よっしー本店

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卒業式を観察する

 卒業式のシーズンです。ある中学校の卒業式を例に立ち止まって考えてみましょう。

  ――――――

 「一同、起立!」司会の教務主任の先生の号令が響きます。
   一同とは参加者全員、すなわち卒業生、在校生はもとより、
   校長を含む教職員、保護者全員、来賓全員です。
   もちろん、教務主任の先生が皆さんに命令しているわけではありません。
   彼は誰かの代弁していると考えられるから、皆さん従っているわけです。
   はたして誰の代弁をしているのでしょうか?
   誰の命令と考えるのが適当なのでしょうか?

   命令など誰もしていない、おのずからそうしているのだ?
   そういう考え方もあるでしょう。
   しかし、全国的に似たような行事が行われていることに、
   誰も仕掛け人がいないということはありえません。

   少なくとも文部科学省や現在の自民党政権がそういう方向を適当と考え、
   各地の教育委員会に「国旗及び国家に関する法律」や学習指導要領が浸透し、
   結果としてかような行事の定着が図られてきたことは周知の事実です。

   ただ、参加した皆さんにとって抵抗があろうがなかろうが、
   また公式行事に混乱を招くまいと配慮しようがしまいが、
   災害時でも非常訓練でもないときに号令に従ってみんなが動くというのは、
   私には異様な光景ではあります。
   公の場でのマナーを徹底するという受け止め方もありましょう。
   それにしても号令ひとつで動くということに違和感を感じます。


 「礼!」何に向かって礼をするのかというと、国旗すなわち日の丸です。
   では、教務主任は国を代表する内閣総理大臣の代弁をしているのでしょうか?
   あるいは戦前戦中のように天皇陛下の代弁をしているのでしょうか?
   そのように考えている方々もいるかもしれません。
   しかし、漠然とそういう装いをしているだけで、
   実はそのどちらでもないと私は思います。
   命令しているものの実体はないのかもしれません。
   しかし、仕掛け人たちはいるわけです。   

    
   儀式に過ぎないといえば確かにそうです。
   しかし、その後も挨拶で壇上に上がる方々、みなさん日の丸に一礼します。
   そして、これらの儀式は毎年毎年各地域において繰り返されます。
   先生方や保護者はもとより来賓として地域の代表者が参加し、
   ひとりの例外もなく日の丸に一礼を繰り返す、
   厳粛な雰囲気の中でこのようなことが繰り返されると、
   冠婚葬祭のときの「礼儀」よろしく社会的な強制力を伴ってきます。
   そして慣習化するうちに、生活の中に組み込まれ、
   人々はそれを今さら否定することが億劫になってきます。
   そうして波風を立たせる人を奇人変人として白眼視し、
   我儘と考えるようになります。
   こうなるとこれらの慣習は「装置」として機能し始めます。
   マスメディアがそれを無批判に報道します。
   その装置の目的はものごとを深く考えずに行動してくれる人間たち、
   マスメディアに流した情報を疑いもせず、
   打てば響く太鼓のように多くを語らずとも迅速に反応し、
   完全にコントロールされた予測可能な人々を社会の多数派にすることです。

   一方、子どもたちは「学習」をします。
   身の回りにいるおとなたちが共通して行う行為は、
   世の中の本音として相当の説得力をもって子どもたちを飲み込んでいきます。
   
   仕掛け人の正体は私にも分かりません。
   黒幕というがごとく、彼らは表に出てきません。
   その黒幕たちを護っているのが公安警察だとしたらどうでしょう。
   公安警察は、同じ「公安」とあっても「公安委員会」とは全く別の組織です。
   公安警察が国家を護っているのではなく、
   国家権力の黒幕を護っているのだとしたらどうでしょう。
   公安警察、この秘密のベールに囲まれた集団が恣意的に動かされないように、
   私たちは監視システムをしっかりさせねばなりません。

  ――――――――

   卒業式。
   この生徒たちが旅立つ門出に、贈る言葉のなかに「生きる力」は出てきても、
   日本国憲法や子どもの権利条約が出てこないのはなぜ?
   おとなたちの論理に翻弄されているなどと知る由もなく、
   今年もまだあどけない生徒たちが新しい世界に旅立とうとしています。
   美辞麗句を並べたところで丸腰のまま送り出すことに変わりありません。

  ――――――――

   がんばれ、がんばれ、子どもたち。
   人との出会いを大切にして、
   連帯することを学び、
   いつの日か自分を苦しめ、隣人をも苦しめてきた不幸の正体を看破し、
   メディアや愚かなおとなたちから刷り込まれた幻想を突破して、
   ともに闘い、
   ともに労わりあい、
   世代を超えて尊敬しあおうな、子どもたちよ。

  ――――――――  
    
   
※参 考

 公立学校と国旗国歌について

 職務命令と関連判決

 確定判決

 東京都日野市の市立小学校の入学式で1999年4月に君が代のピアノ伴奏するようもとめる職務命令を拒否した音楽教師が、それを理由とする戒告処分が違法であり取り消すように東京都教育委員会を訴えた裁判の判決が、2007年2月27日に最高裁第3小法廷で下された。それによると、「校長の職務命令は思想及び良心の自由を保障した憲法19条に違反しない」、その職務命令は「特定の思想を持つことを強制したり、特定の思想の有無を告白することを強要したりするものではなく、児童に一方的な思想を教え込むことを強制することにもならない」とされ、教師側の敗訴が確定した。


 係争中

 東京都教育委員会(都教委)は2003年10月、「卒業式での国旗掲揚及び国歌斉唱に関する職務命令」として、「国旗は壇上向かって左側に掲げる」「式次第に国歌斉唱の題目を入れる」「国歌はピアノ伴奏をし、教職員は起立して国旗に向かって起立し斉唱する」などという項目を作成し、違反した場合は服務上の責任を問われるという、「国旗掲揚・国歌斉唱の義務」を各都立高校に通達した。だが、職務命令に従わない教職員がいたことから、都教委は従わなかった教職員に対し処分を行った。

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