映画『ペイ・フォワード』 「次に渡そう」
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「ペイ・フォワード」は、日本語にすると「次に渡そう」とか「次に贈ろう」といった意味です。 2000年米国の作品です。 * * * 舞台はラスベガス。中学の社会科の授業で、ケビン・スペイシー演じるシモネット先生は生徒にこう言います。 「君たちには選挙権もなければ、授業中に許可なしにトイレに行く自由もない。でも、これは永遠には続かない。いつの日か君たちは大人になり、自由になる。でもその社会が自由でなければどうする? 嫌いなところを変えてみるのはどうだろうか。今日からそれをはじめてみよう」 そして先生はこう黒板に書いたのです。 世界を変える方法を考え それを実行してみよう!
(Think of an idea for change our world -- and put it into action!) 生徒たちは、そんなことはできないと顔をこわばらせましたが、先生は、「不可能を可能にするのは君たち次第」と迫ります。 これを聞いて11歳のトレバー少年が思いついたたのが「ペイ・フォワード」。 「ペイ・フォワード」とは、自分が他人から受けた“善意”や“厚意”を恩返しするのではなく、別の誰かに渡していく――という考え。 トレバー少年は、「まず僕が三人にペイ・フォワードをして、その三人が、それぞれほかの三人にペイ・フォワードをしていたったら……」と、世の中に善意や厚意のリレーが広がっていくと提案しました。 シモネット先生は、素晴しいアイディアだと褒めるのですが、その一方で先生は、世界を変える以前に、自分自身を変える一歩さえ、踏み出す勇気を持っていません。 しかし、他人による善意や厚意は、心に大きな傷を持ったシモネット先生を始めとする登場人物の心に、静かに浸透していくのです。 かといって、この映画は、人々の善意によってだけ展開していくのではなく、シビアな現実も描きながら、最後の結末を迎えます。 だからなのか、この映画はどこか“感動一色”の映画とは一線を画し、現実社会のダークな部分を余韻として残しながら、善意と悪意の同居する世界を見せてくれます。 * * * 「最良のアイデアは子どもたちから生まれる」と考えるミミ・レダー監督は、少年トレバーに、次ぎのセリフを用意しました。 「日々の暮らしに慣れた人々は、よくないこともなかなか変えられない。だからあきらめる。でもあきらめたら、それは負けなんだ」と。 “世の中いいことなんてありゃしない!”と嘆きたくなることもあるでしょう。私にもそんな日があります。 でも、誰か一人が、「ペイ・フォワード」を行動に移せば、 人の善意によって救われたり、人の優しさに触れて、失望を希望に変えるきっかけを持つ人が、どこかに生まれるかもしれないのです。 その可能性がペイ・フォワードにはあるのです。 そして、人に何かをしてあげるということは、一見「与える」ことのようで、実は、自分が相手から与えられたり、教えられたりしているのだと、監督はいいます。 ボランティア活動にも、同じような側面があるのではと思いました。 最後に、映画『ペイ・フォワード』を見て、思ったことをまとめてみました。 ・あきらめない ・不可能を可能にするのは本人次第 ・変化の起点は自分から 私の「ペイ・フォワード」は誰につながるのでしょうか。 ではまた来週! 奥田みのり 環境・公害・CSR(企業の社会的責任)などに関心のあるフリーランスのライター。 ホームレスの自立支援雑誌「ビッグイシュー」をはじめとする独立系メディアに寄稿。雑誌「オルタ」では、環境問題をロジカルに斬る「エコ・ロジカル・ジャーニー」を連載中。ブログ「味(み)海苔の実」を毎日更新する“情報発信オタク”で、ブロガーとして取材されることも。「味(み)海苔の実」はこちらから! |