大文字山を食べる

『大文字山を食べる』(改訂増補版)が、螢灰肇灰箸ら出版されました。

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3月9日(火)、八ヶ岳に登るべく茅野へ向かった。
京都ではかなり春めいてきているが、諏訪地方では吹雪。
宿に着いたが、出歩けない。
地元の人でも
「今日は外出するなっていうことだ!」
と言うほど。
週間予報では今日から晴天がつづくことになっていたのに、ずれ込んでいるらしい。

翌朝(3月10日)、街の人が道路の雪かきをしている。
吹雪はおさまったが、曇っている。
雪のせいで高速道路の通行止めがあり、その影響で一般道が大渋滞。
バスが30分以上、遅れてやってくる。

   ×  ×  ×

10時に、美濃戸口という登山口に着。
そこの八ヶ岳山荘で、山菜うどんで腹ごしらえ。
防寒と防雪の体勢を整え、入山届を出して、10時30分に出発。
イメージ 1

ここから歩いて1時間(無雪期)の美濃戸山荘までは林道に轍がついているはずだ。
そこから先は昨夜の積雪でラッセルが必要かもしれない。

野宿・自炊装備のほかにシャベル・ピッケルやアイゼン・カンジキなど雪山ならではの装備を持ってきているのでザックが重い。
加えて、しばらくぶりの山行なので体もなまっている。
1時間半かかって美濃戸山荘に到着した時には、すでにバテ始めていた。

美濃戸山荘のベンチでアイゼンを装着。
イメージ 2

休憩しながら、コースを考える。
イメージ 3

本来は、
(第1日目)行者小屋→赤岳と登り、赤岳展望荘に宿泊、
(第2日目)赤岳展望荘→横岳→硫黄岳へと縦走し、さらに夏沢峠→天狗岳と北上し、どこかでテント泊、
(第3日目)稲子湯温泉or麦草峠に出る、
というコースを考えていた。

だが、ルートを再考せざるをえなくなった。
一つには昨夜の積雪でトレースが消えているので稜線の縦走は危険だろうということ、
二つには重装備のため予想以上にテンポが遅く、今日中に稜線上の赤岳展望荘まで登るのはツライだろうということ(不可能ではないが)
のためだ。

で、何度も登っている赤岳は今回は止めにして、北沢・赤岳鉱泉経由で硫黄岳へ登り、夏沢峠→天狗岳へと抜けるショートカット版に計画を変更した。

12時15分、美濃戸山荘を出発。
すると、雲が退いて、晴れ間がでてきた。
イメージ 4


北沢の林道にも車の轍があった。
重い荷物にふぅふぅ言いながら歩いていると、1本遅いバスで来た人に抜かれた。
イメージ 5

あっちは小屋泊まりだから荷物が少なく、足取りも軽いのだ。

わたしもスピードと快適さを優先して小屋泊まりにすべきだったかもしれない。
だが、学生時代からテント泊で山に来ていた。
最近は小屋も利用するようになってきたが、どうも堕落している気がして仕方がない。
たまになら良いが、できるだけ“ズル”なしで山を歩きたい。
それに、近頃たるんでいたので、ちょっと体を絞りたいという気持ちもあったのだ。

林道は「堰堤広場」で終り、そこからは沢沿いの道。
イメージ 6

いつしか晴れ間は消え、風と雪が出てきた。
時折、横から殴られる。

15時45分、ようやく赤岳鉱泉小屋に到着。
無雪期ならば2時間もかからない行程なのに、3時間半もかかっている。

人工の氷瀑がつくられていた。
イメージ 7


   ×  ×  ×

赤岳鉱泉小屋で、大変なことに気がついた。
財布がないのである!
八ヶ岳山荘で山菜うどんを食べた時にはあった。
同じく有料トイレを使用した時にも財布はあった。
その後は?
歩行中に落とすということは まず考えられない。
八ヶ岳山荘に置き忘れてきたか、美濃戸山荘でアイゼンを装着する時に落としたか?

小屋で事情を説明して、八ヶ岳山荘に無線を入れてもらう。

すると、八ヶ岳山荘に財布があった!
幕営料1000円と缶ビール2本1000円は、後日の銀行振り込みでOKしてもらった。

とりあえずは「ホッ」だ。
しかし、この時点で、計画をまたもや変更せざるをえないことになった。
財布を受け取るために、来た道を戻らないといけないのだ。
これで一気にテンションが下がる。

   ×  ×  ×

テントを張ろうとすると、風が出てくる。
イメージ 8

吹雪の中で、テントを張るのに「超」難儀する。
キレそうになった。

おまけに、テントの入口の生地にピッケルをひっかけてしまい、ビリビリ〜と破いてしまった。
さらに、狭苦しく乱雑なテントの中にも雪が入ってしまう。
イメージ 9

すべてのものに雪がつく。
靴の中は濡れていなかったのに、テントの中で濡らしてしまう。
イメージ 10

テントの中の雪は、できるだけ水にして飲んでしまおう。

テント内では靴下を濡らさないようにテントシューズというのを履く。
その中に使い捨てカイロを入れたら、足が温まって夜も寒くない。
だが、テントシューズも使い捨てカイロも忘れてきたようだ。
除雪用シャベルの柄も忘れてくるし…

ビールで一息入れた後、飯を炊く。
すると、火器・鍋をこかしてしまい、米と水をひっくり返してしまう。
イメージ 11

永年テントの中で炊飯をしているが、こんなドジは初めて。

米を炊いている鍋の上でレトルトのカレーを温める。
イメージ 12

食べ終わったらカップスープを飲んで、その後、バーボン。
原液のまま飲む。
イメージ 13

忘れ物の多さといい、財布の紛失といい、米のひっくり返しといい…ケチばかりがつく。
どこか自分に“隙”があるのだ。
こんな時に雪山に登ってよいのだろうか?
不安になってくる。
その不安が、いっそうのネガティブな発想を生みだすようになる。
今すぐ登山を止めて帰りたくなってきた。
(つづく)

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テントの中の様子は僕には新鮮です。

アクシデントは残念でした。。
お一人ですと他人と関わることで自分を安定させることが
出来ませんからネガティブになると良くないですね。
でも生命体の防御本能かも・・(^^;)

安田さんはどんな心境の時に
こんな雪山に登りたくなるのでしょうか?

2010/3/25(木) 午前 0:20 俺  様 返信する

こんにちは。
氷漠が青白くて奇麗です(*^_^*)
山のトイレは有料なんですね。
登山者が増えて、大変だって事は何かで読んだ事があります。
有料トイレなんてヨーロッパでしか経験したことが無い。
>キレそうになった
ごめんなさい、笑ってしまいました(^^ゞ
その後のケチのつき方といい、キレたから山の神様が「嫌なら帰れば(-"-)」って言っているような気がします。

2010/3/25(木) 午前 10:20 [ - ] 返信する

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☆俺様さん。
「生命体の防御本脳」というのは、その通りだと思います。
「山に行きたい」と思いながら、いざやって来て嫌な体験をすると「早く帰りたい」と思うようになり、最終的には「来てよかった」と満足する・・・
その繰り返しです。
雪山に登りたくなるのは…さて…
「無心・夢中になりたい時」かな?
なかなかなれませんけれど。

2010/3/25(木) 午後 0:18 安田陽介 返信する

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☆くらげさん。
氷瀑は、小屋の人が上からホースで水をまいて作っておられました。
練習や競技のためのものでしょう。
トイレはチップ制で、100円を入れることになっています。
「大」の時ならともかく、「小」の時に100円出すのは大きな決断が必要です。
「じっくり山を楽しむ」という余裕がなく、
「雪山に行っとかなきゃ」と消化試合みたいな気持で山に来たから神様が怒ったのでしょうね。

2010/3/25(木) 午後 0:25 安田陽介 返信する

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先生 そういう時もあるんですよ
いろいろと、不都合な事が重なるってのが・・・
でも、山の事はへたしたら命取りだから
大変ですよね。

川に行って、つり始めると良くあることです
最悪は、つれないのに枝に仕掛けの糸が絡む・・・
これが、心が折れる一番の理由です。

稲子湯ですか、懐かしいです。
二度ほど行きました、
いい温泉ですね、一軒宿がいい感じでした。
また行きたいです。

2010/3/26(金) 午前 4:32 koara2008 返信する

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☆こあらさん。
そう、うまく行かないことが重なって、イライラしていると、また次の不都合を招いてしまう・・・
悪循環。
「心が折れる」、その表現、ぴったりです。

稲子湯、じつはまだ行ったことがありません。
今回行こうかと考えていたのですが…
また次回のお楽しみです。

2010/3/26(金) 午前 9:19 安田陽介 返信する

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