夢の中のひとつの情景 – その51

夢の中のひとつの情景 – その51  清算を済ましたのかどうかもよく覚えていないまま、気が付くと古い町並みを歩いていた。  写真のことも忘れてしまっているが、そんなもの今となってはどうでもよいことだ。  ただ、ひたすら歩きたかった。  じっとしていると、とめどもなく涙が溢れてしまいそうだ。  辺りはどこも綺麗過ぎるほど、雪化粧の世界が広がっている。  よした方がいいと思いつつ、女将との思い出のつまった、古いカメラを取り出してしまった。  その鈍い銀色のカメラをしげしげと見つめる。  あの中庭で、女将を撮ろうとするが、後姿以外はどうしても撮らせてくれなかった。 「俺は瞼にしっかり焼き付けているが、お前は可哀想だよな、後姿のままで終わっちまったもんな」  古いカメすべて表示すべて表示

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