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夕顔を憑き殺した霊(幽霊の文化論)

源氏物語にも幽霊と思われる死霊・生霊が登場します。
多分、日本人が最初に書表わした幽霊でしょう。
幽霊の主は六条御息所でした。
源氏物語の前半4帖に「夕顔」があります。
先ず、夕顔の話を追います。
 
 
イメージ 1
  夕顔の花、4時頃に花弁を開きます。(東慶寺)
  白州正子は「絹のハンカチのような花弁が開くさまを見たい」と夕顔の蕾の前に椅子を出して見詰め  たそうです。でも、花は正子の視線を感じてか花を開かず、蕾のまま散ってしまいました。
  4度も試したのに・・・、
  「花が咲くのは秘め事で・・・・見られたら咲けないのだろう」と結んでいます。(随筆集夕顔から)
 
 
 (夕顔のあらすじ)
源氏17歳夏。源氏は見舞い外出の折に、垣根に咲く夕顔の花に目を留めます。
源氏が取りにやらせたところ、屋敷の住人が和歌で返答しました。
その知性的な女性に興味を抱いた源氏は身分を隠して彼女のもとに通います。
その女性も身分を明かしません。源氏は逢瀬の度に彼女にのめりこんでいきました。
ある時、逢引の場所として寂れた某院に夕顔を連れ込みます。
ところが、深夜に女性の霊(六条御息所か物の怪か判然としません)が出現して源氏に恨み言を述べます。
すると、夕顔はそのまま人事不省に陥り、明け方に息を引き取ります。
まるで、夕顔の花が散るように。
ところで、六条御息所の霊は再三登場します。
彼女を説明します。
 
イメージ 2
      徳川美術館蔵、源氏物語絵巻(国宝)、夕顔の断裁は未発見だそうです。これは柏木
 
(六条御息所とは)
16歳で東宮妃となるが、20歳で東宮は亡くなりました。
東宮の死後、年下の源氏と恋愛関係に陥ります。
源氏は、美しく気品、教養も知性はあるものの、矜持の高い彼女をやがて持てあますようになります。 一方御息所は源氏を独占したいと渇望します。でも、誇り高い御息所は本心を押し殺して振舞います。
この自己抑圧が、物語の中で御息所は生霊として登場させます。
その強い嫉妬心が生霊として現れ、源氏の愛する女君達(夕顔・葵の上/夕霧の母)に仇を為します。又死霊としても出現して、紫の上や女三宮に憑依します。
 
イメージ 3
                                六条御息所、上村松園作 
 
源氏物語は日本文学の伝統「色好み」の代表作で、
前には伊勢物語,後には井原西鶴を生みます。
平安時代、貴族の生き様や価値観を示していたと思われます。
古代の「色好み」の特徴は以下のとおりでしょう。
 
(1) 「色好み」には年齢差や身分の違いは関係ありませんでした。
恋情に任せて、生の感情に委ねて行動する「美的遊戯」にこそ価値を認めていました。
源氏が身分の高さや、権力や、財力をひけらかさず、市井の女性に夢中になる姿こそ、「王朝美学の理想」でありました。
(2)貴族は恋の逢瀬に場所を選びませんでした。寂れた建物で逢瀬を交わす事も憚りませんでした。
「恋は盲目」地で行った源氏でしたが、逢瀬の場にした廃家には往々にして悪霊が棲んでいるもの。夕顔は悪霊にとりつかれて死にました。(紫式部は廃屋で逢うなんて・・・、非難はしません。最近の若い人が電車の中でキッスなどしていると、これは伝統と思ってしまいます。)
イメージ 4
   白い藤袴の花、夏には 白い花が目立ちます。夕暮れ(逢魔ヶ時)目だって、蛾など夜の昆虫を誘う    からでしょう。こんな時間に如何に「色好み」とは言え、廃屋で密会するのは遣りすぎです。
 
平安時代後半(平家が盛んであった頃)に今昔物語が編纂されます。
その巻2716話に源氏物語の夕顔に類似した話が載っています。
でも今昔物語の作者の方が遥かに理性的であり、常識的です。
(あらすじ)
ある男(官吏)が親しくなった女の所を訪問します。
仲立ちの女に「部屋に通してくれ」言うと、
「今日は田舎の知人が上京しているので、部屋は塞がっています」と断られます。
そこで、女を連れ出して無人のお堂に入ります。二人は寂しいお堂で睦みます。
ところが深夜に不思議な女が現れます。
恐怖で男も女も自宅に逃げ帰ります。
ところが、女は自宅に着くと茫然として病人のようであったが、
間もなく息を引き取りました。
 
イメージ 5
             此方も夏の夕暮れから咲き出す「烏瓜の花」、レースを思わせます。
 
今昔物語の作者は「無人の古いお堂等で逢引してはいけない」と戒めています。
源氏物語では「色好みの情趣」として評価されているのに・・・・。
貴族階級と一般人とは受け止めが違うのでした。
そして、今昔物語の作者の理性的な判断こそ新たに力を持つ「武士階級」の生き方で、
中世を切り開いて行くと思われます。
 
共通するのは「無人の古いお堂」には悪霊が棲んでいる、
それが女に災いする・・・、と信じられていたのでした。
 
今でも、不倫で、如何わしいホテルなどで密会すると、隣の部屋からマジックミラーで覗かれたり、天井からビデオで撮られられるかも知れません。
ちゃんとしたホテルを選ぶのが識見でしょう。
これは物騒な現代人の感覚、古代京都も都には「色好み」を徹底できるほど「安心・安全」だったのかも知れません。
イメージ 7
  「酔芙蓉の花」白い花が桃色に染まって、まるでお酒に酔ったようだから・・・、   この名がついたのでしょう。でも「恋芙蓉」も適当だと思います。昨日まで意識   もしなかったのに、突然の恋心で色付いてしまいました。(宝戒寺にて)
 
六条御息所が「前東宮妃」という社会的な地位が高く、独占欲や嫉妬心が強いことから生霊となり、更に「死霊」になって源氏の女性たちに災いしました。
多くの女性は「夫に裏切られても辛抱する、そして幽霊になっても夫を待つ」
そんな姿であったと思われます。その具体例は昨日書きました。
 
人が恨みを残して死んで幽霊になって、復讐する・・・・、
そんな形が出てくるのは江戸時代になってからでした。
 
イメージ 6
  此方は白いジンジャーの花(生姜の仲間) 東慶寺にて
 
夕顔の花は下記で書いたことがあります。
 
 
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すばらしい!! ありがとうございます。 感激しています。
息きている事が嬉しいひとときです。

2011/9/3(土) 午後 0:44 [ 初霜月 ]

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