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2012年2月1日

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獅子舞の文化論(春節4)

私は横浜中華街で春節の祝い行事を見学しています。
行事の中心は龍舞と獅子舞です。
龍舞は一組でしたが、獅子舞は3組、全体で11もの獅子舞がねって回りました。
 
どの獅子舞も縫い包み状態です。
頭も布や毛糸で出来ています。
前足、後ろ足、二人が獅子の体になって、演舞します。
獅子の動きも”春が来る” ”いい年が来る” 喜びに溢れているようです。
獅子は青・黄色・赤・白、4色が確認できました。
仏教の5色とは是に黒(緑又は紫)が加わります。
如来のお体が五色だから・・・・、聞かれます。
江戸の町にも五色不動が祀られています。
目黒不動、目白不動は山手線の駅名で馴染んでいますが、目赤、目黄、目青のお不動様があります。
イメージ 6
   五色の基本色が如来の体を彩ります。黒に代わって緑が日本の神仏を彩っているのが日本の特色です。
   (写真は遊行寺の本堂。節分を控えた状態です)
 
 
イメージ 3
                                               横浜中華街の獅子舞
 
何でか、中華街の獅子舞には黒(緑か紫)がありません。
黒い獅子舞では春らしくない・・・、からなのでしょうか?
一方、日本の獅子舞の体は緑一色です。
加えて日本の獅子舞の体には、渦巻紋(唐草模様が描かれている事も)が描かれます。
獅子舞の頭は木(桐)を彫刻して出来ています。
日本の方が本場の中国に比べると、様式美を追求しているように思います。
加えて、獅子頭は古くなったら漆を塗れば新しくなって、命が生き返る・・・、思います。
縫い包みの頭は古くなったら・・・、染め直しは出来ないでしょう。
 
イメージ 2
     日本の獅子舞。緑の体は中華街では無かった。緑は蘇えりの色だから日本では緑しか採用されなかっ     たのだと思います。頭が木製なのは塗り直しが可能だから。蘇えりする上では好都合です。
     この考えは浄瑠璃人形の頭にも通じる・・・、教えられた事がありました。安曇野などの道祖神も毎年新     しく塗られます。”命の蘇えり”を期待しているからです。
 
日本に現存する最古の獅子頭は正倉院御物のそれでしょう。
獅子舞は6世紀から7世紀にかけて、伎楽と共に伝来しました。
正倉院の獅子頭は、752年(天平勝宝4)の東大寺大仏開眼供養に際して演じられたものでしょう。
それが、神社の祝い式にも使われるようになり、太神楽の獅子舞になって行きました。
そして、江戸時代には越後の角兵衛獅子はじめ庶民の芸能にまで浸透して行ったものでしょう。
庶民に程遠い大寺の祝い行事が庶民の芸能にまで発展して行った所に、獅子舞文化の魅力があります。
イメージ 1
                     正倉院御物の獅子頭
 
人間は強い者に畏怖し、憧れるものです。
どうも、虎という猛獣が最も強いらしい・・・・、聞くと虎を敬いました。
日本人も(多分中国人も)獅子なんて見ていませんでした。
でも漢代になってシルクロードを経て、ライオンの噂が届きました。
どうも、インドかその先にタテガミが大きくて、虎にも勝る”百獣の王”が居るそうだ・・・・!
口が大きくて、人間の頭を噛み潰すそうだ・・・・。
両眼大きく、毛は巻いているのだそうだ・・・・。想像は広がります。
 
そこで、文殊菩薩は獅子の上に乗せました。(普賢菩薩は像の背に乗せました)
更に、想像は飛躍してゆきます。
強い獅子に翼が生えて、天を飛んだら凄い事だ・・・、
そこで、麒麟を生み出しました。
体は鹿で軽快で、空を飛ぶのに相応しくしました。
 
神社仏閣の建物の木鼻(横木の先端)には獅子の顔(象鼻・獏鼻もある) を置きました。
尊い建物を魔物から守護する・・・、そんな役割を担ったものでしょう。
更に、神社の門前の狛犬も、本来は犬であったものが、獅子に変わってしまいました。
”最も強いのが獅子である”、そう考えていたからでしょう。
イメージ 7
                     貫き材の先端を飾る獅子の木鼻(正面)、横に象の木鼻が飾られています。
イメージ 8
 中央の釈迦如来の脇仏として文殊菩薩は獅子に乗っています。普賢菩薩は象に乗っています。
 奥浜名湖の奥山方向寺にて。
 
東アジアでは”男尊女卑”が一般的で、ジェンダーの時代に批難を受けています。
日本でも、”女性の入山禁止”の霊地があったり、土俵に女性は登れない事になっています。
女性は不浄だから・・・・、説明します。
でも、山の神は大抵が女性です。
人は女性のお腹から出てきます。
そんな尊い存在を不浄だから・・・、忌避するのは合点が行きません。
一方で、ジェンダーを叫ぶ人の意見にも筋違いを感じます。
”女性は男性よりも子供を産んで育てる事では尊い”自明なことです。
でも、体や役割に違いがあって、トータルでは男女同じに尊い・・・、と考えます。
そして、日本文化は総じて男女を差別していないように思うのです。
 
神社の狛犬も男女が並んでいる事があります。
どうも、日本では”男尊女卑”は根源的ではないように思います。
時代によって変遷するのです。
イメージ 4
      藤沢白旗神社の狛犬。此方は雄と思われます。向かいに角のある雌がいます。
      日本の神社は基本的に男女平等であり、同時に男女の役割を分けていると思います。
イメージ 5
     神社の狛犬は犬でなくて獅子です。湘南で一番風格のある狛犬です。
     江戸時代の初頭、越後屋さんの寄進です。
 
中華街で、目の前の獅子舞が男か女か?
訊ねれば、大抵の人は男ですよ、答えるでしょう。
何故なら、立派なタテガミは雄ライオンだけですから・・・・。
でも、漢代から中国人の信じた獅子はタテガミがありました。
タテガミの無い雌ライオンは知らなかったのです。
 
様々な思いを馳せながら、中華街の浚渫を祝う獅子舞に拍手しました。
 
 
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