労働生産性について(再)
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先日に続き日本の生産性ついて述べて見たい。
もう一度、先日の資本と労働の生産性の推移のグラフを表示する。今日はチョットコメントを入れたものになっている。
資本の生産性と労働の生産性の曲線の勾配を良く見ると、ある時点からベクトルが変っている。その時点とは、一つは1990年でまさにバブルが崩壊した年である。そしてもう一つの屈折点は2001年で小泉内閣誕生の年である。
この二つの時期を屈折点として、一般に日本経済の構造が変わったと考えられているが、事実このグラフに於ける両曲線にも変化が現れているのである。 まずバブル崩壊以前は労働生産性は急上昇し、資本生産性はなだらかに下降している。
労働生産性の急上昇は理解出来るが、資本生産性が下降線を辿る理由が今一つ釈然と来ない。
当時の日本経済は労働生産性にも現れている様に、上り調子の好景気に沸いていた。
潤沢な資金供給によって民間の投資意欲は最高潮に達していたのに、資本生産性が下降線を辿る理由で考えられるのは、当時の開発ブームである。
巨額の資金を投じ日本全国にリゾート開発が進められたのは、まさにこの時期である。ゴルフ場建設が地方の人も通わぬ山林の至る所で行われていた。政府も負けじと保養施設を建てまくった。
これらのリゾート施設は巨額投資の割りに売上に結びつかない、所謂投資効率の悪い施設が多かったことは、昨今採算悪化による閉鎖倒産が相次いでいることからも理解出来る。
この資本効率の悪い投資が大規模に行われたことが、1990年以前の資本生産性の低下傾向に現れたのではないかと推察する。 それがバブル崩壊後の2001年まで更に急下降して行くことになった。これも理由を見出すのは簡単では無いが、敢えて自分の考えを述べさせてもらえば、資本効率の良い製造業はバブル以後は工場の海外移転を進めたことと、国内は郊外型大型店が雨後の竹の子の如く出来た期間だったことに関連があると思われる。 同じ投資額でも工場建設と大型店舗の建設では、売上対投資比率つまり投資効率は前者のほうが大きいと考えられる。付加価値だけを考えれば、その差は格段に開く。付加価値生産性即ちGDP増加に対しては大型小売店舗がいくら増加しても、それ程寄与しないと考えられている。 そのせいかバブル崩壊後の労働生産性も中だるみとなり、日本経済の低迷が続くことになる。 ところが、2001年の小泉政権誕生から様相が一変する。 20年間下がり続けた資本生産性が急速に回復したのである。それに伴って労働生産性も回復基調に戻っている。 資本効率の急速な改善はやはり小泉改革の成果なのだろうか? グローバル化の進展は日本の企業体質の変更を迫られる。サントリーのように株式を公開していなければ関係無いが、日本の会社の株主は外国人投資家が占める割合が急速に多くなったことで、不要不急な設備投資が出来難くなったとも云える。 ごく短期間に経営成果を上げなければ経営陣交代の声も上がる。 グローバル化が小泉政権時代にたまたま起こったとしても、それを積極的に活用しようとした政権運営であったことは間違い無い。だからこそ今になっても「小泉竹中路線」を厳しく非難する連中が多い。 しかし、このグラフを見て、もし「構造改革路線」を採らなかったら資本生産性曲線は2001年以降も下落を続けたままになっていた筈であり、これは日本経済にとってもっと酷い結果をもたらしていた事になったかも知れない。 つまり日本国内で資本を投下しても、売上を回収出来ない事態に陥る(資本生産性が1を切る)ことが日本全体で起こったら、企業は投資を止めて撤退するか、元気な内に海外へ逃避することが常態になっていたかも知れない。
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