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紀伊民報(和歌山) 2007年5月9日より
ウミガメ保護 高齢化で危機
紀南のウミガメ保護活動が、活動家の高齢化で危機にひんしている。新宮、みなべ、串
本の活動団体の中心メンバーは70、80代で、産卵期の早朝や深夜に浜を巡回するのは体力
的に厳しくなっている。「新宮市ウミガメを保護する会」では、速水政夫会長(81)夫妻
が活動をやめ、このままでは会が自然消滅するという。
速水会長と妻の福枝さん(77)は1975年に、保護活動を開始。賛同者が増え、89年
には「保護する会」が発足した。
王子ケ浜でアカウミガメが産卵する5〜9月の毎日、夜明け前から延長約3・5キロの
浜を見回り、上陸数や産卵数を記録、卵を浜中央のふ化場に移してきた。園児を招いて放
流会を開き、自然や命の大切さを教え、浜の清掃を通じて環境保護にも力を入れた。会員
は約50人いるが会費を納めるだけの人がほとんどで、実質的には速水会長夫妻2人がこれ
らの活動を担ってきた。
しかし、速水会長は80歳を迎えた昨年6月、体力の限界を感じて「世界遺産となった浜
の環境保護にもつながる。市でボランティアを募り、後継者を探してほしい」と新宮市長
に陳情、昨シーズンを最後に活動を断念した。1年たった今も後継者は見つかっていない。
新宮市の隣にある三重県紀宝町は毎年、ボランティアを募り「ウミガメ保護監視員」を
組織、6月から9月にかけて6人体制で活動している。
速水会長は「活動時間の問題もあり、会員に無理は言えなかった。新宮市も紀宝町のよ
うな組織づくりを進め、ウミガメを守る活動の火を消さないでほしい」と話す。
本州有数の産卵地「千里の浜」があるみなべ町では、元小学校教諭でみなべウミガメ研
究班の後藤清代表(78)が1985年ごろから保護活動の中心を担ってきた。
退職後の88年から5月〜10月中旬にかけ浜を巡回、上陸、産卵、ふ化の数を調べてきた。
ピークの6月〜8月末は毎日、午後8時半ごろから深夜未明まで浜を往復している。
90年から京都大学、2002年から京大に代わって日本ウミガメ協議会(大阪府枚方市)
が巡回活動に参加。後藤代表が帰った後の深夜から明け方にかけ、協議会メンバーが滞在
し、浜を回っている。この活動に、町が補助金を出している。
後藤代表はこれまで数人に声を掛けたが、後継者は見つからなかった。「町と協議会の
支援でどうにかやってきたが、夜間の活動が厳しく地元で核となるボランティアが育たな
い。対策を考えないと紀南の保護活動の見通しは暗い」と嘆く。
23年間活動を続けてきた串本町の「串本海亀を守る会」(中尾勇会長)は、中心メンバ
ーが5〜6人いるものの、70、80代と高齢化が進む。
5月中旬〜9月下旬の巡回は早朝の午前4時から。足腰が弱くなり、薄暗がりの中、足
場の悪い海岸で転ぶメンバーも出てきた。中尾会長(81)も杖をついて回るが、腰をかが
めて砂浜を調べるのが苦しく、活動を終えた後、半日は横になって過ごす。
会費を納める大阪方面の会員もいるが、新宮と同様に巡回活動を担う地元メンバーが増
えない。
中尾会長は「串本の海がラムサール条約に登録され、環境への関心は高まっているが、
現実は厳しい。このままでは数年内にも活動が絶えかねない」と話している。
【アカウミガメの卵をふ化場に移して保護する速水政夫会長(2005年6月、新宮市の
王子ケ浜で)】
紀伊民報
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=124356
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