れんげ草の咲くさんぽ径〜舟木一夫の世界

台風一過で、急に気温も下って秋が深まったようです。山間部では紅葉が美しくなりそうですね。

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舟木さん演じる長野主膳とは〜『安政の大獄 井伊直弼と長野主膳』松岡英夫著

本日6月7日に初日を迎えた「芸能生活50周年ファイナル 舟木一夫 特別公演」
 
第一部 『花の生涯 − 長野主膳 ひとひらの夢ー
 船橋聖一 原作   斎藤雅文 脚本  金子良次 演出
 
 
 
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今回、舟木さんが演じられる長野主膳とは、どのような人物であったのか、また幕末の激動期の歴史の中でどのような立場に立ち、日本という国をどこへ導いて行こうと考えていたのか・・・
 
舞台化されるにあたっての原作は船橋聖一の小説『花の生涯』です。舟木さんがデビューされたのと同じ年の1963年4月7日に第一回目が放映された「NHK大河ドラマ」の第一作としてあまりにも有名であり、当時の出演者の豪華さは、今思えばまさに夢の顔合わせとでもいうべきものです。そこで、過去の『花の生涯』のドラマ化、舞台化を遡って調べてみました。
 
その1
「NHK大河ドラマ 花の生涯」について〜以下はウィキペディアより一部転載〜
原作は舟橋聖一が1952年から1953年に『毎日新聞』紙上で連載していた歴史小説『花の生涯』で、幕末の大老・井伊直弼の生涯を描いた作品である。視聴率は全話平均20.2%、最高で32.3%を記録した。松竹の専属俳優だった佐田啓二(長野主膳役)が初めてテレビドラマに出演した作品である。当初から大スターを集めてのキャスティングが図られ、映画各社、歌舞伎座などを交渉した結果、松竹演劇部が「歌舞伎を一切休まない」ことを条件に、尾上松緑(井伊直弼役)の出演を認めた。映画俳優では当時、いわゆる「五社協定」があったため、映画各社の専属俳優はテレビには出演できず、NHKは佐田啓二本人と出演交渉を重ねた。村山たか役の淡島千景は、映画版で同役を演じていたが、原作者の舟橋の希望で出演した。

その2
「新派の舞台公演 花の生涯」について〜「劇団新派」公式サイトより転載〜
昭和28年10月演舞場で市川猿翁の井伊直弼、市川中車(ちゅうしゃ)の主膳に初代水谷八重子のたか女で初演された。その後、柳永二郎の直弼、森雅之の主馬(=主膳)でも再演され、48年3月松本幸四郎と水谷八重子によっても演じられた。
 
これだけを見てもわかるように、過去の作品は歌舞伎、新派、映像の各分野で名を成していらっしゃる錚々たる俳優陣によって演じられています。歴史物語としても人間ドラマとしても強い興味を覚える幕末の激動期、混乱期を生きた人々の想いに心を馳せるという意味でも、観劇が楽しみな舞台です。
 
イメージ 5大河ドラマ放映当時、私は小学生でしたけれど同級生のクラスでなんでも一番という男子がなんだかいつも「井伊直弼」について熱く論じてたのを記憶しています(笑)私はほとんど井伊直弼には関心がなく、ひたすら淡島千景さんの村山たかの美しさばかりが印象に残っています。そして「長野主膳」です。大河ドラマでは佐田啓二さんが演じられました。でも、まだ、子どもだった私にはストーリーそのものは難しくて、直弼と主膳とたか女の関係性については、どのように描かれていたのか全く記憶がありません。
 
今回、舟木さんが主膳を演じられるにあたり、今年に入ってから、船橋氏の『花の生涯』、諸田玲子著『奸婦にあらず 』(たか女伝)も読み流しましたが、一番面白く読んだのがブログのタイトルに掲げた『安政の大獄ー井伊直弼と長野主膳』(中公新書)でした。一見、堅そうな新書版なのですが、開いてみると「安政の大獄」や「井伊直弼」がキイワードというより、むしろ「長野主膳」についての記述にそのページを多く割いていると言う印象です。著者の松岡氏は「安政の大獄」の事実上の行使者とも言うべき長野主膳という人物に並々ならぬ興味と関心を覚えられ、彼を主軸にした研究書としてこの著作を世に送りだしたかったのではないかとすら思えました。
 
先ず、目次を読んでみました。(画像です↓)どうでしょう、なんだかミステリアスな主膳像(笑)
 
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松岡氏の記述に沿って簡単に拾い書きしてみます。
 
第一章
〜ある日、伊勢国の飯高郡川俣郷宮前村字滝野の豪農・大庄屋である滝野次郎祐(知雄 ともかつ)を訪ねてやってきたひとりの男がいた。当時、伊勢・美濃・近江の地は国学者である本居宣長の学問的影響の濃い地方だった。そこでは国学の研究の徒は手厚くもてなされたという。
その男は、長野主馬義言(ながのしゅめよしとき)と自らを名乗り、知雄が「旅の国学者の世話をよくなさるとの高名を聞いて訪ねた」と言った。その風貌は「痩せて、背が高く、青白い顔、頭髪は黒く濃く、眼光は人を射るように鋭い」と書き残されている。(赤い字の地名の場所の地図↓
✔マーク)
 
 
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主膳にとって、この知雄との出逢いが大きな転機となっていく始まりであった。主馬は、この知雄宅での滞在中に知雄の妹の多紀と深い仲になった。多紀は一度結婚してから夫と死別後、実家の兄・知雄の元に戻っていた。天保十年頃のことである。天保十二年、主馬27才、多紀32才の時に二人は結婚したが、この時にも主馬の氏・素性は明らかにはされなかったという。判っていたのは長野主馬義言、年令が27才これだけであったそうだ。しかし、「人物は立派、言語、立ち居振舞いは謹直、物静かで 和歌・国学の知識深く、人の師たるに充分の」佇まいであったという。
 
第二章
 
イメージ 8〜直弼が36才で近江彦根藩を襲封した後の嘉永5年(1852)4月に主馬は藩士として召抱えられる。この時、主馬は直弼にだけは自分の出自を明かしていたと思われるが直弼の主馬に対する秘密保持の忠実性には驚くべきものがある。このように固く守られる一身上の秘密にはどんなものが想像されるだろうか・・
 
主膳の出自についての仮説(付記として)
〜主膳の門人のひとり某氏の長男談より〜
「元肥後の国八代の主、長岡山城君の御子で、紀州の家老某氏の養子となったが、家を脱け出し行方知れずになった。その後、本居宣長の道を慕って伊勢国松坂に至った。」
 
第三章
 
直弼と主膳との初対面は天保十三年、直弼の「埋木舎」においてだった。主膳は単なる和歌・国学の師というだけではない日本国の成立と神々の行為に深く分け入り、現代の政治はいかにあるべきかを考えている国士である・・・として直弼は強く主膳の魅力に引き込まれていった。
目次では「直弼の主膳への異常な敬慕心」というタイトルが冠されている。そして、その後「たか女」の登場となる。
今回の舞台はこの三人を軸に繰り広げられていくのだろう。
 
 
さて、舟木さんは今回の50周年に『花の生涯』を選ばれたのですが・・・「60才になったころ演目の候補に上っていた作品」だと言っていらっしゃいます。(「夕刊フジ」5月30日発売)
ここに長野主膳、安政の大獄というふたつのキイワードから舟木さんとの深い縁(えにし)へと繋がることがらがありますので、おさらいしておきますね。
 
イメージ 9この舞台写真は『新納鶴千代』(1969年7月明治座公演)です。この作品が歌になったものが『あゝ桜田門』
 
あゝ桜田門  
作詩:西沢爽 作曲:船村徹
 
剣じゃ斬れない天下の流れ
知っていながら おれは行く
新納鶴千代 唇かめば
赤い雪ふる 桜田門
新納鶴千代 (にいろ つるちよ)
群司次郎正の小説「侍ニッポン」の主人公。大老井伊直弼(なおすけ)の子でありながら日陰にそだったニヒルな浪人。尊攘(そんじょう)派に加わるが、しだいに孤立化し、やがて父直弼を桜田門外に襲撃する。
 
侍ニッポン
作詩:西条八十 作曲:松平信博
 
人を斬るのが侍ならば
恋の未練がなぜ斬れぬ
伸びた月代さびしく撫でて
新納鶴千代にが笑い
 
 
三十余年の歳月を経て、「安政の大獄」にまつわる作品に「回帰」するかのような巡り合わせのようです。これもなにかのご縁なのでしょうか。
そして、もっと深い彦根藩とのえにし(縁)が舟木さんにはおありなのですよね。
 
舟木さんは井伊直弼との縁が深い・・・
イメージ 10〜以下「青春賛歌」(大倉明著)より〜
「上田家は栄吉の母・とめ つまり舟木の祖母の家系で、井伊・彦根藩の勘定方の血筋を引いているが、とめが若いころに巡業中の力士と駆け落ちして東京で小料理店を開いた後、親戚を頼って萩原町に落ち着いたという説もある”強者”で、左腕には花札の入れ墨があった。」
 
 
また、舟木さんの自著「風来坊」では、そのおばあちゃんについてのこんな記述もあります。
「男の色気と女の色気」より・・・オレのおばあちゃん、なかなか艶っぽい話のわかる人だった。オレが小学三年生ぐらいの時に、八十歳だったと思う。オレの親父つまりおばあちゃんの息子がさんざんやりたいことイメージ 2をやっている。ある日、火鉢にあたりながら、どう思ってるのかと聞いた。「栄吉もしょうがない」としきりに嘆いた。そんな話から、旦那さんつまりオレのおじいさんのことを聞いてみた。早いうちに別れたというからオレは顔も知らない。「それで、おばあちゃん、寂しくなかったわけ?おばあちゃんは、旦那さんとか男の人がいなくてもいいの」そういう話が転がっていった。「女の人って、そういう気持ち、いつまであるの。おばあちゃんなんかだったらもうないでしょ。」そうしたら、火箸をとって、黙って灰を掻き回しはじめた。なにやってるんだろう、おばあちゃん、と思いながら自分の部屋に戻った。しばらくしてはたと気がついた。あっ、灰になるまで。それにしても、ませたガキだね。
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京都市左京区一乗寺の金福寺(たか女ゆかり)の主膳像↓
 
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主膳の辞世の句
 
飛鳥川きのふの瀬はけふの淵と
        かはるならひを我身にそ見る
 
 
 
明治になって門人の手により、彦根城の東南にある天寧寺に主膳の碑が建てられた。そこには名前はなく、歌のみが記されている
 
 
  君かこの今日の出てまし待得てそ
          萩の錦もはえまさりける
 
 
 
この歌は、かつてこの寺に直弼と共に詣でた折、直弼が池に映る萩の盛んなる様を見て詠んだ歌
 影うつる池の錦のその上に なほ咲かかる 糸萩の花 
に答えたものである。

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春日局さん
詳しい内容ありがとうございます。春日局さんのすばらしい講義を楽しく受講させてもらっているようです(笑)
私も舟木さんの家系が井伊家の勘定方を勤めたという本の内容には前から興味をもっていました。勘定方といえば
国でいえば大蔵大臣、県単位でいえば出納役と、とても重要なポジションで優秀でなければ務まりません。舟木さんは、音楽に夢中になる前は成績も上の方だったようで(あの環境にもかかわらず)、息子さんも優秀です。きっと先祖の血を受け継いでいるのでしょう。また、武士だったということで、面立ちも品がありますよね。
私の望みは、どなたか舟木さんのファンの方で、上田家の歴史を調べ本にしてくれないかなあ・・・ということです。春日局さんいかがでしょう(笑)
春日局さんだったら十分その力ありです。舟木さんも先祖のことがわかるのは嬉しいんじゃないでしょうかね。(私のかってに夢みていることなのですが)

2013/6/8(土) 午前 1:01 [ 復活舟木組 ]

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復活舟木組さん、じゃあこうしませんか、NHKの「ファミリーヒストリー」にメールを送って「舟木一夫さんのルーツ上田家の歴史」を探っていただきましょうよ。今がチャンスですよ。50周年ですもん、それにそうなったら舟木さんがNHKにご出演なさるんですから。演舞場でお目にかかった時に相談しましょう(笑)

2013/6/8(土) 午前 1:06 春日局

春日局さん、おはようございます!本当にすばらしい講義ありがとうございました。
井伊大老とか、長野主膳も名前だけは知っていましたが、それだけでした、
大変勉強させていただきました。春日局さんは本当に歴史と読書が御好きなんですね。
「舟木一夫さんのルーツ上田家の歴史」いいですねぇ。グッドアイデアです。
恥ずかしながら「ファミリーヒストリー」という番組の存在さえも知りませでした。
いろいろ勉強になります。春日局先生ご講義ありがとうございました(笑)

2013/6/8(土) 午前 11:36 めぐみ

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春日局さん
はい、了解です!

2013/6/8(土) 午前 11:52 [ 復活舟木組 ]

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こんばんは。
素晴らしい「花の生涯」…安政の大獄のレポートです。
感動しております。
主膳は直弼の影の大老と言われて、非業の死と遂げる…そして直弼が死して汚名が溶かれるまで建立は許されなかったとか。
主膳の辞世の句を見つけました。
「飛鳥川きのふの淵はけふの瀬とかはるならいを我身にそ見る」
直弼に出会わなければ、どんな国文学者になってたのでしょうか
私がよんだ本は「たか女」が生涯、愛したのは直弼ただ一人だったと…主膳は…複雑(笑い)
いつも、春日局さんのプログで勉強させられてます。
ありがとうございます。

2013/6/8(土) 午後 10:16 [ kaoruko ]

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kaorukoさん、主膳の辞世の句ありがとうございます。松岡氏の『安政の大獄』の後記にも紹介されていますので改めて画像を加えておきますね。「たか女」は直弼や主膳よりも6才年長で女性としての人生経験もあり年下だった二人から見れば良くも悪くも「したたかさ」も備えている強い女性だったように想像しています。「安政の大獄」に重要な位置で加担したにも関わらず処刑を免れ主膳の処刑後15年も生き延びて、結局は直弼にも主膳にも殉ずることはなかったということは、純粋に一途に男性を愛するタイプではなかったかもですよね。舞台を拝見する前にこんなことを言うと夢が壊れますね(笑)すみません。「史実は史実、フィクションはフィクションとして楽しんで下さい。」というのが舟木さんからのメッセージのようですから、華麗なお芝居の世界を堪能したいと思っています。とっても楽しみですね

2013/6/8(土) 午後 11:15 春日局

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春日局さん
諸田玲子さん『奸婦にあらず』・・こんな機会でもなければ読むこともないかと思って入手しましたが・・主膳様と直弼に対する愛の種類はまた別だったかも、というところなので、ちょっと複雑ですね。ご紹介の中公新書、読んでみますね。長野主膳の人となりを理解するにぴったりの著作のようです。ご紹介を有難うございました。

2013/6/9(日) 午前 11:17 満天の星Lovely

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満天の星さん、「安政の大獄」というのは一種「恐怖政治的」な色合いを感じる暗黒の歴史的な事件ですが、だからこそ、その裏にある人間ドラマに興味と関心を覚えるのでしょうね。「歴史」といえども結局はナマ身の人間同士の個人的感情や野心や義理人情、駆け引きなどなどにその時代背景と時代の波というものが複雑に絡み合って起きた具体的な事実や事件だけが今伝えられているのだと思います。でもそれに至るプロセスを想像力で構築したものが小説やお芝居だと思うので直弼と主膳とたか女の関係性は「謎」のままがいいのだとも思えますね。特にたか女の想いは同性としてはあれこれ思い巡らしてしまいます。たか女のように魅力的な美女でないことは棚に上げて(笑)ありがとうございました。

2013/6/9(日) 午前 11:49 春日局

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めぐみさん、reコメント遅くなりました。あちこちのサイトに飛んでreコメントをしていると潜り込んでしまって順序が後先してしまいました。すみません。「ファミリーヒストリー」で舟木さん(上田家)を取り上げてもらえたら嬉しいです。NHKにプッシュのメールしました。もしよろしければめぐみさんも要望してみて下さいね。50周年ですし、このところNHKも舟木さんには注目されてますからタイミング的にはチャンスだと思います。全国ネットのTVで舟木さんを拝見できる機会にもなりますもんね。いつもありがとうございます。

2013/6/9(日) 午後 0:13 春日局

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今晩は。
今回の舟木さんの舞台も大作ですが、春日局さんの今回のブログも「大作」ですね。その探求心もすべて「舟木さんゆえ」ということだと思いますが、先に舞台を観た私より何倍も詳しくて、次回上京したときにまた違ったことを発見できるかもわかりません。『安政の大獄ー井伊直弼と長野主膳』興味が沸いてきました。

2013/6/9(日) 午後 11:12 ゆふぎり

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ゆふぎりさん、たっぷり楽しまれたようですね。ブログを拝見して、ますます初見の13日が待ち遠しくなってきました。実在の主膳は謎に包まれた人物であったということを知っただけでも松岡氏の『安政の大獄・・』は舟木主膳のイメージを想像する手掛かりとなりました。歴史の表舞台に立った直弼の陰にいた主膳を主軸に据えようと企画した舟木さんのセンスに観劇する前からノックダウンされました。舞台を拝見して何が発見できるか私もとても楽しみにしています。

2013/6/9(日) 午後 11:35 春日局

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