|
自民党の総裁選レースは出走馬の顔ぶれが徐々に増えつつあるようです。
前回の総裁選に際して、今回と同じように幹事長の立場にありながらいち早く出走を表明した麻生太郎さん。
各党を渡り歩き柔らかい物腰と笑顔の奥に強靱な権勢欲としぶとさを見せる小池百合子さん。
若手政治家の中でも血統の良さで常に日の当たる場所を歩き続けている石原伸晃さん。
財政再建の為には増税、消費税を上げるしかないと主張する玄人好みの与謝野馨さん。
誰が描いたレースシナリオか分かりませんが、自民党の総裁選は民主党が無投票で代表を決める翌日に行います。つまりは民主党がたった一頭で走るのに対して、自民党は血統も違えば、年齢も違うし、牝馬も混じっているレースを行うのですから、新聞各紙、テレビ各局がそちらの方をより多く追いかけるのは必至でしょう。
要するに小沢代表よりも全国の幅広い人が選んだ自民党総裁選の闘いだ!という意図ですね。
私は自民党の総裁選で出走が取りざたされる予定候補の顔ぶれを見てー
「誰がなってもこうした人が総理大臣になるんじゃ、安倍さんや福田さんとそう変わらないなあ。周りからキツク当たられれば、すぐに“もう辞めた!”ってなるだろうし、それ以上になにをやるか危なっかしい」
ーと思いました。
麻生さんは人気がある政治家と言われますが、同時に失言の多い政治家でもあります。
失言の多い人は、思慮に欠けるから多くなるわけで、テレビに出て誰彼構わずにバッサバッサ切り捨てるタレントや評論家ならばまだしも、一国の総理としては危なっかすぎますね。
また小池さんは政党を4つも85つも渡り歩いた事を見ても、政策の一貫性、政治家としてのゆるぎない信念や信義に大きな疑問があります。
彼女が政治の表舞台に出る時は常に党首の傍らに寄り添い、殿の覚えがめでたいが故に各党の要職に就いてきたと見え、その人が殿として迎えることを他の議員が納得するとは思えません。
小池さんもそうですが、石原さんも派閥の領袖ではありません。
確かに石原さんは若手政治家としてテレビに引っ張りだこですし、大臣も務め、人気実力があります。しかし派閥のリーダーでないと言うことは、総裁、総理になるためにはそうした親分達の支援が必要なわけで、本当に自分の政治が出来るかと言えば疑問です。
与謝野さんは財政のプロと自他共に認める人です。
財政再建の道筋をはっきりとイメージできるのはこの人が候補者の中でも群を抜いているでしょう。
ただし、消費税を上げるのが持論なのですから、総選挙を何としても大きく負けたくない自民党が本気で担ぎ出すとも思えません。
じゃあ誰がいいんだ?と言われれば、私にもその人の顔が浮かびませんが、これら候補者の中から誰かが総裁になり、総理になる人は出るんでしょうね、きっと。
ところで、じゃあどんな政治家が総理大臣に相応しいんだ?という質問に対して元総理の中曽根康弘さんがいい話しをしています。
福田総理の辞任を見て、“総理というのはそんなに軽くないんだよ!”と語る中曽根さんの言葉には、多くの疑惑を生き抜き、多くの実績をあげた総理だけが語ることの出来る真実があるように思います。
(産経新聞 2008.9.4 02:50)
『福田康夫首相の突然の退陣表明は、今の日本の首相級の政治家の素質、性質を表している。最近2代の安倍晋三前首相と福田首相の退陣では、強い粘りと必死の信念が見えず、サラリーマン化したとの印象を禁じ得ない。
日本は内外ともに非常な困難に直面している。内政では新テロ対策特別措置法の延長、税財政問題そして衆院解散・総選挙での与野党の激突がある。外政ではあまりにも早く首相が代わることで、外国は驚き、日本を軽視してきている。国益を非常に損なうもので、改善しなければならない。
首相の出処進退は、国民が納得するラインで、ある意味において厳粛でなければならない。国政の重大さ、対外的な重さがあるからだ。われわれの時代と比べ、首相の地位が軽くなってしまった感は否めない。
これはジャーナリズムの問題も大きい。首相は国会で指名され、天皇陛下に任命される。憲法上、そういう重さで作られている。にもかかわらず、まるで普通の会社の社長の交代のように扱うから、政治家の心掛けも似たようなものになってきた。
首相の職務の責任性を政治家もジャーナリズムも疎んじている。民主主義や日本の国家のあり方として、深く反省すべきだ。
福田さんは素朴な人柄だけに、執念を持たずに辞めたようだ。われわれの時代のように苦労して首相になれば、簡単に辞める場面にはならなかった。
昔は、政治家がある段階で首相になろうと決意したら、そのための修行をして、いつでもなれるような体系を作った。見識を広め、修養を積み、国際関係も含め広く網を張って備えたものだ。同志も募った。
私は大統領的首相を目指し、国鉄民営化をはじめとする行財政改革、外交政策を自分の発案で動かした。世論に訴え、官僚を使った。米国のレーガン大統領と国際的な連携も図った。首相として、日本を動かすエンジンの役目を果たしたと思っている。最近の首相は、ややもすれば役人の上に乗っかっている感じがする。
福田君、安倍君にしても良家の子弟だ。下から汗水垂らしてねじり上がったのではない。地位に恵まれた面はある。一方、外国の指導者たちは、下から苦労して地位を獲得した歴戦の闘士だ。温室育ちの日本の政治家は、外国の指導者と太刀打ちできるだけの修行が必要だろう。
自民党総裁選で、次期首相(新総裁)が選ばれるが、麻生太郎君(自民党幹事長)がなるにせよ、誰がなるにせよ、次期首相は日本の歴史や伝統をわきまえ、冷厳に社会や世界を見つめて、きついことを直言する人を傍らに置く必要がある。今の政治家は、テレビのワイドショー的なパフォーマンスで生きているだけになおさらだ。
首相になって初めて分かるものだが、政治とはそんなに軽いものではないからだ。わたしは京都学派の猪木正道さん(政治学者)や高坂正堯さん(国際政治学者)らとよく話し合った。座禅を通じて無言の教えも受けてきた。
衆院選は、次期首相と小沢一郎民主党代表の党首の戦いだ。自民党は総裁選で、小沢君に負けないトップを選ばなくてはならない』
中曽根さんが素晴らしい総理大臣だったのかどうかについては、恐らく色々な意見があるでしょう。
しかし中曽根さんの上記の話の内容に関しては、私も尤もだと思えます。
確かに仰るように、政治、政治家が軽くあってはいけません。
でもこんな風に政治を、政治家を軽い存在にしたのは一体誰なんでしょうか・・・!
もっと後輩達を厳しく躾けるべきだったんでしょうね。
所で話は変わりますが、総裁選レースを毎日各局が賑やかに報道すると、その陰で起きている重要な事件や出来事をついつい見逃し勝ちです。
レースに注目し楽しむのもいいですが、国内外の場外で日々起きている出来事にも関心を持つようにしたいと思います。
私が今、注目している事。
大相撲の大麻疑惑は急にトーンダウンしているようだが、精密検査はきちんと行ってるか?
プーチンが友達を救うために虎を撃ったと言うが、本当は狩りの楽しみで撃ったのでは?
逃散捕鯨船を妨害した団体員を指名手配したが、本気で捕まえる気はあるのか?
毒入りギョーザ事件の中国捜査は、本当に進んでいるのか?
北朝鮮と交わした拉致被害者再調査を政府は本気で信じているのか?
どうでもいいことも、実は重要な事も、世の中が大騒ぎしているときにこそ、こっそり過ぎ去るものです。
ニュースの裏側にある真実を見過ごさないようにしましょう。
|