『シラノ』の「こころいき」に惚れる(その2)
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(その1からの続きです) 対するクリスチャンは美青年という出で立ち、桂さんに合っていました。 花組は一時夢中になった頃があり、桂さんは当時から好きな役者さん。 何処と無く儚げな感じがするんですよね。 ロクサアヌはクリスチャンを愛していたのですが、 戦地から沢山の愛の手紙を受け、その言葉になおも惹かれていきます。 でも手紙は、シラノがクリスチャンの代わりに書いたもの。 自分の知る以上に沢山の手紙を出していたシラノが、実はロクサアヌを愛していたと、 そしてロクサアヌは自分自身を愛しているのではなく、 手紙の言葉を生み出したシラノの心を愛しているのだと、 クリスチャンは気付きます。 そこから芝居の空気が変わったように感じて、クリスチャンのその姿にはっとしました。 そしてその直後敵に撃たれ死んでしまう哀れさ。 可哀想すぎる、クリスチャン…。 息絶えた彼を抱いて「ロクサアヌが愛していたのは貴様だぞ…」と泣くシラノ。 思わず私も心の中で「そうだよ〜クリスチャン〜」と呟いてしまったよ。 そのあと一人残されたクリスチャン、パネル持ちの人の後に続いて、 胸に手を組んだお祈りの体勢で無表情で去っていく姿が、また切なくてうまくできた演出です。 さてロクサアヌ…なんてワガママで、 自由奔放で気高くて乙女で逞しくて美しくて優しくて魅惑的な女なんだろうか。 安寿さんのロクサアヌ、とてもいい!! クリスチャンを愛しているのに、彼が美しい愛の言葉を語れないでいると スパンと割り切って「さよなら!」と去っていってしまったり、 戦地からのクリスチャンの手紙に胸ときめかせ 危険な戦場にいるクリスチャンの元へ駆けつけたり、 横恋慕するド・ギッシュに、どいて!とどついたり。 女って…すごい。 紅一点というのもよかったのではないかな〜と。 舞台ではとてもキラキラした存在感がありました。 自分のことを愛しているとも知らずシラノを呼び出して、ウキウキのシラノに、 「同じガスコン青年隊にいるクリスチャンへ恋の手助けをしてほしい」とお願いして、 ショックを受けるシラノ(でも彼はつとめて笑顔)に、 「じゃあよろしく♪」とばかりさっさと可愛らしく帰っていく、 このシラノとロクサアヌの弾むようなテンポよいやりとりが絶妙でした。 とってもいい間なんです! そしてとてもキュートな二人(*^ ^*) パァーっと花が咲いたような鮮やかさが広がった場面でした。 彼女を見ていると本当に恋は盲目…と思います。 ド・ギッシュは落ち着いた敵役。 加納さんのこの役も楽しみでした。 女形もいいけれどこういうすかした格好いいお役も合うと思います。 ロクサアヌに冷たくされても大人な男っぷりが頼もしい! 個人的には、もっとこゆい敵役でもよかった気がします。 パン屋のおかみさんのような、ツンケンした年増の女がまた合いますね〜。 坂部さんとたかおさんは文学座の方。 初見でしたが、素敵な役者さんでした。 坂部さんは主にシラノの友人、ル・ブレ。 シラノを見る暖かな感じがとても好きでした。 あと神父さんとか修道女なども。 たかおさんもそうですが、どんな役でも「そのもの」でした。 坂部さんの壮年の修道女なんぞ、なんの違和感もなくて可愛いらしかったです。 たかおさんはすごい方でした。 多分一番沢山の役を努められていたと思いますが、 どのお役もそれぞれの役を思い切り楽しんでやっているように見えて、 見ている方も期待しちゃいます。 猿弥さんも何役か兼ねていらっしゃいましたが、 メインはシラノを慕うパン屋の旦那、ラグノオ。 この出で立ちがカワイイ〜〜♪♪ 詩が好きな彼は、詩を愛する仲間の前で歌も披露。 この「杏のタルトレット」という、タルトレットの作り方の歌が洒落ていていいんですよね〜。 この場面の演出も。 猿弥さんの楽しげな歌いっぷりとタルトレットを作る仕草が美味しそうで、 こう書いていても杏のタルトレットが食べたくて仕方ない〜。 シラノの最期の場面では、只でさえシラノに涙だったのに、 私の斜め前で猿弥さんのラグノオが声を上げて泣くのに後押しされて…更に涙。 この場面、シラノが死んでしまいロクサアヌが彼を抱き起こす幕切れが、 楽日の時の私の席からは、少し逆光気味に見えて、それが優しくて素敵で綺麗でした。 シラノの顔は見えなかったけれど、 ロクサアヌの優しい微笑みと悲しい表情が少し見えて、絵のようでした…。 「獨道中」の逸平とか「狸御殿」の雅楽平とか、 こういう誰かを慕う役がすごくいいです、猿弥さん。 修道女ではたかおさんと目が合うたび?二人で吹き出していて、 最後には「何がおかしいのっ?」とツッコミが。上手いですね、こういうのも。 あとは…ガスコン青年隊の歌の場面も好き。 皆さん楽しそうで、私も混ざりた〜い!と思っちゃいました…(^_^; 楽しいノリで、手拍子したくなっちゃいます。 ここの振り付けは安寿さんだそうです。 それから…シラノの最期、幻覚を見ているような独白の場。 全て自分のものを持って行ってしまう死霊?もこれだけは持って行くことができない、 自分はそれを持ってあの世に行く…というシラノの台詞を受け、 ロクサアヌが、それは…?と聞くと、「私の心意気だ」と彼は言います。 翻訳では「羽根飾」と書いて「こころいき」と読み仮名がふってあるのです。 羽根飾はシラノたちが被る帽子にフワッと優雅に着いているやわらかそうなアレですが、 あの羽根飾は彼らのプライドとか自分自身とか、そういうものだったということでしょうか。 そういえば、ロクサアヌに、 夜の闇の中クリスチャンの代わりにシラノが直接告白の言葉をかける時、 二人はマントに身を包んで、帽子だけをお互い交換していました。 「心意気」ということなら、まさしく右近シラノにぴったりでしょう(^^)♪ からっとしていて清々しく頼もしい、江戸っ子のようなシラノ! 青山円形劇場のような、小さい劇場だったのと、シンプルな舞台、生演奏、照明…など、 いろんなものがお芝居とよく合っていました。 きっちりとした素晴らしい「手作り感」を感じました。 雰囲気が心地よかったです。 昔のフランスの大衆演劇ような雑多な感じ(見たことないので(^_^;あくまでイメージです) …というのかな。 役者さんも7人でいろんな役をこなしてかなりなチームワークを感じました。 小さな劇場で客席も包み込むおおらかさで、 いろんな人物の息遣いや人の心のぬくもりをも感じる舞台でした。 個人的には、各地でこじんまりした芝居小屋を作って、巡業公演というのも素敵だなと思います。 楽日は席が最前列だったので、役者さんがもうすぐそばに!近い!! 衣装がマントやロングスカートなどというのもあって、 役者さんが目の前を歩くとフワッと風を感じるのが嬉しかったです。 カーテンコールはまず3回ほどあって、更に栗田さんも花道からご挨拶してくださいました。 右近さんが去り際真面目な表情だったのに「セボ〜ン♪」って感じで(どんな感じよ…?) 客席に投げキッス〜。 そのあと更にカーテンコールは続き、再び右近さんと安寿さんが出てきて、 右近さんが膝まづいて安寿さんの手の甲にキスを! また再び拍手のもと、お二人が出てくると会場はスタンディングオベーション!! ちょっと驚きました! そして今度は安寿さんが右近さんの頬にキス〜! 会場からは冷やかしの声も。 私の席からだとこの時後ろ姿だった右近さん、どんな顔していたんだろ〜。 でも、「よっしゃよっしゃ」みたいなポーズをしていました。 右近さん、最後まで「シラノ」でしたね〜。 かなり盛り上がって、ホントに嬉しかった〜♪ 期待以上に、いい芝居でした。栗田演出、右近シラノ、万歳〜!!! 同じメンバーで、是非再演を! 大楽となる兵庫、行きたかったなー…。 さて、これからは戯曲の翻訳の『シラノ』を読みます。
今現在、少し読み進めていますが、言葉も確かにオシャレなんですよ〜! |

>女って…すごい
ほんと、そんな感じでしたね(^_^;)。
あと、千穐楽は色々カーテンコールであったんですね〜。レポありがとうございます!
2007/9/17(月) 午前 0:30 [ HineMosNotari ]
HineMosNotariさん、こんにちは!
やっぱり(?)強いんですよね…女って(^_^;)
安寿さんのはつらつとした乙女っぷりには、わがままなんだけれど全く嫌みがなく、可愛らしかったですね。たくましかったからこそ、魅力的だったんでしょうね〜、シラノ、クリスチャン、ド・ギッシュにとっても。
東京の千穐楽、盛り上がりましたよ〜!あの小さい劇場でスタンディングです!最後の最後までキュートな舞台でした♪
2007/9/18(火) 午後 9:47
千穐楽カーテンコールのレポ、ありがとうございます。右近さんの様子が目に浮かぶようです。
私が見に行った日も、何人かスタオベしていましたから、千穐楽は総立ちだったろうな、と想像はしていました。う〜ん、やっぱり千穐楽、見たかったな。
2007/9/18(火) 午後 10:19 [ SwingingFujisan ]
SwingingFujisanさん、こんにちは!
右近さんはホント、『右近さんの「シラノ」』で舞台を締めくくってくださいました。すてきな舞台がずっと続いているような感じというか、余韻を味わえました。
そうですか、千穐楽前にすでにスタオベあったのですね!ああいった小さい円形劇場でスタオベがあるとは思わなかったので、正直驚きましたが、でも総立ちでも文句ない舞台だったと思います!
東京でこれですから、大楽の兵庫公演は更に盛り上がったことでしょうね。
2007/9/20(木) 午前 0:23