ECBのギリシャ債交換、他の債権者を「劣後化」−CDS決済の可能性
2月17日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債を債務再編の対象から除外される証券に交換することで、ECBは他の債権者に対して優位になり、従って他の債権者を「劣後化」させると考えられる。また、ギリシャ債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の決済を引き起こす可能性がある。
ECBは保有ギリシャ債を、構造と額面は全く同等だがいわゆる「集団行動条項(CAC)」の適用外となる債券に交換。集団行動条項は債務再編への参加を債券保有者に強制する。ギリシャ政府は集団行動条項を導入する法案提出を準備していると報じられている。
UBSの外為ストラテジスト、クリス・ウォーカー氏(ロンドン在勤)は17日の調査リポートで、交換によって「ECBが優遇措置を受けていると見なされる可能性があり、ECBが民間部門の債券保有者よりも上位の債権者なのかという問題が生じる」と指摘。さらに、「実際に強制的なデフォルト(債務不履行)が最終的に起これば、CDS決済が誘発される可能性は極めて高いと思われる」との見方を示した。
ウォーカー氏はECBによる他の債権者の劣後化はギリシャ債ばかりでなく、ECBが購入した他のユーロ圏の国債についても起こり得る問題だと指摘している。これらの理由から、ECBの交換はユーロ安要因になるという。
ECBが自衛
民間投資家にギリシャの債務減免を求める交渉も進んでいる。ギリシャ政府は集団行動条項導入の法案を21日に議会に提出するとギリシャ紙ナフテムポリキが報じた。
INGの先進国市場債券責任者、パドライク・ハービー氏は「債券市場の基本原則の1つは、債券保有者の特定層を劣後化してはならないということだ」と解説。「ECBが自衛に動いたことにより、CDS決済の確率は高まった」と指摘した。
国際スワップデリバティブ協会(ISDA)の規則によれば、CACの導入そのものは信用事由とはならないが発動されれば決済が起こる。ISDAのデービッド・ジーン法務顧問それ以上のコメントを控えた。
ISDAの規則では元本または金利の減免、支払いの遅延または繰り延べ、支払い義務の順位や支払い通貨の変更が決済の理由になる。これらが信用力の悪化によって起こり複数の債権者に適用され全ての債券保有者に対し強制力を持つ場合に決済が起こる。信用事由が発生したかどうかはISDAの判定委員会が判断する。
米証券保管振替機関(DTCC)によると、ギリシャ債を保証するCDSの残高は10日時点で正味の想定元本32億ドルを対象とする4183枚だった。
UBSのウォーカー氏は「ECBの交換が本当に、強制的な損失負担からECBを保護することを目的としたものなら、自発的なはずの債務再編が強制的なものに変わるリスクは大きく高まったと言えるだろう」と述べた。「突然、予想もしていなかった劣後化に見舞われ、民間債権者がギリシャ債保有を続けるインセンティブは弱まっただろう」とも指摘した。
さて、20日の財務相会議を前に、ECBの動きが活発化している。
>ECBは保有ギリシャ債を、構造と額面は全く同等だがいわゆる「集団行動条項(CAC)」の適用外となる債券に交換。
ECBが保有するギリシャ債を、新たに発行するギリシャ国債と交換するという話は、ここ数日出ていたのだが、すでに交換済みだった!
その上、交換した債券は、今後民間債権団が交換の合意に至らない場合に発動するかもしれない集団行動条項の適用はされない債券だったようだ。
ちなみに、この集団行動条項というのは債権者のうち一定の割合(3分の2以上とか)が賛成したことに対しては、全員が従うというもので、民主的といえばそれまでの法律らしく、現在ギリシャ議会で法制化に向けて動いている。
今回の場合は、ECBはすでにギリシャ債の交換に応じていて、今後発動させるだろう集団行動条項により70%の債務減免を受けないので、損をしないということである。
>「ECBが優遇措置を受けていると見なされる可能性があり、ECBが民間部門の債券保有者よりも上位の債権者なのかという問題が生じる」
同じ債券なのに、何ゆえECBの保有するもののみ優遇されるのか?という疑問が生じるのは当たり前。
>国際スワップデリバティブ協会(
ISDA)の規則によれば、CACの導入そのものは信用事由とはならないが発動されれば決済が起こる。
それゆえに、今後CACが発動されれば、間違いなくCDSの決済となる=ギリシャのデフォルトということなんだろう。
ところで、ECB以外の各国中央銀行がもつギリシャ債はどうなるのだろうか?
ECB、ユーロ圏中銀保有のギリシャ国債の債務減免を検討=関係筋
[アテネ/フランクフルト 17日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏の各中銀が投資ポートフォリオ上に保有するギリシャ国債について、民間債権者と同じ債務減免の対象とするかどうかについて検討している。中銀関係筋が17日、ロイターに対し明らかにした。
ユーロ圏中銀が投資ポートフォリオ上に保有しているギリシャ国債の規模はおよそ200億ユーロで、これはECBが債券買い入れプログラムで購入した400億ユーロのギリシャ国債とは別になっている。
中銀筋3人は、この問題についてECBが現在協議していると明らかにした。
そのうちの1人は、ECBがユーロ圏各中銀が保有するギリシャ国債を債務減免の対象とする確率は「五分五分」と述べた。
来週初めにも見込まれている民間債権者による債務交換合意がECBにとっては決定の期限になるという。
ユーロ圏中銀がポートフォリオ上のギリシャ国債について債務減免に応じれば、ギリシャにまとまった支援を提供することになる。ECBは債券買い入れプログラムを通じて購入したギリシャ国債について、120億─150億ユーロの利益を放棄する方針をすでに示唆しており、ユーロ圏各中銀による債務減免はこれに続くECBによる新たな支援負担となる。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT808216020120217
>ユーロ圏中銀が投資ポートフォリオ上に保有しているギリシャ国債の規模はおよそ200億ユーロ
その額は200億ユーロ。
民間債権者は応じる債務減免と同じになる可能性が高いらしい。
>ECBは債券買い入れプログラムを通じて購入したギリシャ国債について、120億─150億ユーロの利益を放棄する方針をすでに示唆しており、ユーロ圏各中銀による債務減免はこれに続くECBによる新たな支援負担となる。
そこで、ユーロ圏各中銀に対して
ECBの支援が必要となり・・・
ECB、保有国債の利益を加盟国に分配する方針─プラート専務理事=新聞
[ブリュッセル 18日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のプラート専務理事は、ECBが保有国債から得る利益をユーロ加盟国に分配する方針であることを明らかにした。
18日付のベルギー紙「De Tijd」に掲載されたインタビューで語った。
同理事は「ECBとして利益を得た政府債に関しては、各国の中銀に利益を返還する。これはつまり、中銀の所有者であるユーロ圏諸国に返還することになる」と述べた。
その上で「各国はその資金を自由に活用することができる」とした。
ECBが保有する国債の利益をめぐっては、アスムセン専務理事も今週ロイターに対し、ECBが利益をユーロ圏の中銀に分配し、各国政府がギリシャ支援に活用することは可能との考えを示した。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPJT808257220120218
>「ECBとして利益を得た政府債に関しては、各国の中銀に利益を返還する。これはつまり、中銀の所有者であるユーロ圏諸国に返還することになる」
保有する国債の利益を各中銀に分配すると言っているのだな。
予想通り、CACの発動+CDSイベントの対象となり、ギリシャデフォルトという可能性が高くなってきた。