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キヤノン PRO−1 プリンター実機インプレ

キヤノンから6月に発売される、PIXUS PR0−1プリンターについて、
本日名古屋まで実機見学に行ってきましたので皆さんにご報告します。
あくまでも個人的なインプレなので参考程度ということでお読み下さい。
(以下、淡々と書きます。) 
 
ファーストインプレッション(外観・存在感)
フロアに入ると、プリンターやカメラ・レンズなどがたくさん並んでいた。
すぐさまPRO−1本体を探しに周囲を見渡したが、その大きさですぐにそれと確信が持てた。
長い、高い、というのではなく、体積が大きい、というのがパッと見の印象。
見るからに重量感があり、本体表面のエンボス仕上げ含め、随所に高級感が漂っている。
これは実機を見ないと分からないが、とにかく物欲を刺激する形状をしている。
 
サンプルプリント鑑賞
プリンターの脇には2枚のサンプルプリントが展示されていた。
①白黒写真(あざらし)
あざらしが身ぶるいして逆光で輝く水しぶきが周囲に飛び散る瞬間をとらえたスナップ。モノクロで硬調に仕上げているが、USMの処理がきつく水しぶきの1粒1粒が逆光域で輪郭に黒ぶち(リンギング)が発生しているのが惜しまれる作例。しかし、モノクローム写真としての諧調表現力は十分。
②風景写真
花園の風景だったか、引き気味パンフォーカスの写真は良いのだが、素材が低解像度であるせいか、ディテールがパッとしない。この2つのサンプルプリントは、残念ながらあまり参考にならなかった。ただ、それがプリンター性能起因ではないことが明白だったため、この時点で期待を裏切られたとは思わなかった。
 
データ出力依頼
そこでさっそく持参の天体写真データの出力依頼をしてみた。出力条件は以下。
・出力アプリケーションはPS。埋め込んだカラースペースは画像によってsRGB・AdobeRGBどちらも有り。
・直接関係はないが、モニターはナナオのCG241Wを使っていた。
・使用用紙はプラチナグレード。ICCプロファイルはキヤノンによって用意された純正プロファイルをPSより指定。
・プリンタドライバはもちろん補正なし設定だが、画質選択モード?のようなパラメーターで2(2番目の高画質)を選択(せざるを得なかった)
・クロマオプチマイザーは「全面」で出力。
 
プリンター動作確認
給紙から排紙に至るまで、非常に振動が少なく静か。フロア内の雑音のせいもあるが、ヘッドの動作音は本体に耳を近づけないと聞こえないぐらいだった。作動中本体に触っても、Pro9000のようにゆっさゆっさと動く感じが全くない。重量27kgだけのことはある。
<補足>PRO−1はヘッドとインクタンクを分離させ、インクタンクは据え置きにしチューブでインクを供給するシステム(オフキャリッジシステム)を採用しており、振動の軽減と静音性を実現しているとのこと。
 
天体写真プリント出力
イメージ 2

①オリオン中心部付近
親切な女性スタッフとプリンターの機能について話していたら、1枚目が出てきた。何と、想像以上。凄いの一言。純正ICCプロファイルだけで、いきなり完璧な色味に仕上がっていた。暗部の黒に重量感があり、どんな方向から見てもそれが変化しない。明らかに従来の顔料機とは一線を画するシャドウ表現だった。色についても、これまで染料で苦手だった暗部の赤がしっかり乗っていた。鮮やかさについても、僕が別途持参したPro9000による同データのプリントと並べて比較しても全く遜色なく星雲明部の色相も一致していた。星々のツブツブしたコントラストも、ほぼPro9000と同等レベルであり、前回PX−5Vで味わったようなガッカリ感(これはICCプロファイル起因の可能性も高いが)もなく、非常に「イイ感じの天体写真」だった。
②グレースケール出力
2番目に出力してもらったのが、2Lサイズの自作グレースケール。結果、分かってはいたものの、そのすごさにあらためて驚愕。このPRO−1はグレーを全部で5色(マットブラック、フォトブラック、ダークグレー、グレー、ライトグレー)搭載しており、吐き出されるグレースケールは文句なしに素晴らしい。染料Pro9000のそれとプリント比較してみたが、スタッフの方もすぐ気付くぐらいに違いは明白だった。PRO−1の出すグレースケールはまるでグレーの色見本そのものだった。シャドウからハイライトまで着色感が一切ない純然たるモノクロームだった。
③オリオン大星雲
Pro9000で出力すると、滑らかなバックグラウンドのシャドウに目立ちやすいヘッド往復のスジムラが、一体どの程度改善されるのだろうか。そんな好奇心でこれを印刷してみた。結果は、スジムラは一切発生することはなく合格。また、Pro9000による出力よりも暗部が引き締まって見えた。唯一、M42中心のハイエストライト部における白トビが急激なエッジを有しているのが気になった。これは染料Pro9000にはない特徴であり、現在確認をしてもらっている。念のために、それは光沢ムラによる反転などではない。
④アンドロメダ大星雲
染料機で最も苦手な対象のひとつ。特にこのアンドロメダ大星雲は銀河周囲に存在する光芒の色表現が染料機では難しく、1日2日では良くても数週間すると色が変化してしまうこともあり、難儀する。これを出してみたら、あっさりとモニターのイメージがそのまま出てきた。しかも従来のPro9500mk2のように背景が浅く浮いてしまうこともなく、引き締まった黒のdensityが見るからに明らかだった。RGB40〜60で十分シャドウ感を引き出す能力のあるheavyなシャドウ表現だった。こちらも唯一、M31中心部のハイエストライト部のトビに輪郭が浮き出ているのが気になった。これらの疑問は近日回答を要求するつもり。
 
絵作りについて
エントリーモデルでありがちな記憶色主体の疑似色的なビビッドさはなく、全体的にコンサバティブな色味を踏襲しているのは他社上位機種同様。かといってプロ向けを意識したカメラにありがちな、素材性重視を意識し過ぎて全てが保守的となりすぎてしまった感はなく、ワイドガモット領域では然るべきビビッドカラー表現力の才を発揮していた。というのも、スタッフさんが別途見せてくれたPro9000・9500・PRO−1の3機種プリント比較
の湾岸夕景写真の空のグラデ色を見ると、明らかに9500では出せていないバイオレット〜パープル色が出ており驚いた。また、そのプリント内にある岩のディープシャドウの締まりが明らかにPRO-1が上を行っていた。
 
階調性について
また、階調性についても9500や9000よりPRO−1が1グレード上の描写であった。9000は空のグラデにヘッドのスジムラが発生していたし、9500よりもPRO−1の方がトーンのつながりが滑らかであった。これはポートレートなどでも比較してみたいところ。4ピコリットルというスペック上で劣る部分についても、下で述べる入力解像度とインク色数によってカバー出来ているものかと想像する。
 
解像度について
このPRO−1という機種は従来モデルはいずれも600ppiであったところが1200ppiと、何と2倍の入力解像度を有している。入力解像度ということはつまり、PCから画像データがプリンターへ引き渡される際のインプット解像度を指すとのこと。この差がデカいのか、はたまた他の要因か、分からないがとにかくカリッと解像感の高い緻密な印刷が得られる。先に述べた暗部のdensityとの相乗効果もあるのだろうか。地味で目立たない部分における色々な基本諸性能が相まって、ついに他機種では追従困難な境地に立ってしまったということだろうか。1枚1枚におけるプリントのクオリティが、その全てを凝縮して物語っているようだ。
 
光沢感について
また、光沢感についてはPro9000の染料機が10点、9500が2点だとすれば、PRO−1は4点といったところ。方式的に光沢度が染料機をしのぐことはないというのが現実だろう。ただ唯一良い意味で期待を裏切られたのは、「平滑性と視野角は相関があるが、光沢と視野角は別ものである」ということ。つまりどういうことかと言うと、確かにPRO−1はPro9000と比べて光沢度では見劣りする部分がある。しかし、斜めから見たときのコントラストや彩度・視認性はピュアなままで、9500やPX−5Vのようにモヤっとすることがないのが明らかな実感差。キヤノンとしては初となる光沢塗料クロマオプティマイザは他社がつちかってきたグロス効果をいきなりぶち抜いたような気がしてならない。余白含め全面塗布されたクロマ塗料は、目で見てその存在を確認することは出来ない。人間の目を自然にうまくダマしている。言葉で表現するなら、Pro9000は「瑞々しいキラキラ超光沢」、PRO−1は「コクのある自然で艶やかな光沢」といったところか。
 
課題点について
唯一僕が実感した欠点というか疑問点は、「ある程度の面積を有するハイエストライト(255の飽和領域)のトビの唐突さ」にある。元データはなだらかに飽和へ導くよう丁寧に処理しているはずなので、どうしてエッジの立ったハイエストになるのか疑問。この記事自体をメーカーに知らせて、今のうちに対処を検討してもらおうと思う。
 
<不具合再現比較イメージ>
イメージ 1
 
 
追記1
色々書きましたが、一番感銘を受けたのはやはり「暗部の表現力」です。
シャドウの重厚感、階調性、色域、色再現性…その全てがハイレベルです。
これって天体写真には、非常に重要なファクターではないでしょうか。
旧モデルと暗部を見比べてすぐ、違う!って気づきますよ。
これが最もこのプリンターのスゴイ部分だと思います。
  
追記2 (粒状感について)
粒状感について追記を…。
以前、PX-5Vと従来モデルとのポートレート比較サンプルを見たことがあって、それは人物の顔の影に残りがちな粒状感が見事に改善された分かりやすい比較例でした。これがもし2ピコリットルの効果であるならば、4ピコリットルであるPRO-1と5Vの「ポートレート対決」を一度やってみたいです。空のグラデーション比較でも良いでしょう。空は明るい領域なのでPRO-1のライトグレー効果が効いてきそうな気がしますし、人肌のシャドウ部は上でさんざん述べた暗部のトーンの良さがあるので、5Vに真っ向対決する実力は十分秘めていると感じます。この比較で5Vに遜色がなければ、PRO-1は総合的に5Vを上回ったと言えなくもないかもしれません。
 
追記3
ハイエスト領域の飽和エッジにおける不具合再現イメージを追加しました。ICCプロファイルの出来によるものだと信じたいのですが…。メーカーさん、宜しく頼みます。

閉じる コメント(7)

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おぉ・・・総合的に凄いプリンタになっているようですね!
特に光沢感について、とても適切な文章表現で、なるほど・・!と思いました。
うーん、暗部の表現力!天体写真には重要ですね〜

2012/1/22(日) 午前 11:36 [ UTO ]

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発売まで未だ間があるし、きっとハイライト描写も詰めてくるでしょうね・・!

2012/1/22(日) 午前 11:37 [ UTO ]

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UTOさん

こんにちは。このブログ、たまに有名なプロの方なども見に来て頂けるようで、昨夜も帰宅後書き方を一度慎重にノートに手書きで下書き後にこしらえました。けどあくまで天体写真屋のインプレッションに過ぎませんので、他の人に言わせればこんなもの、ってなるかもしれませんね。

ただ、9500との暗部比較はもう…それは一目瞭然でした。重箱の隅をつつくような見方ならまだしも、遠目から見てすぐその違いが1発で分かるケースって…プリンターではあんまりないですよね。こういうのを進化っていうんだなーって感じた次第です。

2012/1/22(日) 午後 2:41 [ よっちゃん ]

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さっそくインプレありがとうございます!

予想通り暗部の表現力すばらしかったようですね。
一目瞭然ということは画期的な進化なのでしょうね。

12色もあるのにヘッド動作音が静かなのも魅力的ですね。
チューブが細長いだけにノズルのつまりが気になるところですが、
それが気にならないぐらいの新しい機能盛りだくさんなのが補って余りありますね。

いいなぁ〜 PRO−1・・・
いえいえ、私はPro9000MkII一筋ですよ!(笑)

2012/1/22(日) 午後 7:19 [ こう@ベサメ ]

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こうさん

こんばんは、コメントありがとうございます!
そうですね、暗部の表現といい、全体的な画質や階調性といい、素晴らしいプリンターであることは間違いなさそうです。
幸福実現度の高いプリンターというか…、写真ライフがこれによって随分楽しいものになりそうな気にさせてくれます。

けどPro9000も本当に優れたプリンターですよね!
しっかり調整して手なづけたPro9000のプリントのアピールインパクトは、なかなか顔料モデルでは太刀打ち出来ません。

発売が6月なので、今後どちらを使っていくか…じっくり悩みたいと思います(^-^)

2012/1/22(日) 午後 8:34 [ よっちゃん ]

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よっちゃんさん、こんばんは。
新しいプリンターに、わくわくする感じが伝わって来ます。
元画像を活かせるプリンターというのは重要ですし、発売時にさらに良くなっていることに期待したいですね。

2012/1/23(月) 午後 7:08 [ numajiri_comet ]

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numajiriさん

こんばんは、コメントとご訪問ありがとうございます!
いやー、嬉しいです。
最近この新たなプリンターのことを思い出すたびに、ニヤっとしてしまいます(汗 そうなんです、不具合報告が反映されやすいのは今のうちですよね!先回出力して置いて来た天体写真プリントを担当部署に送り症状分析したいと電話がありましたので、きっと前向きな対応を見せて頂けると信じております。

2012/1/23(月) 午後 11:11 [ よっちゃん ]

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