ブンガクテキアナホリ

しゃべらないのがいちばんずるい

ぼくもおじさん、ヤンキーはぼくじゃなくてヤンキーもおじさん

 僕の体はなにも働きかけようとしない。  肉体に鎖がまかれ、足首は今も神経が通っていない。  息を吸い込むと肺のなかが綿密に圧迫され、神経の伝導は鉛と鉄が乗っかっているように重い。  ぼくはおじさんの名前をよんだ 「おじさん!ここだよ、はやくきて!」  叫んだつもりだったが、声は細く、言葉にならず口元の傍でしか聞こえない。  ぼくは、もういちどよんだ  「オジサン!ボクハニホンジンダ!」    それからしばらくして、廊下を走る音が聞こえた。走っていた。あっ、やっときた、と思ったが、相手はあの中学生のヤンキーだった。ぼくはかれに言った。  「おじさんをよんできておくれ。死にそうなんだ」  彼は僕の方を見てニヤリと笑い、「おまえはアジア人にはなれない」といった。 すべて表示すべて表示

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