に専念すること、もう1つは、社会の公平と正義を推進することです。この2つの任務を達成するには、2つの改革を推進しなければなりません。1つは、市場経済を志向する経済体制改革、もう1つは、社会主義民主政治の発展を目標とする政治体制改革です。中国の発展には資源、エネルギー、環境などのボトルネックの制約がありますが、長年の努力を経て、われわれは発展のための新しい道を見いだしました。すなわち科学的発展観を確立・実行し、資源節約型、環境にやさしい社会を建設し、経済と社会の全面的かつ調和の取れた、持続可能な発展を促進することです。
素直に温家宝首相は中国の現状を述べているのではないか、こういう現状の中国に、先進国の日本はかっての高度成長時代を経験した日本には環境問題等で協力できることは多いし、協力してゆくことにより新たな両国の経済的発展にも結びついてゆくものと思われる。

私は中国北京を短期間であったが、訪問したことがあるが、私が接した中国人は皆、肌の色、髪の色、目の色が日本人と同じある種の親近感の持てる民族であることを実感した。

日本人は中国人と友好的な民族として向き合ってゆくことが、アジア地域に安定化を与え、両国の発展や世界の平和に寄与してゆくことができると考える。

また、日中関係の安定化はお互いに良い意味で影響し合えるという意味合いにおいて、米国も歓迎するはずである。というのは米国はイラク・イラン問題やパレスチナ問題を含む中東問題で手一杯であり、北朝鮮問題に関する最近の米国の対応を見てもわかる通り、アジアには揉め事をできるだけつくりたくないという立場であることは明確である。

米国にとって日本は同盟国であり、日本が中国に良い影響力を持つようになれば、共産党独裁体制という中国を政治的には完全には信じきれない米国にとっては、日本を通じてアジアの安定化を図れるというメリットもある。日中関係が不安定ならば、米国は中国と日本とは全く別扱いして付き合って行かねばならず、事と次第では、それぞれの関係が不安定になってゆき、ひいてはアジアや世界が不安定化する要因にもなりかねない。

日中関係、日米関係、中米関係はアジアにおいてのみでなく、世界に影響力を持つ大切なトライアングルである。その意味でも日本は米国のみでなく、中国とも友好関係を持ってゆく外交を引続きとってゆくべきであるし、そういう外交努力が平和国家日本を今後もさらに発展させてゆく基本になると考える。

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読んでみて よ〜〜〜く 語られている事はわかります、今後 中国 いよいよ 巨龍が 目覚めたのですが、経済と軍事 この両てんびんで・・世界をりょうが していくことに なるとは 思いますが・・国際意識を どこまで もてるか でしょうね きっと

2007/5/23(水) 午前 4:57 [ 建築や ] 返信する

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おおむね賛成です。中国の発言をそのまま受け取ると大きく読み違えると思っています。過日の反日運動にしてもしかりです。大衆の言動を取り上げて、それをそのまま中国とみるのは、ニートやヨン様追っかけをみてそれが即日本の現状と見るようなものだと思っています。
情誼や宗族の国ですし、儒や老荘のDNAを持つことを考慮に入れ、アジア民族として虚心坦懐に意志の疏通をはかるべきですが、それを最も恐れているのが米国でもあります。それだけに舵取りが難しいですね。

2007/7/21(土) 午後 0:06 [ 日隈玄斎 ] 返信する

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最近は中国首脳部も反日の空気を抑え気味にしているようです。経済的繋がりが強くなり、反日といういう発想が自国の国益には合わなくなってきているからだと思います。

2007/8/14(火) 午前 10:13 wor*d*orum*0*7 返信する

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