シーズン6 第12話[Corazon]
 遅刻したことのなかったリードが、ひどい頭痛とまぶしさで病院の検査を受け、打ち合わせに遅れる。周囲にはなんでもないと話すが、、、。

 ガルシアはマイアミで3件の惨殺事件が起き、儀式の跡と遺体に貝殻を使ったメッセージがあると報告する。
不明点が多いため地元の民間信仰サンテリア(後述)の専門家を呼ぶ。

 専門家により、サンテリアに属するパロ・マヨンベを信仰するサイコパスによる犯行で、普通は動物をいけにえに使う儀式に人間を使ったことから事件になったことがわかる。人間の手足が使われたことから、犯人は悪魔を呼び出すつもりと予想され、それが現実ではなにを意味するのか、さらなる殺人が起きるのか危惧される。

 事情聴取を受けた司祭は、リードと話している最中、トランス状態に陥り、、、。

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感想
 ロッシが「ホームレスにとって街は自宅」と発言。事件発生地が街か自宅の違いは普通は重要でしょうけど、被害者または加害者がホームレスだと事情が変わってくるんですね。

今回はサンテリアという宗教がかかわってきます。

 サブタイトルの[corazón]はサンテリア信仰が盛んなキューバの公用語スペイン語で、「1.心臓 2.心 3.勇気、気力 4.中心、核」という意味
[corazón - ウィクショナリー日本語版 - Wiktionary]
(https://ja.wiktionary.org/wiki/coraz%C3%B3n)

視聴後の感想をまとめると、

 一般的ではない民間信仰サンテリアをエピソードに取り込んだ異色な回で、まるでホラー映画のようなBGMが流れる上、特にふだんは科学サイドにたっているリードが、取り込まれそうになるシーンは異様です。
 オカルト方面に行くんですか??と心配になりながら見ていたら、つかまった犯人はサイコパスで動機も普通に理解できるものでした。ただ単に犯人が民間信仰を利用しただけで。
 リードに関しては決着つかず、次回以降に持ち越しのようです。

 ただサンテリアに関する本を読むと、サンテリアは2つのものを融合させた信仰で、リズムと健康を重要視する宗教のようです。ということで白か黒かでピリピリしているリードや他のメンバーへ発想の転換をせまる回なのかなーなどと。

<パロ・マヨンベが関係した事件>
 アドルフォ・コンスタンツォ[Adolfo de Jesús Constanzo](1962年11月-1989年5月)
  メキシコでパロ・マヨンベを信仰していた母親に司祭になるよう育てられ、超能力を持ったり不死身になったりして、テキサスとの州境メキシコの牧場で信者を増やした。死体を食べるとその力が自分に宿るという信仰のもと、10人以上を拉致殺害飲食。1989年知識を得るため大学生を殺害したことをきっかけに警察に追い詰められ、信者の手を借りて自殺した。
[Adolfo Constanzo - Wikipedia, the free encyclopedia]
(https://en.wikipedia.org/wiki/Adolfo_Constanzo)

うーん。
 ちょっと不思議なんですけど、超能力を持ってて不死身(だと本人は思ってる)なのに、他人の能力や知識が必要だと思うものなんでしょうか。被害者は大学生以外は麻薬の密売人とかですし。大学生の通ってたテキサス大学は公立だから、アイビーリーグに比べると学費は高くないけど、とにかく名門校!とあって、名門大学に通う大学生に憧れがあったのかなー。食べてしまうくらい。と邪推。


<サンテリア(パロ・マヨンベ)について>
 アフリカからの奴隷が持ち込んだ土着の宗教と、キリスト教カトリックが混ざった民間信仰。特に西アフリカからきたヨルバ人がキューバで信仰している。
 サンテリアの中には細かく分かれた様々な信仰があり、ブードゥー教もサンテリアの一種。キューバではそのほかにパロ・マヨンベなど様々な信仰が盛ん。

 記録が残りにくい民間信仰である点と、元々は奴隷が秘密裏に信仰していた点などから、詳細は不明な信仰が多い。
[サンテリア - Wikipedia]
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2)

 連れてこられた奴隷は強制的にカトリックに改宗させられたが、教育は受けなかったため、本来もっていた宗教をカトリックに対応させる形で信仰を守ってきた。奴隷制度が廃止された以降も生活に密着させる形をとっていたため表向きはわかりにくいが信仰活動は盛んである。(キューバではね!)
 この[対応]、[融合]というのがサンテリアのキーワードらしく、様々な[矛盾]を同時にあわせもつのが主要な神の特徴とされる。
 公称ではカトリック信者でありつつサンテリアも信仰するのが普通のため、サンテリアの中でも複数の信仰を持つのに矛盾がない。(日本人が神社と寺に行く感じ)
 口承で伝える信仰のため、リズム、音楽が中心であり、信者が踊る様子はちょっと異様に見える。

 カトリックと決定的に異なる点は、健康を重視、治療を信仰に取り込んでおり、リズムを取り自然と調和することで西洋医学では治らない病気も回復したケースが出ている。(「ラテンアメリカ―宗教と社会」(p.91))
 (↑たぶん西洋医学<サンテリアという意味ではなく、規則正しい生活や適度な運動とバランスのとれた食事が健康にいいのと同じ意味かと)


〔参考にした本〕
「キューバを知るための52章−エリア・スタディーズ」
後藤 政子 (著), 樋口 聡 (著)
出版社: 明石書店 (2002/12/17)
(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE52%E7%AB%A0-%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%BE%8C%E8%97%A4-%E6%94%BF%E5%AD%90/dp/4750316644/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1450783798&sr=8-1&keywords=%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE52%E7%AB%A0)

・キューバの宗教としてヨルバ系のサンテリーア(別名レグラ・デ・オチャ)の紹介。(P.213)
・自然界のあらゆる存在に霊力が宿ると信じ、死んだ人間の霊も強い影響力を持っていると考える。
 情報が少ない地域信仰だが、[排他的な面はなく](!!!)複数の信仰を持つことはめずらしくない。とある!
・また無神論の共産党に宗教を信仰しているものが自然に入党する現象についての記述(P.113)があり驚き。

 劇中でリードの頭痛は亡くなった母親の影響だと指摘するのは、サンテリア信仰では自然な流れのようです。キューバではカトリックであることとサンテリア信者であることが矛盾しないというおもしろい記述があり、それは共産党の思想すら超越するようです。
 リードが病院の検査で問題ないなら病気ではない、頭痛がするなら検査にでるはずだと怒るシーンを見て、サンテリアのcorazón[核]である、融合と矛盾を内包する世界にいる司祭から見ると、白黒じゃないんだろうなーと。


「キューバの歴史―キューバ中学校歴史教科書 先史時代から現代まで― (世界の教科書シリーズ28)」
キューバ教育省 (編集)
出版社: 明石書店 (2011/2/25)

"(P262) 5.8植民地時代のキューバにおける文化の発展の「1つは、主としてスペイン人とその子孫のヨーロッパであり、もう1つは奴隷の黒人のアフリカである。この2つが結びつき、宗教や習慣等を含め、わが国固有の要素が形成された」"
これもさらっと書いてありますけど、融合がキーワードというのに注目します。
(http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%90%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2)


「ラテンアメリカ―宗教と社会 (ラテンアメリカ・シリーズ)」
G アンドラーデ (編集), 中牧 弘允 (編集), G Andrade (原著)
出版社: 新評論 (1994/12)

この本は上記2冊と趣が違い、歴史の掘り下げと信仰の内容についてくわしく書いてあります。

「アフリカのリズムは身体と精神と自然を調和」することと「集合的無意識」についての記述があり(P.91)、サンテリアについて調べようとする目的の文献の前に、大量の音楽CDがヒットしてしまうのだけど、これは音楽=リズム=サンテリアそのものだということに気がつくのに時間かかりました。

リズムこそが信仰であり自然との調和ということを考えると、取調室のシーンはオカルトではなく、信仰の儀式であり治療の一環だったのか、と後から気がつくのでした。

この本はとても興味深くてP.99の禅問答のような代表的な礼賛歌には感心。一読の価値有りです。

(http://www.amazon.co.jp/%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E2%80%95%E5%AE%97%E6%95%99%E3%81%A8%E7%A4%BE%E4%BC%9A-%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%87-G/dp/4794802374/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1450784900&sr=8-1&keywords=%E3%83%A9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E2%80%95%E5%AE%97%E6%95%99%E3%81%A8%E7%A4%BE%E4%BC%9A)

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第14話[Sense Memory]
今回もはじまりは映画タクシードライバーから、と思ったらサイコでした。

 導入のあと、プライバシーを大事にするエミリーの自宅がうつり、、、けっこう豪華ですね!素敵なお部屋で避暑地のホテルみたいです。
 部屋には金庫がしつらえてあって、さすが元捜査官、昔の秘密がいっぱいです。
 どうも彼女が過去の事件で絡んでいた人物が脱獄し、エミリーと元仲間たちは危険にさらされているよう。
 てきぱきと部屋の戸締りをし、待機状態になったエミリー・プレンティスの動きは、いつも肉体派のデレク・モーガンと組んでアクションしてるのも納得の動きでかっこよかったです。

さて最初にタクシー運転手が出たので、今週はこの映画?と思っていたら。
映画「タクシードライバー」(1976)
監督:マーティン・スコセッシ
(http://movies.yahoo.co.jp/movie/%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC/13970/)


そして事件のほうは、

 ロスアンゼルスで女性の溺死体が次々に発見され、肺からはメタノール、足の裏の皮膚が切り取られた姿で発見される。
 チームのプロファイリングでは、周囲に気づかれるほど反社会的な人物であり、警察も証拠を残すことも気にしないタイプと分析されるが、死体をメタノールにひたしているため結果的に証拠が残らず捜査官を悩ます。
 タクシーで現地のプロファイリングをしたエミリーとモーガン、そしてメタノールの利用法に気がついたリードの知識が結びつき、驚がくする動悸動機が浮かび上がる。


感想
 エミリーが消えた、、、。

 エピソードはもちろんハラハラしておもしろかったんですけど。

 えー、どこに行ってしまうのと思いつつ、大き目のバッグ一個、一瞬で消え去るところに筋金入りの捜査官なんだと感心。

 シーズン7では戻ってくるんですね。良かった。
「「クリミナル・マインド7」放送日決定!女性捜査官2人が戻ってくるファン必見のシーズン - エキサイトニュース」
(http://www.excite.co.jp/News/cinema/20121030/Crankin_2104402.html)


モデルになった事件について
 ・犯人が殺人を悪いことだと思っていない
 ・遺体またはその一部を活用している

 という2つの条件を考えると、最初に思い浮かぶのはもっとも有名な連続殺人鬼エド・ゲインでしょうか。連続と言っても2〜3人ですけど、やっぱり印象が強烈すぎて真っ先に思い出します。というか他にいるんでしょうか、、、こんな人。
 また今回の導入部は、エド・ゲインをモデルにした映画、サイコの冒頭でマリオン・クレイン(ジャネット・リー)がモーテルに向かっているシーンを彷彿とさせますし、多用される犯人のナレーションは言わずもがな。
 サイコ見たくなってしまった。


エド・ゲイン[1906年8月-1984年7月]
 アメリカの連続殺人鬼。起訴された殺人は2件(他に実兄も不審死)のみだが、主に墓荒らしによって得た死体活用法により、強烈な印象と恐怖を残した。

[エド・ゲイン]
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%B3)
[サイコ (1960年の映画)]
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%B3_%281960%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB%29)

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「極北生活三十年―極北綺譚」
中垣 虎児郎 (著)
出版社: 冬芽書房 (1949)

あらすじ
 エスキモーの酋長になったチェコスロバキア人のヤン・ウェルツル氏による、ニューシベリアおよびアラスカ探検譚。

感想
 うーん。あまりおもしろくなかったです。

 いわゆる内容はでたらめの偽書(*1)だそうなんですけど、アメリカではベストセラーになったそうなので、それなりに期待して読みました。でも、読むほどのものはなかったです。

 *1 具体的にどう偽書かは同じくチェコスロバキア人作「山椒魚戦争」の日本語版にくわしくのっています。

 また本書の解説で今西錦司氏も、自身の体験から正確な記録ではないと断定しています。
 ノンフィクション全集を読んだら、おさめられている4編のうち、「カチン族の首かご」「極北生活三十年」はフィクション、「ニューギニア探検記」「悲しき南回帰線」はノンフィクションと断定していて、皮肉でおもしろかったです。今西錦司氏の解説は読む価値あるかも、、、。

ヤン・ウェルツル氏 [Jan Eskymo Welzl]
(https://en.wikipedia.org/wiki/Jan_Eskymo_Welzl)

Amazonページ
(http://www.amazon.co.jp/%E6%A5%B5%E5%8C%97%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%B8%89%E5%8D%81%E5%B9%B4%E2%80%95%E6%A5%B5%E5%8C%97%E7%B6%BA%E8%AD%9A-1949%E5%B9%B4-%E4%B8%AD%E5%9E%A3-%E8%99%8E%E5%85%90%E9%83%8E/dp/B000JAPS76/ref=sr_1_fkmr0_1?ie=UTF8&qid=1450012352&sr=8-1-fkmr0&keywords=%E3%80%8C%E6%A5%B5%E5%8C%97%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%B8%89%E5%8D%81%E5%B9%B4%E2%80%95%E6%A5%B5%E5%8C%97%E7%B6%BA%E8%AD%9A%E3%80%8D+%E4%B8%AD%E5%9E%A3+%E8%99%8E%E5%85%90%E9%83%8E+%28%E8%91%97%29+%E5%87%BA%E7%89%88%E7%A4%BE%3A+%E5%86%AC%E8%8A%BD%E6%9B%B8%E6%88%BF+%281949%29)

「世界ノンフィクション全集〈第4〉」
中野 好夫 (編集), 吉川 幸次郎 (編集), 桑原 武夫 (編集)
東京 : 筑摩書房 , 1960.7

・カチン族の首かご / 妹尾隆彦[著]
・極北生活三十年 / ヤン・ウェルツル(Welzl, Jan)[著] ; 中垣虎児郎訳
・ニューギニア探検記 / I.F.チャンピオン(Champion, Ivan F.)[著] ; 三吉朋十訳
・悲しき南回帰線 / レヴィ=ストラウス(Lévi-Strauss, Claude,)[著] ; 室淳介訳
(http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E5%85%A8%E9%9B%86%E3%80%88%E7%AC%AC4%E3%80%89-1960%E5%B9%B4-%E4%B8%AD%E9%87%8E-%E5%A5%BD%E5%A4%AB/dp/B000JBC2LU/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1450012401&sr=8-1&keywords=%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E5%85%A8%E9%9B%86%E3%80%88%E7%AC%AC4%E3%80%89%E3%80%8D)

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第六章「現代テロリズムの諸相」では、
テロリズムの変遷として「個別ジハード」の提唱により、2013年のボストン・マラソン爆破事件から目立ってくる「ローン・ウルフ(一匹狼)」型テロについての解説や、
「開放された戦線」=権力空白地帯において実効支配による「イスラーム国(IS)」の台頭、
そしてそこからさらなる変遷へとつづく2015年を代表する本の1冊だと思います。


「アルジェリア人質事件の深層:暴力の連鎖に抗する「否テロ」の思想のために」
桃井 治郎 (著)
出版社:新評論 (2015/10/9)

アルジェリア人質事件(あるじぇりあひとじちじけん)とは - コトバンク
(https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%BA%BA%E8%B3%AA%E4%BA%8B%E4%BB%B6-189473)

内容紹介
 二〇一三年一月一六日、北アフリカのアルジェリアで人質拘束事件が発生した。イスラーム武装勢力がアルジェリア南部の天然ガス施設と居住区を襲撃し、同施設で働く関係者を人質にとって立てこもった事件である。発生から数日後にはアルジェリア軍の介入によって武装集団は鎮圧されたが、その過程で日本人一〇名を含む四〇名の命が失われた。
 このような悲劇的事件を前にして、「反テロリズム」を主張するのは、あまりにも当然で、いまさら議論の余地はないと思われるかもしれない。しかし、単に「テロリズムは悪であり、徹底的に根絶すべきだ」という意見を声高に主張するだけでは、問題を理解することにも、再発を防ぐことにもならないであろう。それはむしろ、現実の問題に対する思考を停止させ、問題の根源を見極める努力を放棄することにつながるのではないか。
 本書では、こうした問題意識に基づき、アルジェリア人質事件の深層を多面的に探っていく。各章ではそれぞれ、「事件現場でなにが起きたのか」(第一章)、「事件の対応はいかなるものだったのか」(第二章)、「なぜアルジェリア政府は強硬策をとったのか」(第三章)、「テロリズムを生んだ社会的背景はなにか」(第四章)、「テロリズムの論理とはいかなるものか」(第五章)、「グローバル・テロリズムとはなにか」(第六章)、「テロリズムに抗するためになにをなすべきか」(第七章)を考える。特に第七章では、アルジェリア出身の作家アルベール・カミュの思想を援用しながら、この事件から学ぶべき教訓を考える。
 事件からすでに二年半が過ぎた。その後も「テロ」は頻発し、われわれは目まぐるしい日常のなかで凄惨な記憶を風化させがちである。しかし、「安全保障」の名のもとに「対テロ戦争」がなし崩しに正当化されている今日、事件の真相と根源的な要因(=深層)を見つめ直し、悲劇が二度と起きない未来を思い描くことには重要な意味があると信ずる。本書を通じて、あらゆる暴力に抗う「否テロリズム」の思想を提示できればと思う。(ももい・じろう)

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目次
はじめに
Ⅰ 第一章「現場でなにが起きたのか」
  第二章「情報をめぐって」
Ⅱ 第三章「暴力の連鎖」
  第四章「グローバル経済のなかで」
  第五章「テロリズムと暴力論」
  第六章「現代テロリズムの諸相」
  第七章「テロリズムに抗する思想」
参考文献
おわりに

感想
 タイトルの末尾に「深層」とあるとおり、アルジェリアで起きた人質事件についてくわしく買いてあるだけでなく、そこからアルジェリア独立についての歴史、その後に続いたひどい内乱、独立後の経済指数の現代までの変遷、そもそもテロリズムとはなにか、アルジェリアをめぐるテロリズムの歴史、そしてアルジェリア出身の作家アルベール・カミュのテロについての思想。
 それらを踏まえて、著者の「テロリズムをなくすというのは、「テロリスト」を殲滅することではない。(略)暴力主義をなくしていくこと」(引用)という結論にたどり着くまでという深く掘り下げた看板に偽りなしの本でした。

 著者の結論のとおりだと思います。テロリストはいなくならないんです。
 個人的には各国の独立運動を後押しして自立させること。(国際的に独立しているはずなんですけど)
 内乱になりそうだからクーデターになりそうだからと、外国が過干渉しても変な方向にいくだけだと思う。日本だって江戸時代のあと、いろいろあって先進国になったではないですか。

 切り口が新鮮というか、標題の人質事件さえ、テロリズムを論ずるための切り口だったのではと感じる。事件だけでもなくテロ問題だけでもなく、思想や歴史をまじえてざっくりと切り込んだテロリズム論に読めました。

アマゾン
(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%BA%BA%E8%B3%AA%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AE%E6%B7%B1%E5%B1%A4-%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E3%81%AE%E9%80%A3%E9%8E%96%E3%81%AB%E6%8A%97%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8C%E5%90%A6%E3%83%86%E3%83%AD%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%80%9D%E6%83%B3%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E6%A1%83%E4%BA%95-%E6%B2%BB%E9%83%8E/dp/4794810229/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1449469418&sr=8-1&keywords=%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%82%A2%E4%BA%BA%E8%B3%AA%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AE%E6%B7%B1%E5%B1%A4)

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モダン・ファミリーのシーズン6を録画しています。

ところがエピソード12の「イカれた隣人(The Big Guns)」以降の録画予定が入らないため不安になり、
FOXの公式サイトにとんだところ、
「 放送予定
    この番組の放送予定は現時点で未定です。」
(http://tv.foxjapan.com/fox/program/index/prgm_id/20102)

とありました。

スカパー!の一ヶ月番組情報 検索にもひっかからないため、
(http://bangumi.skyperfectv.co.jp/e2/)

驚いて、なにか問題でも起きたのかとおもったところ、

エピソード12の最後に、
「来週から、24の完全放送、モダン・ファミリーは1月9日に再開」(略)
と書いてあり脱力しました。
そういうことこそ、サイトに書いてほしいんですけど。

第13話 親離れ、犬離れ(Rash Decisions )は、年末特番にとばされ来年に持越しです。

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