詩手帖
遺書遺書
現在から最も遠い季節に向け
私は輪廻を説いている
笑み
讃む歌としてのレクイエム
道路いっぱいに散り敷いた
白や薄桃色の花びら
それを見下ろすように吊るされた
白や薄桃色の洗濯物たち
枝には赤黒い蕊が残されて
黄緑色の若葉が芽吹いている
この世を操っている不気味な奴ら
私以外の総てがそれに属している
生きる意味を説く者たち
彼らへの羨望はもはや消え失せた
乱反射する白と青
その目映さとまろやかさ
薄い色をした砂粒が
きゅるり、と音をたてている
何もない、ということ
単に、包まれている、ということ
私はやむを得ず、抽象的風景に逍遥する
それを巡礼と呼ぶことができるなら
遺書、と書きさえしなければ
日記とみなされるに違いない
逃げてゆく季節
遠ざかる季節
私はこの世界を生きない
(2012.4.22_5.20)
|
その他の最新記事
部屋
2012/3/11(日) 午後 0:24
部屋
ぼんやりとした意識の向こう側
屋根の上に空が腰掛けている
何を眺めているのか・・・
遠く、小さかった頃の眼差しで
私は部屋を閉じている
遮るためではなく
拒むためではなく
私は部屋を閉じている
この身に享けるために
この掌に授かるために
ひと、かぜ
...
すべて表示
音の無い都会
2012/2/26(日) 午後 11:11
音の無い都会
音の無い都会の中を泳ぐのです
人々の笑いさざめく
人々の嘆き悲しむ
音の無い都会の中を泳ぐのです
地下鉄の駅へと降りてゆくのです
振動が伝わってきます
次々と電車が来ては
またトンネルへと吸い込まれてゆく
僕の足音は馴染んで
溶け込んでいるだろうか
無数の足
...
すべて表示
ソドム
2012/2/19(日) 午後 0:36
ソドム
画面を浮遊する画像が おどけてみせる
その中にはめ込まれた文字は カーソルに触れて色を変える
パチンコ台に座っているような 大当たりを求めてボタンを押す
次々と押す 果てしなくチャンネルを変える
同じ活字であるはずなのに 新聞や本と変わらないはずなのに
伝えることをやめた 主張
...
すべて表示

