経済
マスコミが消費税増税を支持する理由 マスコミがほぼ全面的に消費税増税に賛成だというのは、本当に奇妙な話ですが、その理由はかなり明らかではないかと思います。
すでにご存じの方も多いと思いますが、一つはマスコミの広告主である大企業(大手輸出企業)の思惑です。日本から海外に輸出した製品についても消費税は一旦納めなければなりません。しかし、輸出は国内消費ではありませんから、海外に輸出したものにかかる消費税は後で還付される仕組みがあります。
たとえばトヨタなら、年間2000〜3000億円ほど還付金を受け取っていると言われていますが、消費税が5%から10%に引き上げられたとすれば、トヨタは年間4000〜6000億円ほど還付金がもらえる、換言すれば、年間4000〜6000億円免税されるというわけです。
しかし、他方で大企業に部品を納める中小零細や下請け業者、労働者は、消費税が10%に引き上げられたら、売り上げのうち10%は必ず税として納めなければなりません。この円高&デフレ不況の状況では完全に「買い手市場」になっていますから、大企業は中小企業に「もっと安くしろ」「さもなければ、海外に発注する」などと言うこともできてしまうのです。もちろん、良心的な経営者はそのようなことはしないと信じますが、しかし大部分の企業はこのデフレ不況の中では、みなコストを1円でも安くして儲けを増やそうとするばかりです。そうすると、立場的に弱い中小企業は価格を抑えて部品を納入し、消費税増税分は自腹で負担して、泣きを見ることになります。大手企業にとって、消費税増税は中小企業や個人にしわ寄せをさせて、わが社の利益だけは追求できるという、実に虫のいい話です。「苦労を共に分かち合おう」という、かつての日本的経営がどんどん陰を潜めてしまっているのではないでしょうか。
そして、不況でどの企業も広告料を渋っている状況で、マスコミはこうした大手企業の言いなりになってしまっているというわけです。
マスコミが消費税増税を支持する理由は、もう一つあると思います。
それは「軽減税率」というものです。消費税を上げるとなると、必ず「この分野は庶民の生活に直接かかわるから、一律増税ではなく、分野によっては税率を軽減しよう」という話が持ち上がってきます。食料品の税率軽減などはその典型です。
そうすると、財務省は「この業界はちょっと手加減してやっても良いぞ。その代り、天下りのポストをちゃんと用意して置けよ。」と言うことができるようになってしまいます。そう言えば、財務省だけが悪いように思えますが、しかし、実際には天下りポストと引き換えに、「わが社、我が業界だけは助かりたい。」というマスコミの利己心も見え隠れします。さしずめ、日本の大手新聞社からすれば、天下りポストを提供することと引き換えに、「消費税20%、新聞0%」の英国タイプにすることが理想なんじゃないでしょうか。
実際、読売新聞では2010年11月に、同年7月まで財務省事務次官の座にあった丹呉泰健を社外監査役として受け入れています。あまりに露骨な癒着です。
一般に「天下りはいけない」とはよく言われますが、天下りは単に官僚が求めているだけではなく、実際には民間の側も強く求めているわけです。汚い話ですが、官僚の側も、民間の側も、「自分たちさえよければ・・・」という思いがあるということだと思います。
輸出企業の消費税還付と言い、財務官僚の天下りと言い、マスコミ業界の軽減税率と言い、いずれも私あって国家なし。誠に残念な話です。
やはり、世の中と言うのは、本当は持ちつ持たれつ、助け合いなのだと思います。それとは逆に、「自社さえ助かればよい。」と考えたり、「他が栄えたから自分が損をする」と考えたり、「他が貧すれば自分が栄える」などと考えるのは、ことごとく迷妄であると思います。自他共に栄えることこそが本当であると思います。
しかし、その根本を忘れてしまったとき、深刻な不況にも陥り、国家的危機にも陥るように思います。デフレ不況は貨幣的現象とも言われますが、より深く考えれば、結局人の心の反映なのではないでしょうか。
軽減税率 政府も検討 消費増税法案審議の焦点に産経新聞 5月20日(日)7時55分配信 食料品など生活必需品の消費税率を低くする「軽減税率」に対して政府内にも導入に前向きな意見が出ている。消費税増税関連法案の国会審議で、導入を求める野党に対し、野田佳彦首相も柔軟に対応する姿勢を示した。政府は所得に応じて減税と現金給付を行う「給付付き税額控除」の導入を目指すが、バラマキ色が強いとの批判も多い。軽減税率は欧州では広く採用されており、導入に向けた議論が進む可能性も出てきた。
消費税増税関連法案が17日の衆院社会保障・税一体改革特別委員会で実質審議入りし、政府側から軽減税率の導入に前向きな意見が相次いだ。野田首相は「与野党で真摯(しんし)に胸襟を開いて議論を進める」と発言。翌18日には安住淳財務相が「幅や対象などの案が出てくるのであれば議論したい」と述べ、野党から具体的な提案があれば協議に応じる姿勢を示した。 消費税増税では、低所得者ほど負担感が強くなる「逆進性」が問題視される。このため、政府は所得に応じて納税額の一部を戻したり、現金を給付したりする給付付き税額控除を法案に盛り込んだ。給付額や給付の対象範囲が広がれば、単なる予算のバラマキにつながる危険をはらんでいる。 一方、欧州などでは軽減税率の採用が一般的だ。 消費税にあたる付加価値税の標準税率が20%程度と高いため、生活に欠かせない食料品や医薬品などの税率を低く抑え、暮らしへの負担を減らしている。 英国では家庭で使う燃料や電力は5%、食料品や医薬品は0%、フランスでは食料品が5・5%、医薬品は2・1%といった具合だ。 また、文化を保護する配慮もみられる。フランスやドイツでは新聞や雑誌が軽減税率の対象になっているほか、スウェーデンでは映画鑑賞やスポーツ観戦にも軽減税率を適用している。 これに対し、日本で政府が軽減税率に消極的なのは、増税しても税収が思ったほど伸びないデメリットがあるからだ。財務省によると、英国では軽減税率の導入によって、しなかった場合と比べて税収が約4割減った。 対象品目の合理的な線引きが難しい点も壁になっている。ドイツでは、同じファストフード店のハンバーガーでも、店内で食べれば外食とみなされ、19%の標準税率がかかるが、持ち帰れば食料品として7%の軽減税率になる。事務処理が複雑で「事業者の負担が増える」(財務省幹部)との指摘もある。 消費税増税をめぐっては、民主党内の増税反対派の抵抗で削除されたが、政府は法案の原案に税率を10%に引き上げた後の再増税を示唆する「追加増税条項」を盛り込んでいた。財政健全化を実現するには、税率を10%にしてもなお約6%分の財源が不足しているからだ。 将来的には欧州並みの高い税率への引き上げが視野に入る中、増税に対する国民の理解を得るために軽減税率の効果について十分な検討を重ねる必要がある。 |
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