anemoneの【棚からBerlin、Braunschweig】

花粉症がやってきた!!私はイネ科花粉症。

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★ UNDERGROUND ★

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 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ問題などベオグラードを舞台に、第二次世界大戦からユーゴ内戦まで、
旧ユーゴスラヴィアの激動の歴史を綴る映像絵巻。
 監督は「パパは出張中!」「ジプシーのとき」「アリゾナ・ドリーム」「黒猫・白猫」のエミール・クストリッツァ。
 旧ユーゴ出身の劇作家デュシャン・コバチェヴィチの戯曲を基に、脚本を執筆。
 撮影のヴィルコ・フィラチ、音楽のゴラン・ブレゴヴィチ、「デリカテッセン」を手がけた
美術のミリェン・クチャコヴィチ“クレカ"は、「ジプシーのとき」以来の常連スタッフ。
 中でも音楽は、民族音楽をアレンジしたサウンドが印象的で、また第二次大戦中のドイツで
圧倒的な人気を集め、連合軍側でもヒットした『リリー・マルレーン』が挿入曲として使われて
実に皮肉な効果を出している。
 出演は、「パパは出張中!」のミキ・マノイロヴィチをはじめ、旧ユーゴ映画・演劇を代表する俳優たち。
 95年カンヌ国際映画祭で賛否両論を集め、やはり旧ユーゴ問題を背景にした
テオ・アンゲロプロスの「ユリシーズの瞳」を抑えてグランプリ(パルム・ドール)を受賞。

 96年度キネマ旬報外国映画ベストテン第3位。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 先日、図書館にDVDを『ちょっと見るだけ』と行ってみたら、何とこのDVDを発見!!

 他にも凄く見たかったDVDを発見してしまい、あえて持ってこなかった貸出カードを
1回家まで取りに戻って借りた映画。
 昔、この映画のジャケに惹かれて見た時は、登場人物達の人生が詰まっているため
凄く長い映画だったにもかかわらず、見入ってしまってあっという間だった。
 そしてこの映画、音楽も又有名。
1回聞いたら、耳から離れなくなるバンドが奏でるユーゴスラビア民族音楽。

 作品の創りは、アメリカ映画『Once upon a time in Amerika』(R・デ・ニーロ主演)のような
登場人物達の半生を描きながら、悲しみや人間の欺瞞等を掘り下げて作られている。
 
 しかしこの映画のテーマは『旧ユーゴスラビア』。
 今は無き一つの国。
 『自分が生まれ、育った国が無くなる』と言うのはどう言う事なのか。

 初めて見た時は、登場人物達の行く末に気を取られ、
あまり歴史的事実は頭に入ってこなかったんですが、今回は行く末は既に知っていたので
周囲に気を配りながら鑑賞してたような気がします。

 それでも、映像やセットの作り、音楽にはどうしても反応してしまうんですね。
 前述の説明にあるように、知らなかったんですがこの美術には「デリカテッセン」のスタッフが
参加している。それでこのテイストに納得したんです。

 『だからこの雰囲気に惹かれたんだと』

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 167分と長編のこの映画は、
  第一章「戦争(Deo Rat)」(1941,1944)
  第二章「冷戦(Deo Hladni Rat)」(1961)
  第三章「戦争(Deo Rat)」(1992) から成っています。

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 舞台はナチス進攻下のベオグラード。
 主な登場人物はパルチザンの
義賊・詩人にして共産党員のマルコ。(右)
 マルコが党に入党させた、
元電気工のブランキー。(左)
 彼らが恋焦がれる女優のナタリア。(中央)
 
 そしてマルコの弟のイヴァンと
ブランキーの息子ヨヴァン。

 ◆『パルチザン』:外国占領軍への抵抗運動や内戦・革命戦争における非正規の軍事活動、
またそれをおこなう組織、およびその構成員。
 第二次世界大戦時、ユーゴスラビアにおける抵抗活動のうち、ユーゴスラビア共産党によって
組織されたもの。




 タイトルの『UNDERGROUND』は地下の意味。
 この映画での地下は、マルコの家の地下室を意味してるんでしょう。
(同時に作中に出てくる対戦中にパルチザンが作り上げた、国連軍や難民が行き来していた
ヨーロッパ全土を結ぶ地下の大通路)

 ここの地下にマルコはナチスの本格的襲撃と、彼らによる『パルチザン狩り』から逃げてきた人々を
匿うと同時に、武器の密造をさせるのです。
 彼の弟イヴァンとイヴァンが飼育係を務めていた動物園の猿ソニも一緒に。
 そしてココにブランキーと赤ん坊の彼の息子ヨヴァンが加わってから、この地下は外界とは
遮断され独自の『地下社会』が育っていくのです。
 祖国解放戦争に勝利したにもかかわらず、地下の住民には「まだ戦争は続いている」と
嘘をつき続け、武器を作らせるマルコ。
 
 そしてマルコは外界では地位を上げていき、ナタリアも妻にし、かつ時間も遅らせ、
外界では20年経っているのに、ココでは15年経過してるように見せかける・・・・・・・。

 地下ではブランキーを中心に祖国を守る為に武器を作り続ける事を疑わない人たち。
 当時のユーゴスラビアのカリスマ的指導者であったチトー大統領を信じて。

 この『チトー大統領』はかなり国民から慕われていたらしい。
 ちょっと気になったので今回初めて調べてみました。

 『内政面では、そのカリスマによって各共和国・民族のバランスを取り、連邦の維持に腐心。
 新聞などによる体制批判、即ち言論の自由をある程度許可。
 社会主義非同盟運動第一人国として、自らの体制批判は許され民族主義的言動は排除される国家
だった。
 しかしながら、民族主義を弾圧し体制が維持できたのはチトーのカリスマのおかげである所が大きい。 (wikipediaより加工)』

 ちょっとヒトラーのような感じを想像してたので、驚きではありました。


 そして第2章から一種のパラレルワールドが展開します。
 現実世界、地下世界、現実世界での祖国解放戦争の再現、すでに無い筈の祖国のような
ユートピア・・・・。
 
 これらが上手い具合にリンクしていく話の展開。

 第3章、年月が経って全てが繋がる。
 登場人物達の人生はどうなっていて、どこへ行くのか。
 そして彼らの国はどうなっていくのか。

 最後のユートピア的世界。
 そこにいる人達は、昔にあった確執を忘れたかのように音楽に乗って楽しんでいる。
 切り離されていく陸地の欠片は彼らの国に対する想いも背負っている。
 
 そして今回久々の鑑賞でワタシが泣いてしまった、前回にはわからなかったラストの言葉の重み。
 現実世界ではどもりのあるイヴァンが流暢に語る、その語り方にかえって胸がつまった。

 『私たちはここにコウノトリが巣を作る、赤い屋根と暖炉がある新しい家を建てる。
 そこには親愛なるお客達の為のドアが開けてある。私たちに食物を与え、暖かくする太陽と花達を
思い出させる故郷のある世界を思うだろう。
 悲しみと喜びの中に、私たちは自分達の国を思い出すだろう。
 私たちが自分達の子供に物語を語り継ぐ時、こう始めるだろう、『昔、一つの国があった・・・』』

 ドイツ語訳だとこういう感じになると思うんですが、日本語では下記のようになっているらしい、

「苦痛と悲しみと喜びなしでは、子供達にこう伝えられない。『昔、あるところに国があった』、と」

 
 『国があった』と過去形での表現が事実ではあるにも関わらず、何故か深く染みてしまった。

 風景は変わらないのに、国の名前が無くなっただけで違って見えるであろう世界。
 そんな世界を私たちは想像が出来ない。その過程で人々がどんな想いで抵抗し、戦い、敗れ、
国が無くなるのを感じていたのか。
 
 そしてその過程の中で生まれたであろう様々な人間模様。
 きっと悲惨な光景を皆目にしてきたであろう、旧ユーゴスラビアの国民達。
 帰る大地はあるけど、そこはもう違うもの。

 印象的に絶えず使われるドナウ河。

 彼らにとって思い出のある、変わらない物の象徴してドナウ河の存在は大きいのかもしれません。

 そんな旧ユーゴスラビアをとことん重く描くのではなく、ハチャメチャにやってるその裏に
表現したいものを上手く潜ませ、私たちに色んな事を問うてるようなそんな映画を作った
エミール・クストリッツァ監督。

 たまらなく愛おしい映画の一つです。

★ UNDERGROUND ★(1985/FR Yugoslavia, France, Germany and Hungary) 167min.
(セルビア:Подземље(Podzemlje)/露:Андерграунд)
 監督:Emir Kusturica
 出演:Miki Manojlović, Lazar Ristovski, Mirjana Joković ,Slavko Štimac 他

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すばらしい。旧ユーゴの歴史絵巻的な映画があるなんて知らなかった。これ日本でDVD化されてるのかな・・・ぜひ観てみたい。
最近はコソボが独立する云々で結構もめてますが、過去も現代もとにかく内紛、侵略、分裂などといった不安定な国ですね。でもそんな混沌とした社会こそ、生まれる芸術は真に迫るものがあったのではないでしょうか?ユートピア・・・それが現実になることを心から願います。(私は旧ユーゴにとりわけ強い思い入れがあるのですが、次回のモスクワネタでとりあげる予定です)

2008/3/11(火) 午後 11:16 beabea

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>beabeaさん
日本にもDVDゼッタイあるはずです!!少なくてもビデオではゼッタイ!!
ワタシはこの周辺の事情を良く知らなかったんですが、元社会主義国の当時の状況は知りたいとは思ってるんです。が何せ政治の話はどこの国も良くわからないんで、逃げ腰なんですが・・・。
この映画は長いですが、見ごたえありますよ!音楽も凄いし!!
どんな思いいれがbeabeaさんにあるのかも、気になります!!

2008/3/12(水) 午前 6:41 anemone*DDR

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いつもながら丁寧なレビュー内容に感服です…。
私はただただ「凄い」としか思えなかったもので…!この作品の奥深さを知るには後何回かは再見しないといけないのかも。
でもこの作品の雰囲気に酔いしれるだけでも素晴らしいことだとは思うんです!
ちなみに、この『アンダーグラウンド』が発表された年、もう1つのユーゴ内戦を題材とした傑作があります。
それがアンゲロプロス監督の『ユリシーズの瞳』ですが、コレもパルム・ドール賞を受賞しても全く可笑しくなかった一大傑作ですよ☆
TBお返しいたします☆

2008/3/12(水) 午後 3:03 Mijah

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>Mijahさん
ワタシも2回目だから、又違った目線で見れたんだと思います。
前回と同じ部分に感嘆したり、ああ〜、こういう事だったんだ・・・と改めて理解できたり。確かに雰囲気に酔うだけでも十分だと思いますよ!!
『ユリシーズの瞳』は聞いた事あるんですが、未見ですね。
この作品と当時賞を競い合ったらしいので、かなり興味はあります☆
あるといいなぁ〜。TB返し、有難うございます!

2008/3/13(木) 午前 5:46 anemone*DDR

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個人的には前半のハチャメチャさはひいてしまう部分もあるのですが、後半からは特に「故郷がなくなる哀しさ」に涙が止まりませんでした。
監督の故郷への思いを強く感じる作品でしたね。しばらく音楽が耳から離れませんでした。
TBお返しさせてくださいね。

2008/3/13(木) 午前 6:37 pu-ko

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この映画って評判いいですよね。167分もあるんですね〜
エミール・クストリッツァの作品イマイチ私には合わないんですけど評判いいのでみようとは思ってるんですがレンタルで探してもないんですよね〜(>_<)

2008/3/14(金) 午後 11:54 LAGUNA

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この前作の「ジプシーのとき」が大好きで、この映画も楽しみに映画館で観ました!更に凄い映画で、震えたかも。映画、今まで観た中で一番の映画!と思ってます。愛すべき破天荒な人々が、戦争によって引き裂かれ、隣人同士の争いに知らないうちになって・・・。ブランキー、マルコ、ナターリアの馬鹿馬鹿しいほどの・・・でも、この写真も泣けますね〜。私もいつかちゃんと再見して、anemoneさんみたいにきちんと記事書きたいです。まだ仮の記事なんですが、TBさせてくださいね!

2008/3/15(土) 午後 9:08 かりおか

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>pu-koさん
確かにあのドタバタさに引いてしまうのは、何となく判る気がしますね〜。ワタシは『まとまってるドタバタ感』は好きな人なので、違和感より笑ってしまった派です。ただそれらの中に潜ませてる哀愁、悲しさを引き立たせてる気もしました。音楽も頭に残りますよね!
TB返し有難うございます☆

2008/3/16(日) 午前 3:45 anemone*DDR

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>らぐなさん
そうです、コレ長いんです!!でもある人達の半生を描いてるので長くなってしまうのかなと思いつつ、惹きこまれて時間はあっという間に過ぎてしまいました。やっぱりコレってレンタルないんですか??
ゼッタイあると思ってたんですが!!彼の作品は確かに好き嫌い分かれるかもしれませんね〜!

2008/3/16(日) 午前 3:48 anemone*DDR

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>かりおかさん
『ジプシーの時』絶賛されてましたよね、かりおかさん。
なのでゼヒ見たいと思ってるんですが・・・。ないんだろうな〜。
この監督って表面はドタバタにしてますが、実は深い所まで描いてるんですよね。ダイレクトに表現するより、こういう感じの方が背景の部分に関心を持ってもらえると思って作ってるように思えてなりません。お気に入りの映画って時間をかけてUpしたいですよね!なのでレビュー気長にお待ちしてます☆TB返し有難うございます!

2008/3/16(日) 午前 3:53 anemone*DDR

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この映画、アチコチでひっそりと(笑)絶賛されていて、気になっていた映画です。
是非観て、もう一度この記事を読み直したいと思いました。 削除

2008/3/16(日) 午後 4:08 [ Jiang ]

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>Jiangさん
『ひっそり』と絶賛されてるっていうの、何となくわかりますね☆
ワタシはこの映画だけじゃなく、メジャーでもマイナーでもその『ひっそり絶賛』がある映画って好きなんです!
ゼヒこの映画もひっそり見て、又いらして下さいね☆

2008/3/17(月) 午前 2:39 anemone*DDR

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地域的にこのあたりの映画は好きなんですが、なぜかエミール・クストリッツァ監督作品がどうも合わないんです。
特にライフ・イズ・ミラクルがダメでした。
でも背景などはやはり気になるからこの作品は見てみたいですね。

2008/3/22(土) 午後 11:45 car*ou*he*ak

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>Cartouchさん
わかります、『監督が合わない』ってありますよね。
ワタシが『コーエン兄弟』が合わないのと似てると思います。
『ライフ・・』が未見なのでわかりませんが、ドタバタ感が苦手なのであれば、これもダメかもしれません・・・!

2008/3/23(日) 午前 6:46 anemone*DDR

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最近みました。
ハチャメチャな前半とシビアな後半、人間が行うすべての感情がラストの彷徨へ繋がる素晴らしい映画でした。いきなりですがTBさせてくださいね。

2011/11/20(日) 午前 0:27 shi_rakansu

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>シーラカンスさん
本当すみません、コメントいただいてたのに、何ヶ月後の返信なんだか・・・。
確かにこの映画はめちゃくちゃの中に上手く言いたい事を上手く隠してますよね。強調してるようでしてないというか。
TB有難うございました。

2012/4/10(火) 午前 0:03 anemone*DDR

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