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2008年5月12日

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アウトソーシングとリスクヘッジ 2

通りすがりさん、
再度コメントをありがとうございました。

一勤さんのご質問を短く書くと、
米国では、試験が簡単なこともあって資格保持者が山ほどおり、企業勤務者も多い。その人たちを使ってやれば自前でできる特許出願代理業務を企業はなぜ外部事務所に依頼するのでしょうか?
ということです。

話は、特許出願業務に関してですので、ご説明いただいたパテントエージェントとパテントアトーニーとの間の違いは、ここでの疑問の答えにはつながっていません。外部事務所のパテントエージェントを使う場合も普通にあります。その場合も含めて、企業は何ゆえに自前で特許出願業務を行わず外部事務所を使うのか?

私は、通りすがりさんが最初のコメントで言及された
(1) アウトソーシングによる経営の効率化
(2) 訴訟社会におけるリスクヘッジ
の2つが、私が当初書いたものより優れた解答になっていると思います。

ここでいうアウトソーシングは、日本語の「外注」とはちょっと違いますね。「外注」という語には「自分でやろうと思えばできるけど面倒だから他人に任せる」という響きがあると思います。ここでの「アウトソーシング」は、「自前ではできないことを必要なときにお金を出して外部から買う」という響きを含んでいます。米国企業が外部事務所を使うときには、「外注」の意味がないことはないでしょうが、一般化していうとこの「アウトソーシング」型になっていると思います。それが、5月11日に私が書いた内容につながります。

もちろんいろいろな企業がありますから、一概には言えないのですが、米国企業は社内のスリム化が進んでおり、常時必要ではないものはできるだけ社内で抱えず、必要になったらそのときに優秀なサービスを調達してこようとする「メリハリ」感覚が発達しています。そのときに「優秀なサービス」はどこにあるかというと、社内ではなくて、外部事務所にあるのが米国。これは、訴訟社会におけるリスクヘッジにもつながりますね。

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アウトソーシングとリスクヘッジ

通りすがりさん、
コメントをありがとうございました。

こういった日本人からの疑問に関しては、日本での実情を知らないと何を質問されているのかがわかりにくいと思います。

日本では、弁理士数の増加に伴って企業に勤務する弁理士も最近は増え、また企業知財部員の知識レベルも上がってきて、企業内で特許業務をする傾向が強まってきています。で、特許事務所勤務の弁理士としては、今後どうなっていくのだろうと心配なわけです。
一方、米国に目をやってみますと、資格保持者が山ほどいるし、試験も日本に比べたら簡単です。弁理士数の増加にともなって現れてきた上述の日本の傾向が既にもっと顕著に現れていてもおかしくないのです。でも、どうも、そうなっていないのですね。
そこが不思議だというわけです。そこを説明する必要があります。




>米国では法学部卒という人はいない点に注意すべきだと思います。そのため、法務部や知財部に弁護士資格を持たない部員は基本的には存在しません。

日本の企業内で知財担当をしている人のほとんどは法学部卒ではありません。したがって、この点における日米の違いは「法学部」の有無とは関係ないと思われます。


>このインハウスロイヤーの給料は、トップファームに比べれば低いものの、通常の従業員よりは遥かに高いです。

トップに限定しなくても、普通に平均値でみて、ローファームのロイヤーの方がインハウスロイヤーよりはっきりと高いはずです(たしか、AIPLAとかがアンケートをとって統計的な数字を出している)。
で、わざわざ値段の高い人になぜ仕事を出すのかを説明する必要がある。


>そのため一般的に、社内弁護士を多数抱えるよりもアウトソーシングすることが経営効率上好まれています。

「そのため」ではないと思いますが、アウトソーシングによる経営の効率化は理由になっていると私も思います。


>そして、インハウスロイヤーは、特許ポートフォリオの管理、ライセンスプログラムの遂行、外の弁護士の管理、といったビジネス的な観点からの仕事をします。

で、なぜ特許業務をインハウスロイヤーがしないのかが今回の疑問なわけです。ここで書かれた業務内容は、日本の感覚だと資格保持者がやらなければならない業務ではありません。


>また、外の弁護士に依頼した方がリスクヘッジにもなるということもあるかもしれません(ご存知の通り訴訟社会ですから、ヘマしたら株主訴訟でも起こされかねません)。

これも、外注する理由になると私も思います。


>トップファームで経験を積んでからインハウスに転じていく弁護士も少なくありません。

これって、日本で言えば、官僚のなかから負け組みが天下っていくのに似ていますよね。インハウスに転じていく人たちは普通、ファーム内の勝ち組ではないです。
で、インハウスに転じたところで特許業務をしない。それはなぜか?




ということで、通りすがりさんのコメントうち、
(1) アウトソーシングによる経営の効率化
(2) 訴訟社会におけるリスクヘッジ
の2つが、一勤さんのご質問の答えになっていると思います。

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