生と死

生と死のはざまを思索する

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2012年2月6日

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大往生

往生と言う言葉であるが、往生際が悪いというのは死に際が悪いという意味で使われており、往生するわ、というのは困り果ててどうしようもない、いっそのこと死んでしもたろかと言外に洩らしている言葉である。
 
仏教の経典にある往生とは、あの世で再び生まれると言う意味で、むしろ現世での善行が認められて極楽浄土で暮らせるようになったという誇らしげなニュアンスもあるのかなと思うのだが、この世からおさらばすることには違いはない。
 
この世があって、あの世があると信じているひとは別にして、この世からおさらばすると、魂ともども無に帰るのだと考えると、やはり心穏やかにはなれないものだ。
 
ただ、馬齢であれそれを重ねるごとに死にたいする恐れの感情が鈍感になってくるものではないかと思うことがある。3年前に往生した103歳の義母をしばらく身近に見ていたがまさに永遠の眠りに入ったという感じであった。
 
 
 
 
先週末の新聞の広告欄に「大往生したけりゃ医療とかかわるな」という一見破天荒な逆説的な題名をつけられた著書の広告が載せてあった。
 
内容を連想させる目次が詳しく載せてあったので本を読まずとも大体の著者の伝えんとするところはよくわかる。
 
第1章が「医療が“穏やかな死”を邪魔している」と書かれている。
 
以下に8項目の見出しが並んでいるのだが、その中から2項目を選ぶと;
 
* 解熱剤で熱を下げると、治りは遅れる
* 介護の“拷問”を受けないと、死なせてもらえない
 
第2章 「できるだけの手をつくす」は「できる限り苦しめる」。
 
この章には14の項目が並んでいて、この中から2項目だけ取捨選択するのは難しいのだが敢えて選ぶと
 
* 家族の事情で親を生かすな
* 食べないから死ぬのではない、「死に時」が来たから食べないのだ
 
第3章 がんは完全放置すれば痛まない
* がんはあの世からの“お迎えの使者”
* 「がん」で死ぬんじゃないよ、「がんの治療」で死ぬんだよ
 
第4章 自分の死について考えると、生き方が変わる
 
第5章「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける
 
第6章 ―― 省略します ――
 
著者は社会福祉法人、老人ホーム「 ** 」付属診療所所長、医師 中村仁一氏
 
いいことをおっしゃるお医者さんがおられると感心した。日ごろから老人医療にかかわっておられる中で、今日の不自然な世情と欺瞞にどうしても一口からくちコメントを呈する、ということなのだろう。
 
 
これ、政治家が口に出したらえらいことになる。
 
それほどに日本の世情は狂ってきているのだ。

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